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Random Access N.Y.

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vol.111 : ヴェジタリアン&ヴィーガン事情

沢井陽子 Feb 22,2019 UP

 NYにいると、だいたいどこのレストランに行ってもヴェジタリアン& ヴィーガン・オプションがある。NYは人種のるつぼなので、ヴェジタリアン& ヴィーガンの背景には、宗教的なものもあればアレルギーもあれば、健康上の理由、自分のポリシー、たんに好き嫌いなど、様々な事情がある。

 ミュージシャンにはヴェジタリアン、ヴィーガンが非常に多い。理由はさまざまで、動物を食べるのが嫌だという理由もあるし、健康のためというひともいる。肉は食べないが魚は食べるペスカトリアンもいるし、肉は食べないが卵は食べるなど、いろんな人がいる。彼らはだいたいその食生活を長く続けるので、ヴェジタリアンはみんな似たような顔つきになり、最近は顔を見れば、その人が肉を食べるか食べないか、わかるようになった。人は食べ物でできているわけだ。

 でも、その食習慣を変える人もいる。知り合いで、25年ヴェジタリアン(その間5年ほどヴィーガン)だったひとが最近肉を食べはじめた。理由はツアーが多く、自分の希望のものが各地でなかなか手に入らない、ということだった。「そんな長いあいだ肉を食べなくて、いきなり食べて大丈夫?」と聞くと、「最初は変な感じだったけど、だんだん慣れてきた」という。昔より少し顔つきがワイルドになり、なんだか良い気を持っているようにも思える。
 また、別の友だちはグルテン・フリーダイエットをしている。彼女は、いかにグルテンが身体に悪いかと言うことを長々と話してくれたのだが、たしかに会うたびに、顔が白く、不健康そうになっている気がする。健康上のためというが、普通になんでも満遍なく食べるのがいいんじゃないかな、と私自身は思う。アレルギーがある人は仕方がないが。

 話しは変わりますけど、私がやっているたこ焼きイベントに来てくれるお客さんにもヴェジタリアンは多い。オプションにコンニャクを使うのだが、先日間違えてタコの方を渡してしまった。「ごめん!」と謝ったら、彼女は「これタコだったの? 美味しい」と、タコの方をキープした。アレルギーがあったら、とドキドキしたが、食べれるんじゃん、とまあ、そこまで厳しいヴェジタリアンはそうそう多くはいないのだ。なかにはタコが好き過ぎてタコが食べれないというひともいる。アメリカでは、タコはとても賢く神聖な生き物だとされているから。

 とにかく、NYではヴェジタリアン&ヴィーガンレストランがトレンドだ。スウィートグリーンチョップトなどのサラダ専門店は、ピークは過ぎたが、いまはディグインヘールアンドハーティビヨンド寿司など、一貫したポリシーを持つ、個性のあるレストランが人気だったりする。

 アセンスにいた頃、まわりはヴェジタリアン&ヴィーガンばかりで、同じレストランで同じものを頼む友だちに「いつも同じものを食べて、飽きない?」と質問したことがある。彼は、これが好きだし、自分でもいろいろ作るよ、と他の友だちを誘って、ポットラック・パーティを開いてくれたことがあった。豆腐のラザニア、ケールのお浸し、フェイクミートのチキンウィング、マックアンドチーズなど、肉を使わなくてもこんなにバラエティの富んだ料理ができるんだと感心したことがあった。本当に美味しかったから。

 ウィリアムスバーグに引っ越し当初は、champs diner
というレストランによく通っていた。近所だし、美味しくて、来ている人もオシャレで居心地が良かったので通っていた。でも、そこがヴィーガン専門だと知ったのは少し後だった。メニューには、バッファローチキンやフィリー・チーズステーキ、ルーベン、チーズバーガーまである。しかし、それらがセイタンなどのフェイクミートで作られていると知ったときは本当に驚いた!
 ラーメン屋に行っても、ヴェジタリアン&ヴィーガンオプションは当たり前。昨日行ったラーメン屋では、友だちが美味しそうにベジタリアン味噌ラーメンを食べていて、私も味見をさせてもらった。で、自分の鶏ガラベーススープよりも、美味しいと思ってしまった。いまやヴェジタリアン&ヴィーガン=不味いというのは過去の話で、ヴィーガンスイーツなどはたくさんオプションがあり過ぎて困ってしまうぐらいだ。有名なのはエリンさんのbaby cakeベーカリー
 ちなみに、NYのフードブログ のgrub streetがおススメのヴェジタリアン&ヴィーガンレストランを紹介している。いまの私のお気に入りはSuperiority burger。元パンク・ドラマーで、ファンシーレストランのデル・ポストで、デザートシェフを務めていたbrooks hardleyの新しい冒険。いつ行っても行列で、しょうがないのでテイクアウトにするのだが、彼の手先の器用さはドラムさばきから来ているらしい。ツアーのときに、何もないのでバンドメイトに料理を作ってあげたことからフードの世界に入り、あっというまにアワードを受け取るデザートシェフになったという。そして、自分のヴィーガンバーガー屋をオープンして現在にいたる。働いている人もミュージシャンや俳優などで、そうなるとファンも付いている。まるでショーを見に行く感覚だ。ギャング・ギャング・ダンスのブライアンもこの店のファンで、アルバム制作に影響を与えたとか。たしかに、このフードならわかる気がする。



パンク・バンドのドラマーからヴェジタリアンフードのシェフになって成功したブルックスのお店、Superiority burgeの展開です。

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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