ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Lucrecia Dalt & Aaron Dilloway - Lucy & Aaron (review)
  2. Abstract Mindstate - Dreams Still Inspire (review)
  3. interview with Jeff Mills + Rafael Leafar 我らは駆け抜ける、ジャズとテクノの向こう側へ (interviews)
  4. Marisa Anderson / William Tyler - Lost Futures (review)
  5. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  6. Cleo Sol - Mother (review)
  7. Columns 「実用向け音楽」の逆襲 ──ライブラリー・ミュージックの魅力を紐解く (columns)
  8. 地点×空間現代 ——ゴーリキーやドストエフスキー、ブレヒトや太宰の作品を連続上映 (news)
  9. Lucrecia Dalt - No Era Sólida (review)
  10. Wolf Eyes - I Am A Problem: Mind In Pieces (review)
  11. Tirzah - Colourgrade (review)
  12. Lawrence English - Observation Of Breath (review)
  13. P-VINE & PRKS9 Presents The Nexxxt ──ヒップホップの次世代を担う才能にフォーカスしたコンピがリリース (news)
  14. interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) 彼らが世界から愛される理由 (interviews)
  15. Columns Electronica Classics ──いま聴き返したいエレクトロニカ・クラシックス10枚 (columns)
  16. Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert (review)
  17. Politics 消費税廃止は本当に可能なのか? (1) (columns)
  18. Saint Etienne - I've Been Trying To Tell You (review)
  19. Soccer96 - Dopamine (review)
  20. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > On Fillmore- Extended Vacation

On Fillmore

On Fillmore

Extended Vacation

Dead Oceans

Amazon

三田 格   Nov 14,2009 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 ウィルコなど多数のバンドに参加するドラムのグレン・コッチーと、ジム・オルークなどと共演することが多いダブル・ベースのダーリン・グレイによるデュオの4作目。まったく聴いたことがないとはいわないけれど、タイトル通り休暇が長引き、いつもとは違うエア・ポケットに落ち込んでしまったような静かで漠然とした不安を内包したファンタジー・サウンドはマーティン・デニーやアーサー・ライマンといったエキゾチック・サウンドを大人びたオルタナ解釈で聴き直しているようでもあり、伝統的な実験音楽をラウンジ・ミュージックとして再生させているようでもあり。サイケデリック・ミュージックとしては地味な部類に属しつつ、しかし、確実に見たことのない景色には連れ去られる(ある意味、ジャケット・デザインが物語っているそのままの雰囲気といえる)。"オフ・ザ・ウォール"ならぬM5"オフ・ザ・パス(舗道)"と題された曲では(マイケル・ジャクスンが?)幽体離脱でもしてるようなムードになってみたり、M3"デイドリーミング・ソー・アーリー"ではなるほど延々と眩暈に襲い掛かられる。エレクトロニカがミュージック・コンクレート・リヴァイヴァルにスウィッチしつつある一方、かつてのシカゴ音響派とかなんとか呼ばれた人たちが、現在、こぞってポスト・クラシカルに移行するなか、そのどちらからも等距離にある辺りを模索している感じともいえるし、ポスト・ロックというタームを前提とした文脈ではスローコアから過剰な重さや極端な悲壮感を取り除き、どこか不条理を感じさせる情感へとスライドさせたというニュアンスも可能ではないかと。いずれにしろブラック・ダイスやジム・オルークの始めたことが円熟期に入り、KTLやバーニング・スター・コアといった成果と並ぶ完成度といえるのではないだろうか。アナログ・オンリーのようで、与えられたパス・ワードでディジタル音源も落とせるようになっている。

三田 格

RELATED

Akron/Family- Sub Verces Dead Oceans/Pヴァイン

Reviews Amazon iTunes