ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  2. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  3. Brian Eno ──ブライアン・イーノがレーベル〈Opal〉を再始動、あわせて00年代の2作品がリイシュー
  4. Loraine James ——ロレイン・ジェイムズの新作、突如のリリース(しかも無料DL)
  5. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  6. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  7. Future Sound of Jazz ——蘇る「フューチャー・ジャズ」、ドイツの〈Compost〉の人気シリーズが16作目
  8. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  9. R.I.P. 鷲巣功
  10. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  11. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  12. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  13. Kim Doeon - SLAPSTICK | キム・ドオン
  14. Haruomi Hosono ──細野晴臣のドキュメンタリー映画が公開
  15. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  16. This Is Lorelei - The Singer in My Band | ディス・イズ・ローレライ
  17. Tohji - angel
  18. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  19. interview with Toshimaru Nakamura 世界を魅了する、類い稀なる電子音響 | ──中村としまる、待望の初期ベスト盤リリースと超ロング・インタヴュー
  20. interview with Kinnara : Desi La 「アートによって、私は世界に満足できるようになりました。アートが、私の孤独の多くを壊してくれたのです」 | ──緊那羅:デジ・ラ、インタヴュー

Home >  Regulars >  NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義 > vol.3 “何を”するかではなく”どう”するか- ――自由の意味を広げた名作『Deus Ex』

NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

vol.3 “何を”するかではなく”どう”するか

――自由の意味を広げた名作『Deus Ex』

文:NaBaBa Sep 21,2012 UP

 こんにちは、NaBaBaです。本連載も早くも3回目となりました。いよいよ調子が出てきたといったところでしょうか。今回は初回と同じく、再び過去の名作にスポットを当ててみたいと思います。前々回の『Half-Life 2(ハーフ・ライフ2)』よりもさらに時代が遡ること2000年。その名も『Deus Ex(デウスエクス)』を、今回はご紹介したいと思います。

 『Deus Ex』は〈Eidos Interactive(アイドス・インタラクティヴ)〉販売、〈Ion Storm(イオン・ストーム)〉開発のPCゲーム。2000年代初頭の名作のひとつに数えられ、数多くのゲーム・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。そして何を隠そう自分にとってははじめて遊んだ洋ゲーでもあるんですね、じつは。その意味で個人的にもすごく思い入れが強い作品であります。

 さて、『Deus Ex』ときくとそれなりにゲームが好きな方はピンとくるかと思います。なんと昨年にこのシリーズの最新作、『Deus Ex: Human Revolution(デウスエクス:ヒューマン・レヴォリューション)』が発売されているんですね。国内ではシリーズ自体のなじみがないからということで、そのまま『Deus Ex』の邦題で発売されましたが、今回ご紹介するのは初代の方の『Deus Ex』です。ややこしいですね。

■多くの分派を擁する、ゲーム業界の巨人の代表作

 いつものようにまず作品の周辺事情からご説明すると、『Deus Ex』シリーズはFPSとRPGのハイブリット作品で、FPSの基本システムのなかにキャラの成長要素や行動選択の自由等と言ったRPGの特徴を有しています。

 近未来の人体改造技術が発達した世界が舞台のサイバー・パンクな作風で、特殊部隊のエージェントとなり世界を股にかけて巨大な陰謀に立ち向かっていくストーリー。こうきくと日本人としては『攻殻機動隊』を連想する方もいらっしゃるかと思いますが、実際のところかなり近いです。

ストーリーも評価が高い。陰謀と数々のイデオロギーの対立の中、主人公は真の秩序を問われる。

この作品はディレクターがゲーム業界の巨人のひとり、Warren Spector(ウォーレン・スペクター)であることも有名です。Warren Spector(ウォーレン・スペクター)は『Ultima Underworld: The Stygian Abyss(ウルティマ・アンダーワールド:ザ・スティジアン・アビス)』や『System Shock(システム・ショック)』等の開発に携わっており、90年代のRPGにてきわめて重要な影響を与えてきた人物。そんな彼のキャリアのなかでも『Deus Ex』はひときわ高く評価されており、当時における彼の集大成の作品と位置づけられています。

後続の作品としては続編でWarren Spectorも直接関わった『Deus Ex: Invisible War(デウスエクス:インヴィジブル・ウォー)』があり、さらにその続編で開発元はかわってしまいましたが、先ほど触れた『Deus Ex: Human Revolution』があります。

それ以外の関連作としては『System Shock 2(システム・ショック2)』もありますね。これは初代『System Shock』の正当続編ながらWarren Spector自身は開発に関わっていません。『Deus Ex』とも発売が近く、いわば異母兄弟的な間柄にあると言えます。

もっと言うとその『System Shock 2』に中心的に関わっていたのがKen Levine(ケン・レヴィン)という現代のゲーム業界におけるキーパーソンのひとりであり、彼は07年には『BioShock(バイオショック)』という『System Shock 2』の後継作をつくり、いまはそのさらなる後継作の『BioShock: Infinity(バイオショック:インフィニティ)』を開発しています。

『Bioshock』アール・デコ調のデザインが特徴的だが、根幹は『Deus Ex』に通じる部分もある。

当のウォーレン・スペクターは、いまはなんとディズニーの元で『Epic Micky(エピック・ミッキー)』シリーズを手がけており、いままでのハードコアなゲームから一転、ファミリー向きの題材を扱っています。しかしここでもなおスペクターの思想哲学は健在のようで、ゲームの根幹は『Deus Ex』と共通する部分が多々あります。

さらにさらに元『Deus Ex』開発スタッフが現在『Dishonerd(ディスオナード)』というやはり精神的な後継作を開発中であり、このように現代においても『Deus Ex』、あるいはWarren Spectorの精神性というのはしっかり引き継がれ進化発展をしつづけています。

しかし一方で初代『Deus Ex』には後続にはない特有の魅力もあるようにも僕は思っており、今回はその点を時代によって求められるゲーム性の変化という点も絡めながら論じていきたいと思います。

123

Profile

NaBaBaNaBaBa
CGイラストからアナログ絵画、パフォーマンスや文章執筆までマルチにこなす、本業は駆け出しのゲームデザイナー。三度の飯よりゲーム好き。座右の銘は高杉晋作の「おもしろき こともなき世に おもしろく」。

COLUMNS