ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Aphex Twin ──30周年を迎えた『Selected Ambient Works Volume II』の新装版が登場
  2. interview with John Cale 新作、図書館、ヴェルヴェッツ、そしてポップとアヴァンギャルドの現在 | ジョン・ケイル、インタヴュー
  3. Amen Dunes - Death Jokes | エーメン・デューンズ
  4. Iglooghost ──“Z世代のAFX/スクエアプッシャー”、イグルーゴーストが新作を携えて来日
  5. Jeff Mills ──早くも送り出されたジェフ・ミルズのニュー・アルバムはメンタル・ヘルスを守ることがテーマ
  6. John Cale - POPtical Illusion | ジョン・ケイル
  7. Burial / Kode9 ──ベリアルとコード9によるスプリット・シングルがサプライズ・リリース
  8. FUMIYA TANAKA & TAKKYU ISHINO ——リキッド20周年で、田中フミヤと石野卓球による「HISTORY OF TECHNO」決定
  9. Larry Levan 70th Birthday Bash ──ディミトリ・フロム・パリ、MURO、ヴィクター・ロサド、高橋透、DJ Noriらがラリー・レヴァン生誕70周年を祝う
  10. A. G. Cook - Britpop | A. G. クック
  11. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  12. Natalie Beridze - Of Which One Knows | ナタリー・ベリツェ
  13. talking about Aphex Twin エイフェックス・ツイン対談 vol.2
  14. Beth Gibbons - Lives Outgrown | ベス・ギボンズ
  15. 『蛇の道』 -
  16. Mary Halvorson - Amaryllis & Belladonna
  17. Iglooghost - Tidal Memory Exo | イグルーゴースト
  18. Cornelius ──コーネリアスがアンビエント・アルバムをリリース、活動30周年記念ライヴも
  19. ドライブアウェイ・ドールズ -
  20. James Hoff - Shadows Lifted from Invisible Hands | ジェイムス・ホフ

Home >  Reviews >  Album Reviews > Talk Normal- Sugarland

Talk Normal

Talk Normal

Sugarland

Rare Book Room

Amazon iTunes

三田 格 Dec 28,2009 UP

 R2枚とカセット1本を経て、アンドリア・アンボロとロッジ専属のエンジニア、サラ・レジスターが組んだ女性デュオによる1作目。リディア・ランチとソニック・ユースのマッシュ・アップか、ギャング・ギャング・ダンスのゴシック・ヴァージョンか。『砂糖の国』というタイトルとは裏腹に呪術的なインダストリアル・パーカッションが切羽詰った世界観を表現し、デビュー・アルバムにしていきなり退路のない完成度を誇っている(アンボロは77ボアドラムに参加、レジスターはソニック・ユース『ダーティ』やルー・リード『アニマル・セレナーデ』のマスタリングなどキャリアはかなり長い)。天にも昇るようなファック・ボタンズとは対照的に徹底的に地下深くを潜行し、いわゆるオルタナティヴ・サウンドをアップ・トゥ・デートさせようとしているというか、この迫力にはとても逆らえません(ユニット名はおそらくローリー・アンダースンの曲名に由来)。00年代を通して続いてきたニューヨーク復興の動きからすれば手探り状態だったブラック・ダイスや、かつてとは違う雰囲気を持ち込んだアニマル・コレクティヴに比してバトルズとともに「ニューヨーク完全復活」と呼びたい確信とノスタルジー、そして、青春の二文字が。知性を感じさせるロック・ミュージックのしぶとさにも舌は巻かざるを得ない。疾走感のある曲ばかりでなく、ゆっくりと地面を踏みしめるような"モスキート"や"ユニフォームズ"に漲る圧迫感など、どこを取ってもコンクレート・シティの厳しさにあふれ、ニュー・ヨリカンやズールー・ネイションの片鱗もここには見当たらない。ロクシー・ミュージック"イン・エヴリー・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク"のカヴァーがそれこそノイバウテン・ミーツ・バンシーズといった風で、緊張感を引き出す音の位相やセンスには抜群のものがあり、全体に思い切りがよく、音の整理がうまくて混沌としながらも雑多な印象は与えず、とにかくソリッドの一語に尽きる。前衛指向ではないものの、"ウォーリアー"では多少、実験的なところも。インナーに歌詞をコラージュのようにして貼り合わせてあるので、どれがどの歌詞だかはさっぱりわからず......(アート指向め!)。レジスターが最近、マスタリングを手掛けたものにはリー・ペリーやアソビ・セクス、デペッシュ・モードなども。あー、なかなか大人にはなれませんなー。

三田 格