ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Gonno & Masumura - In Circles (review)
  2. August Greene - August Greene (review)
  3. Against All Logic - 2012-2017 (review)
  4. IDM definitive 1958 - 2018 ──IDM/エレクトロニカの大カタログ刊行のお知らせ (news)
  5. SILENT POETS ──サイレント・ポエツ、奇跡的メンツの「スペシャル・ダブ・バンド・ライヴ・ショー」決定 (news)
  6. Gonno & Masumura ──ゴンノ&マスムラ、テクノとアフロビートで宇宙を目指す (news)
  7. 078 KOBE 2018 ──神戸のフリーフェスにてURがライヴ出演 (news)
  8. Lolina - The Smoke (review)
  9. Tom Misch - Geography (review)
  10. interview with Kaoru Inoue 人はいかにして、このハードな人生を生きながらゆるさを保てるか? (interviews)
  11. Gang Gang Dance ──ギャング・ギャング・ダンスが7年ぶりにアルバムをリリース (news)
  12. コーネリアス - (review)
  13. R.I.P. Cecil Taylor すべての棺桶をこじ開けろ (news)
  14. RAINBOW DISCO CLUB 2017──いよいよ開催間近、レインボー・ディスコ・クラブの魅力とは!? (news)
  15. interview with Unknown Mortal Orchestra 暗闇の先のメロウネス (interviews)
  16. 国府達矢 - ロックブッダ (review)
  17. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  18. Moodymann ──ムーディマンがニュー・アルバムをリリース (news)
  19. interview with CVN 更新されるインディーズの形態/異端者たちの広場 (interviews)
  20. Frank Ocean × KOHH - ──これは事件! フランク・オーシャンの新作にKOHHが参加 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > 三毛猫ホームレス- S/T

Album Reviews

三毛猫ホームレス

三毛猫ホームレス

S/T

三田 格   Nov 13,2009 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 自分がプロデュースに関わったイベントなのでナンですけれど(http://cs8.s140.coreserver.jp/1116.html)、その会場で売っていたCDがいろんな意味で興味深かった(ちなみに当日のライヴの様子→http://www.youtube.com/watch?v=FDX9t_GUIyI)。まず驚かされたのがM2"neat"。「わたしは働く気があるのよ」とアニメ声で繰り返されるヴォイス・サンプルがなんともいえないニュアンスを持っていて、久々に自分で聴くだけではなく、ほかの人にも聴かせなければという焦燥感に駆り立てられた(一気に心をつかまれたと言い換えてもいい)。このユニットはまだ大学生のコンビで、失業だとかロスジェネといった問題に直面したわけではなく、渦中にいる人にはむしろ(メタルのように)声も出せない人が多かったと思うけれど、それも含めて、下の世代から見えている風景としてそれらを捉えているように思う。その距離感のなかに彼らの表現が生まれる余地があり、自分たちがどこにいるかをたった1種類のヴォイス・サンプルで異様な景色として成立させてしまっているといえる。これには舌を巻いた。同じようなことはアニメからのサンプル(?)で組み立てられる他の曲にも共通していて、抽出された言葉がアニメの文脈を超えて、時代やそれを超えた普遍性にも通じているという離れ業をやってのけているように感じられて仕方がない(アニメに詳しい人にはまた違った聴き方もあるのかもしれないけれど、その必要性を感じないほど、最終的に選ばれている言葉が外に向かって開かれている印象を持つという意味でもある)。本人たちはランダムにやっているだけなのかもしれないけれど、意味のないことを歌詞にしようとしている電気グルーヴに対して、どの言葉もそれなりに意味を持ってしまい、アニメの戦闘シーンもそれだけで終わっているようにはどうしても聞こえない。叫び声がただ単にループされるだけのM17"ave"やM12"さよなら絶望コア"も安直に衝動をぶつけているだけのようで、しかし、その衝動がどこから来ているのか、実は知っているのではないかと思わされるものがあるというか。ほかにも具体的に紹介したい曲はけっこうあるんだけれど、法的な問題もありそうなので、あえて省略したい。問題のなさそうなタイトルだけを列挙しておくと、"ぼくはとみたけ""ダブまんが大王""アヤナミステップ""普通'n'BASS""ラキスタ様 goes to IBM""デトロイトドナルド"......。ここまで日本語がムダなく入り込んだダンス・アルバムを僕は聴いたことがない。いくらCDRとはいえ、これで500円は安すぎるよ。いまのところライヴ会場でしか買えないみたいだし、誰かライセンスしてあげて。

http://d.hatena.ne.jp/MASSY/20081011/1223746658

三田 格