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K.K.P. #6 TRIUMPH

K.K.P. #6 TRIUMPH

演劇/コント 日本 100分

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渡辺健吾   Feb 05,2010 UP

 ラーメンズのことはよく知らない。あぁ、MacくんとPCくんの擬人化比較CMのひとたちね、というくらいの知識しかなかった。それ以前だと、NHKの『爆笑オンエアバトル』なんかに出ていた大昔の記憶だろうか。テレビを敬遠して、やりたいことがやれる舞台を中心に活動してるっていうことも、カルト的に熱心なファンがたくさんいることも知らなかった。でも、正直言うと「この笑いがわからない低脳、センスなしは、死んでいいよ」くらいのことを言いそうなお笑いエリート主義のひとたちはすごく苦手なので、たぶん知ってたとしても自分とはあまり相容れない感じのものだろうと敬遠してたはずだから、先入観なしに観られたのはよかったのかも。

 2008年に日本各地で上演された(ラーメンズでも脚本・演出担当する)小林賢太郎のソロ・プロジェクト第6弾となる、手品と演劇とコントを融合させたような妙な味を持つステージ『TRIUMPH』の東京、本多劇場での公演を収録した本作。なぜ、ここで紹介しようと思ったのかは、彼らのサイトの作り(プレイリストやディスコグラフィー等、ミュージシャン/DJ的メタファーを使っている)や、これまでの音楽家のチョイス(椎名林檎や徳澤青弦、LOSALIOSなど)から、なんとなく音楽への強いキモチを感じたということがあった。それに、ネットでラーメンズの映像をいくつか見てみたら、舞台での彼らはほとんど舞台装置を使っていなくて、こういうミニマルなスタイルで音楽に注力したものだったらなにか得るものがあるはずだと、直感したのだ。しかも、今回の音楽担当はFPMの田中知之。広大な音楽知識をもっている彼ならではの舞台の音楽ってどんなものかというのは、あまりFPMを熱心に追いかけてこなかった僕にとっても興味があった。

 さて、本作の内容は、親の大きな期待を背負って生まれたにもかかわらず、無気力で無職でどうしょうもない生活を送っている主人公カフカ(小林)が、"背丈がぴったりなのと中身が空っぽだから"という条件だけで魔法使いの屋敷に拉致され、半ば強引に後継者として魔法を覚えさせられるという筋書きになっている。72時間後には消滅してしまうという運命を背負った先代魔法使いは本物のマジシャンのYUSHI、一言もしゃべらない設定の魔法使いの分もコミカルに舞台を盛り上げるふたりの手下役に犬飼若博と森谷ふみが配された4人芝居だ。「魔法」と言いつつ、単にそれほど斬新さもないマジックが延々と披露されるというのは笑うべきネタなのか、新しい試みとしてやってイマイチうまくいってないのかわからなかったが、小林自身がかなりのマジック好きのようなので単なる思いつきを100分ものお話にでっちあげたということなのかもしれない。秀逸な脚本や演技で感動させるとか思いっきり笑わせるというよりは、これまでの小林の世界やセンスをよく知ってるファン向けのサーヴィスという趣だ。つまらないわけではないし、ところどころ笑わされる箇所もあるが、どうもそれが創作の世界でなく、「いま舞台をやってる」というフレームをはみ出したメタなところへ踏み込んだときばかり(例えば、劇場での携帯電話や遅刻してしまった際のマナーを諭すネタ)だったようにも感じた。

 期待していた音楽も、ピアノ・ジャズ的ないかにもマジック・ショーを想起させる古臭いループ曲(やたらにスクラッチ・ノイズがのっていたから既存の作品のリエディットかも?)と、ダンスするシーンなどで使われた80年代風エレクトロなど、狙っているのだろうけどあまりに良さがわからないものだった。田中知之自身が劇場にいて、曲の展開や尺をその場で決めていた、なんてことはないと思うのだが、仮にそういう生の要素を持たせてやっていたにしても、もっと音で昂揚させられる部分はあったはず。いろんな面でオーソドックスを狙いすぎだろうか。そういうものこそ実はとても難しいというのは、本当なんだな。

渡辺健吾