ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Aphex Twin Live Stream - ──まるで1994年、初来日時のDJを思わせるようなセット (review)
  2. Gloo - XYZ (review)
  3. interview with Joe Armon-Jones 深化するUKジャズの躍動 (interviews)
  4. interview with Moonchild すべてが自然発生のオーガニック・ソウル (interviews)
  5. WXAXRXP Sessions ──〈Warp〉30周年を記念したシリーズ作品が発売、豪華面子が勢ぞろい (news)
  6. Nkisi ──新世代テクノの急先鋒、キシ来日直前インタヴュー (news)
  7. Headie One - Music x Road (review)
  8. Ash Walker - Aquamarine (review)
  9. Kelela & Asmara - Aquaphoria (review)
  10. !!! (Chk Chk Chk) - Wallop (review)
  11. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  12. interview with (Sandy) Alex G 塩と砂糖の誘惑 (interviews)
  13. Bon Iver ──ボン・イヴェールの来日公演が決定 (news)
  14. Leo Svirsky - River Without Banks (review)
  15. Tohji ──いま若い世代から圧倒的な支持を集めるラッパーが、初のミックステープをリリース (news)
  16. 泪橋を渡って山谷の泪橋ホールまで行けば、そこで2本のドキュメンタリーが上映されている (news)
  17. Laraaji ──ララージがまさかの再来日、ブライアン・イーノとの名作を再現 (news)
  18. Aphex Twin ──エイフェックス・ツイン最新公演のライヴ・ストリーミングが決定 (news)
  19. interview with For Tracy Hyde シティ・ポップ・リヴァイヴァルから「シティ」を奪還する (interviews)
  20. Lafawndah - Ancestor Boy (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Sun Araw- Ancient Romans

Sun Araw

Sun Araw

Ancient Romans

Sun Ark

Amazon iTunes

三田 格   Sep 07,2011 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 リイシューやリマスターが続いていたけれど、『オン・パトロール』以来、1年半ぶりとなる5作目はどうやらセルフ・レーベルから(正確にはマシュウデイヴィッドとのライヴ・カセットが昨年末にリリースされている)。
 マスタリングにソニック・ブームを迎えているところがまずは目を引くところで、導入はテリー・ライリーを思わせる中華風味のシンセ・ドローン。これがなかなか堂に入っていて、続く"クラウン・シェル"にも基本的なムードは引きつかれながら、だんだんとトレードマークのダブ・ファンクへと発展していく。それも前ほど先へ先へと急ぐ感じはなくなって、ダブに遊んでいるようなパターンが増え、全体的に陶酔感も高まっている。つまり、ソニック・ブームの起用はかなり頷ける。さらに"クレタ"ではサイケデリックな音が乱舞が延々と持続し、どこをとってもトリップ・ミュージック以外の何者でもなくなっていく。気持ちいい。
 『古代ローマ的』というのはさすがにダッサいタイトルだけど、瞑想的なモードに入りすぎて、もはやこの世にいる気がしないのだろう。それこそ60年代の轍をそのまま繰り返してしまいそうなほど現代には距離を感じ、頭の中はフィリップ・K・ディックのようなことになっているに違いない。目を上げたらローマが見えたとか、そんな感じ。イギリスを中心としたヨーロッパのセカンド・サマー・オブ・ラヴからは、こうした感覚は生まれなかった。「知」はアジアや古代に潜在しているという強迫観念はアメリカ人に独特のものなのだろうか。我らがキャメロン・ストーローンズがハレ・クリシュナやサイエントロジーのようにならないことを願うしかありませんね。
 中盤からは多少、乱れ打ちの感覚でトリップ・ミュージックのいろはが並べられる。いささか苦行めいた"デルフォイの神殿にて"(......ってギリシャじゃなかったっけ?)、どこからかドン・チェリーが出てきそうな"シーザーにぴったり"、後半はまたガラッと雰囲気を変えて、モンドめいた猥雑さを併せ持ちながら混沌としたヴィジョンが展開され、最後は100%シルクなどの動向を意識したのか、呪術的なディスコで締めくくられる(この曲だけベスト・コーストからボッブ・ブルーノがエンジニアに起用されている)。これでようやく現代に戻ってきたという意味なのだろうか......。

三田 格