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Mutron

Mutron

Stratum

Codona

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野田 努   Feb 16,2011 UP

 そう、たとえば、初期のLFOと石野卓球がいっしょにフランクフルトのスタジオに入ってヴィデオゲームに興じている姿を想像してみよう。そのロボティックなミニマリズムから察するにエレクトロニクスに対するフェティシュな感性をもった音楽のようだが、曲によってはジャーマン・トランスめいた哀愁も感じる。関東在住のミュートロンによるデビュー・アルバム『Stratum』は、恐ろしく一途な、言うなれば現代解釈されたオールドスクールなテクノ"トランス"アルバムである。

 ミュートロンの活動は2001年にはじまっている。peechboy、CMT、KEIHINらと結成したDOEL SOUND FORCEがその最初だというが、DOELが解散する直前の2002年にはゾンビ・ネーションが主宰する〈デカスロン〉からデビューEP「Hsart ep」をリリースしている。2004年には〈デカスロン〉から2枚目のシングル「Hologramized Memories」もリリース。2006年には〈20001 IN SOUND〉のコンピレーション『ELECTRO DYNAMIC VOL.2』に収録されると、翌年は石野卓球による『Gathering Traxx Vol. 1』にも収録されている。そして2008年には自身のレーベル〈Codona〉を立ち上げている。また、ベロシマのリミックスを手掛けてそれがフランク・ムラーの〈ムラー〉からも出ていて、つまり、こうした彼の経歴からも、そしてもちろんサウンドからもジャーマン・トランス直系というか......1曲目の"Gate to The Gloom"のサンプリングはフィンガーズ・インクの"スターズ"かと思ってしまったけれど、2曲目"DISCOnect"の4/4キックドラムとキュートなミニマルが僕の頭を20年前のフランクフルトやアントワープに飛ばす。"Pulse Matrix"も〈WIRE〉そのものだが、DAFを思わせるリズム感とレトロでバウンシーな電子音との組み合わせに彼のセンスが出ている。昔ながらのビルドアップするスタイルのディープなトランス"Cold/Hot"があるいっぽうで、クワフトワーキッシュなシンセ・ポップ"iCasio"もある。ジェフ・ミルズ風のループに卓球風のリズムトラックがブレンドされたような"Insecr2010 RE-EDIT"、あるいはダークな"Crooked"などアルバムにはいろいろあるけれど、おおよそそのセンスはジャーマン・トランス的だ。たとえば声がループする"Meccha And Flying Saucer"を聴いていると、おじさんは90年代なかばのベルリンで聴いたマイティ・ダブ・キャッツ(ノーマン・クックのトランス・プロジェクト)を思い出してしまうわけです。

 そういえば、昨年は〈トレゾア〉の音源が再発されたり、プラスティックマンのベスト盤がリリースされたり、今年に入ってからもアリル・ブリカのアルバムがイエスパー・ダールバックのマスタリングで再発されたりと、テクノ再評価の機運が地味ながらにある。ダブステップ世代が昔のアシッド・ハウスやデトロイト・テクノを再発見している真っ直中だという事情もあるのだろうけれど、が、しかしミュートロンの音は電気グルーヴに代表される日本の土着的なテクノ・シーンと強く結ばれているようだ。ま、まさか......いよいよジャーマン・トランス・リヴァイヴァルか!? まあ、もう20年経つのだからそれが起きても不思議ではない。だいたい20年前の東京のテクノ・シーンの起爆剤となったのは、デトロイトでもシカゴでもなく、ドイツのトランスだったのだ。
 「テクノはいま盛りあがっている」とミュートロンは主張する。「DOMMUNEを見てもわかるとおり、多くのビューワーがいますし、インターネットを使って積極的に海外とやり取りをして、自分の音楽を広めている人が多く存在すると思います。クラブへ行けば、普段はテクノを聴かないような人たちまでが、大箱でテクノを聴いて踊っています。私がよく訪れる青山OATHでは、長いときは昼前くらいまでテクノに限らずですが、そういった趣向の音楽で盛り上がっています」

野田 努