ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Brian Eno ──ブライアン・イーノがレーベル〈Opal〉を再始動、あわせて00年代の2作品がリイシュー
  2. Arca - XXXXX
  3. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  4. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  5. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  6. R.I.P. 鷲巣功
  7. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  8. Loraine James ——ロレイン・ジェイムズの新作、突如のリリース(しかも無料DL)
  9. interview with Cameron Picton (My New Band Believe) 元ブラック・ミディのキャメロン・ピクトン、新バンドにかける想い | ──初のアルバムを送り出したマイ・ニュー・バンド・ビリーヴ
  10. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  11. interview with caroline いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽はほかにない | キャロライン、インタヴュー
  12. Future Sound of Jazz ——蘇る「フューチャー・ジャズ」、ドイツの〈Compost〉の人気シリーズが16作目
  13. This Is Lorelei - The Singer in My Band | ディス・イズ・ローレライ
  14. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  15. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  16. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  17. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  18. Tohji - angel
  19. Kim Doeon - SLAPSTICK | キム・ドオン
  20. Arca - &&&&&  | アルカ、Jesse Kanda,Distroid

Home >  Reviews >  Album Reviews > Talk Normal- Secret Cog

Talk Normal

Talk Normal

Secret Cog

Just For the Hell of It

Amazon iTunes

野田 努 Jan 29,2010 UP

 最近はふたり組のバンドが目に付く。スーサイドを最新ヴァージョンにアップデートしたようなウェット・ヘアーもそうだし、トーク・ノーマルもそうだ(昨年末に観た巨人ゆえにデカイもそうだった)。昨年末に発表したデビュー・アルバム『シュガーランド』はiPodに入れてよく聴いている。彼女たちの音楽は、カンが残した名曲のひとつ"ピンチ"をアップデートしたような、トライバルな反復性と重厚なノイズ、そしてニヒルなヴォーカリゼーションに特徴を持っている。ドラマーのアンドリヤ・エンブロによるトライバルなビートにはボアダムス・フォロワーたちのブルックリンを感じることもできる。で、調べてみたら実際に彼女は77ボア・ドラムに参加していた(もうひとりのメンバー、ギターのサラ・レジスターはマスタリング・エンジニアとしてそれなりのキャリアを持っている)。とにかく僕は、この音楽の"エネルギー"に打ちのめされたのである。街を歩いているとき、電車に乗っているとき、この音楽を体内に注入するとまるでカンフル剤のように機能する。ノイズでありながら、ダンサブルなところも良い。

 『シュガーランド』が好評だったこともあり、2008年にCDRのみで発売されていた5曲入りがヴァイナルで登場した(それとダウンロード、いまのところCDはなし)。A面の3曲――目が覚めるようなノイズではじまる1曲目の"グリニン・イン・ユア・フェイス"における歌とトライバル・ビートの掛け合い、"ユリーカ"におけるも不協和音とマシナリーなビート、ESGを彷彿させる"レモネード"も素晴らしいが、このバンドの可能性を感じるのはB面に収録された2曲だ。"33"でクラウトロックの反復を寒々しく凍らせたような、あるいはホラー映画のサウンドトラックめいた音を展開すると、続く"レスト・ウィズ・ミー"は実な巧妙にミニマリズムとドローンを取り入れて、いわば"IDMスタイルを通過したヴェルヴェッツ"のような音を創出している。

 これはニューヨークのアンダーグラウンドにおける伝統的ノイズ・ロック、その最新版。

野田 努