ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Lucrecia Dalt - No Era Sólida (review)
  2. interview with Oneohtrix Point Never(Daniel Lopatin) OPNはいかにして生まれたのか (interviews)
  3. interview with Meitei 海外で評判の新進電子音楽家、日本文化を語る (interviews)
  4. Oliver Coates - Skins n Slime (review)
  5. Wool & The Pants ──ウール&ザ・パンツのNTSラジオでのミックスショーが格好いいので共有させてください (news)
  6. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  7. Bill Callahan - Gold Record (review)
  8. Autechre - Sign (review)
  9. Oneohtrix Point Never ──OPNがニュー・アルバムをリリース (news)
  10. Bruce Springsteen ──ブルース・スプリングスティーンが急遽新作をリリース、発売日は大統領選直前 (news)
  11. Planet Mu's 25th anniversary ──プラネット・ミュー、25周年おめでとうございます (news)
  12. Richard Spaven & Sandunes - Spaven x Sandunes (review)
  13. interview with ZORN 労働者階級のアンチ・ヒーロー (interviews)
  14. 11月7日、川崎の工業地帯での野外パーティ、Bonna Potあり (news)
  15. Sound Patrol 久々にやります - (review)
  16. Young Girl - The Night Mayor / V.A. - A Little Night Music:Aural Apparitions from the Geographic North (review)
  17. R.I.P. 加部正義 (news)
  18. ralph ──気鋭の若手ラッパーがファーストEPをリリース、プロデュースは Double Clapperz (news)
  19. BIM - Boston Bag (review)
  20. James Ferraro - Requiem For Recycled Earth (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Steve Gunn & Mike Cooper- FRKWYS Vol. 11: Cantos De Lisboa…

Steve Gunn & Mike Cooper

Ambient CountryChill Out Blues

Steve Gunn & Mike Cooper

FRKWYS Vol. 11: Cantos De Lisboa

Rvng Intl.

Amazon iTunes

野田努   Aug 12,2014 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 夏が終わっちまう前に、ロマンティックな音楽を聴こう。厭世的で、嫌味なほど格好いい音楽を聴いてやろう。40歳以上も年が離れたアメリカ人とイギリス人のギター弾きが、ポルトガルの空港で出会い、リスボンで10日間のセッションを試みた。その結果生まれたのが本作である。
 〈Rvng Intl.〉は、この手の年の差コラボを得意とする。サン・アロウとコンゴス、アープとアンソニー・ムーア、ジュリアナ・バーウィックとイクエ・モリ……。「FRKWYS 」シリーズは、音楽的には近しい、親子ほどの年が離れた先達と若手、ときには民族も違った人を組ませる。

 スティーヴ・ガンは、マーク・マッガイアとほとんど同じ時期に脚光を浴びたギタリストだが、マッガイアとは別の方向性をもっている。ガンはブルースであり、カントリーだ。エフェクターは使わない。フィンガーズ・ピッキングで弾く。マニュエル・ゲッチングではなく、ジョン・フェイヒィの側にいる。
 ガンの2008年の出世作、〈Digitalis〉からのアルバムは、ジョン・マーティンのカヴァー曲で終わる。そう、ベン・ワットがもっとも影響を受けたブリティッシュ・フォーク・シンガーのひとりで、昔は「英国のボブ・ディラン」などと呼ばれた男だ。1973年の名作『ソリッド・エアー』の収録曲を演奏したガンのその作品のタイトルは『浮浪者(Sundowner)』。この言葉が、彼の音楽をよく言い表してはいるが、音楽が貧乏くさいわけではない。
 いっぽうのマイク・クーパーは、ジョン・マーティンと同様に60年代から活動している英国のミュージシャンだ。向こうの記事を読むと、ローリング・ストーンズへの誘いを断った男とも書かれている。最初はブルースとジャズを演奏していたが、やがてインプロヴィぜーションに傾倒した。ブルースを基本としながら、実験を好み、フリー・ジャズとサイケデリックに遊んでいる。昨年は、オーストリアのアンビエント/ドローンの作家、ローレンス・イングリッシュが主宰する〈Room40〉からアルバムを発表している。

 『Cantos De Lisboa』は、とても切ない気持ちにさせられると同時に、至福をももたらしてくれる。ブルースの音色は滑らかに流れながら、美しく破壊される。青い空の下で、ギター・アンサンブル以上の何かが立ち上がる。

野田努