ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. August Greene - August Greene (review)
  2. Gonno & Masumura - In Circles (review)
  3. Brett Naucke - The Mansion (review)
  4. 078 KOBE 2018 ──神戸のフリーフェスにてURがライヴ出演 (news)
  5. Against All Logic - 2012-2017 (review)
  6. Gonno & Masumura ──ゴンノ&マスムラ、テクノとアフロビートで宇宙を目指す (news)
  7. IDM definitive 1958 - 2018 ──IDM/エレクトロニカの大カタログ刊行のお知らせ (news)
  8. interview with Kaoru Inoue 人はいかにして、このハードな人生を生きながらゆるさを保てるか? (interviews)
  9. SILENT POETS ──サイレント・ポエツ、奇跡的メンツの「スペシャル・ダブ・バンド・ライヴ・ショー」決定 (news)
  10. Tom Misch - Geography (review)
  11. Lolina - The Smoke (review)
  12. STRUGGLE FOR PRIDE ──伝説のアーバン・ハードコア・ノイズテラー、SFP新作/そして1stが追加曲ありで再発 (news)
  13. interview with Unknown Mortal Orchestra 暗闇の先のメロウネス (interviews)
  14. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  15. interview with Phoenix - ──フェニックス、来日記念インタヴュー (interviews)
  16. R.I.P. Cecil Taylor すべての棺桶をこじ開けろ (news)
  17. Terekke - Improvisational Loops (review)
  18. Moodymann ──ムーディマンがニュー・アルバムをリリース (news)
  19. Columns ダニエル・エイヴリーの新作が仄めかすもの (columns)
  20. interview with Subarashika この素晴らしか世界 (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Steve Gunn & Mike Cooper- FRKWYS Vol. 11: Cantos De Lisboa…

Album Reviews

Steve Gunn & Mike Cooper

Ambient CountryChill Out Blues

Steve Gunn & Mike Cooper

FRKWYS Vol. 11: Cantos De Lisboa

Rvng Intl.

Amazon iTunes

野田努   Aug 12,2014 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 夏が終わっちまう前に、ロマンティックな音楽を聴こう。厭世的で、嫌味なほど格好いい音楽を聴いてやろう。40歳以上も年が離れたアメリカ人とイギリス人のギター弾きが、ポルトガルの空港で出会い、リスボンで10日間のセッションを試みた。その結果生まれたのが本作である。
 〈Rvng Intl.〉は、この手の年の差コラボを得意とする。サン・アロウとコンゴス、アープとアンソニー・ムーア、ジュリアナ・バーウィックとイクエ・モリ……。「FRKWYS 」シリーズは、音楽的には近しい、親子ほどの年が離れた先達と若手、ときには民族も違った人を組ませる。

 スティーヴ・ガンは、マーク・マッガイアとほとんど同じ時期に脚光を浴びたギタリストだが、マッガイアとは別の方向性をもっている。ガンはブルースであり、カントリーだ。エフェクターは使わない。フィンガーズ・ピッキングで弾く。マニュエル・ゲッチングではなく、ジョン・フェイヒィの側にいる。
 ガンの2008年の出世作、〈Digitalis〉からのアルバムは、ジョン・マーティンのカヴァー曲で終わる。そう、ベン・ワットがもっとも影響を受けたブリティッシュ・フォーク・シンガーのひとりで、昔は「英国のボブ・ディラン」などと呼ばれた男だ。1973年の名作『ソリッド・エアー』の収録曲を演奏したガンのその作品のタイトルは『浮浪者(Sundowner)』。この言葉が、彼の音楽をよく言い表してはいるが、音楽が貧乏くさいわけではない。
 いっぽうのマイク・クーパーは、ジョン・マーティンと同様に60年代から活動している英国のミュージシャンだ。向こうの記事を読むと、ローリング・ストーンズへの誘いを断った男とも書かれている。最初はブルースとジャズを演奏していたが、やがてインプロヴィぜーションに傾倒した。ブルースを基本としながら、実験を好み、フリー・ジャズとサイケデリックに遊んでいる。昨年は、オーストリアのアンビエント/ドローンの作家、ローレンス・イングリッシュが主宰する〈Room40〉からアルバムを発表している。

 『Cantos De Lisboa』は、とても切ない気持ちにさせられると同時に、至福をももたらしてくれる。ブルースの音色は滑らかに流れながら、美しく破壊される。青い空の下で、ギター・アンサンブル以上の何かが立ち上がる。

野田努