ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Aretha Franklin (news)
  2. Mars89 ──たったいま聴こう。東京新世代のプロデューサー、Mars89が新作をリリース (news)
  3. Aïsha Devi - DNA Feelings (review)
  4. MUTE ──ミュート・レーベル、40周年の新プロジェクト“MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW)”発動 (news)
  5. Merzbow + Hexa - Achromatic (review)
  6. Double Clapperz 最近のフェイバリット・トラック10選 (chart)
  7. Spiral Deluxe ──ジェフ・ミルズ率いるエレクトロニック・ジャズ・カルテットがデビュー・アルバムをリリース (news)
  8. Kelela ──新世代R&Bシンガー、ケレラがついにデビュー・アルバムをリリース (news)
  9. 菊とギロチン - (review)
  10. Fit Of Body - Black Box No Cops (review)
  11. interview with Dorian Concept 自分自身を模倣すること (interviews)
  12. Andy Stott ──アンディ・ストットが2年半ぶりに来日 (news)
  13. Khalab - Black Noise 2084 (review)
  14. Thundercat ──時代が悪くなると音楽は面白くなる……サンダーキャットの新作もすごい (news)
  15. interview with Eiko ishibashi 音をはこぶ列車/列車をはこぶ音 (interviews)
  16. New Sounds of Tokyo 東京でもっとも尖っている音楽をやっているのは誰だ? (interviews)
  17. Lotic - Power / Witch Prophet - The Golden Octave (review)
  18. ヒロインズ - ケイト・ザンブレノ 訳:西山敦子 (review)
  19. Aphex Twin ──エイフェックス・ツインが9月に新作「Collapse EP」をリリース (news)
  20. Brainfeeder ──〈ブレインフィーダー〉日本初のポップアップ・ショップが登場&フライング・ロータス監督映画作品が上映 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > U.S. Girls- U.S. Girls on KRAAK

U.S. Girls

U.S. Girls

U.S. Girls on KRAAK

KRAAK

Amazon iTunes

三田 格   Dec 27,2011 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 へー。こうなるのかー。ベスト・コーストやハニー・オーウェンズの(悪)影響なのか、ソロで「アメリカの少女たち」を名乗るミーガン・レミーの3作目はレーベルを移籍し、簡単にいえばポップになった。圧迫感のあるビートが導入され、いわゆるソングライティングさえ恐れなくなっている(ついにCDヴァージョンまで出して。もしかしてアナログのレーベル・フォトは...?)。

 前作『ゴー・グレイ』(10)はなんとも不思議なアルバムだった。基本的にはイフェクトをかけまくったギターの多重録音で、ある種のパーカッションや、ゲームの残響音がプラスされることもなくはないけれど、ほとんどはギターの響きだけで構成され、ヘンな表現かもしれないけれど、ダンディとしかいえない美学に貫かれていた(...なかでは「ヒズ・サンズ・フューチャー」のアウトロがあまりにもイマジネイティブなコズミック・・ドローンでちょっとスゴかった)。曲というよりも断片とか余韻に酔いしれたくなるといった方が正確で、60年代のロックン・ロールをカヴァーしたディック・アンド・ディー・デォー「マウンテン・ハイ」もドラムスの残響音に埋もれているだけといった方がいい感じだし(ダーティー・ビーチーズが気に入っているというのは、この曲を聴くとなるほどです)、どの部分を取ってもフェミニンな感触はなく、スーサイドがジーザス&メリー・チェインのカヴァーをやり損なっているような質感は最後まで揺るがない。

 それが、『USガールズ・オン・クラアク』では、アルバムの後半こそアブストラクトにもつれ込んでは行くものの、戸川純かと思うようなオープニングからしっかりと歌を聴かせ、場合によっては楽しいメロディなんかも出てきちゃうし、「ジ・アイランド・ソング」では童謡とMGMTを掛け合わせたようなナゾの展開へと突入、どの部分からもフェミニンな感触があふれ出している(...ファイストが骨太になったのとは逆の展開というか)。それでも曲の骨格にはやはり前作と同じくソリッドな手触りが内包され、異様なムードには事欠かない。短いとはいえ、ドローンもむしろ本格的になったといえるし、どこへ行こうとしているのかさっぱりわからない曲の数々が混然としながら投げ出されていく(エンディングなんか爽やかにカントリーですから)。めちゃくちゃなのに、なぜか、迷いを感じているとか、そういったネガティヴな印象は持たせない。あっさりと納得してしまった。ファット・キャットのサブ・レーベルからはもっとポップな曲も出しているらしい(未聴)。

三田 格