「S」と一致するもの

The Steoples - ele-king

 1990年代にヒッポホップ・レーベルからスタートした〈ストーンズ・スロウ〉は、2000年代に入ってマッドリブのイエスタデイズ・ニュー・クインテットをリリースする頃からジャズをはじめ幅広い作品をリリースするようになっていった。現在はビート・ミュージックからロックやアンビエントなど多岐に渡る作品がリリースされるのだが、そうしたなかでもメイヤー・ホーソーンやアロー・ブラックなどのリリースでソウル~R&B路線もひとつの柱となっている。彼らとアプローチは異なるが、ザ・スティオプルズもそうしたソウル系のアーティストと言える。

 ザ・スティオプルズはガブリエル・レイエス・ホイテカーとイエオフィ・アンドーによるユニットで、2012年に「ザ・スティオプルズ・EP」でデビュー。それ以前もガブリエル・レイエスはGB(ギフティッド&ブレスド)名義で活動してきており、レーベルの〈ギフティッド&ブレスド〉も主宰している。LAビート・シーンの初期から活動するプロデューサーで、GB名義のアルバム『サウンドトラック・フォー・サンライズ』(2004年)はスティーヴ・スペイセックから大御所のアイアート&フローラ・プリム夫妻まで参加するなど、彼の幅広い音楽性と人脈が窺い知れるものだ。LAビート勢のなかにあって、マッドリブのプロジェクトのDJレルズと共に当時のUKのブロークンビーツ・ムーヴメントにも呼応したようなところもあった。ほかにもジ・アブストラクト・アイ、ザ・リフレクター、ジュリアン・エイブラーなど複数の名義でエレクトロニック・サウンドのビートメイカーとして活躍し、一方フランキー・レイエス名義では彼のルーツであるラテン音楽を主体とした作品も作っている。

 一方、イエオフィ・アンドーはイギリスからロサンジェルスに移住してきたDJ/プロデューサーで、UK時代はアシッド・ジャズ~ニュー・ジャズ方面で活躍したアウトサイドにシンガーとして参加していた。その後、ア・レイス・オブ・エンジェルスという個人プロジェクトを興すのだが、ここにはアウトサイドのときの同僚のアンドレアス・アレンも参加して、主にダウンテンポ・ソウルやファンク系の音をやっている。2007年にリリースされた『フロム・L.A.・ウィズ・ラヴ』というオムニバスにフライング・ロータス、ノーボディ、カルロス・ニーニョ、ガスランプ・キラーらと共に参加するなど、LAビート・シーンにもコミットした活動をしているが、GBの『サウンドトラック・フォー・サンライズ』にもヴォーカリストとして参加していて、ガブリエル・レイエスとの関係はその頃よはじまっていた。

 ザ・スティオプルズとしてはデビューEPの「ザ・スティオプルズ・EP」を〈ギフティッド&ブレスド〉からリリースした後、2017年に〈ストーンズ・スロウ〉に移籍してアルバム『シックス・ロックス』をリリース。そして、それから4年ぶりのニュー・アルバムの『ワイド・スロー・ジ・アイズ・オブ・ノー・ワン』を先日発表という流れとなる。ふたりのトラックメイカーが作るサウンドは、LAビート・シーンの流れを汲むジャジーなダウンテンポを中心に、ときにサイケデリックでコズミック、ときにディープに沈みこんでいくような世界を作り出す。そして、そこにイエオフィのソウルフルなヴォーカルが結びつき、スティーヴ・スペイセックやテイラー・マクファーリンなどに通じるダウンテンポ・ソウル・アルバムが『シックス・ロックス』だった。中にはアブストラクトな雰囲気のインスト曲もあり、そのあたりはビート・ミュージック色が強いなという印象を持ったものだ。

 その印象からすると、『ワイド・スロー・ジ・アイズ・オブ・ノー・ワン』はより明確なソウル色が出たアルバムとなっている。ビートメイクというよりも、イエオフィのヴォーカルをさらに生かす形でソングライティングに重点が置かれたエレクトリック・ソウルだが、随所に楽器類のオーガニックな演奏が配備されている。ストリングスとギター演奏が生み出す広がりのある空間が印象的なアコースティック・ソウルの“イン・ザ・ダンス”は、ガブリエル・レイエスならではのラテン的なフィーリングを持ち、往年のスティーヴィー・ワンダーを思い起こさせるところがある。“コットン”はマーヴィン・ゲイの“アフター・ザ・ダンス”やエムトゥーメイの“ジューシー・フルーツ”などの世界に繋がるような浮遊感に満ちたクワイエット・ストーム。ラテン・リズムを取り入れた“ワイド・スロー・ジ・アイズ・オブ・ノー・ワン”は哀愁に包まれたバレアリック・ソウルで、“ザ・グッド・ニュース”は4ヒーローのようなブロークンビーツ的なフィーリングを持つ。1970年代から1980年代の良質なソウル・ミュージックのエッセンスを受け継ぎ、そこにブロークンビーツやダウンテンポなどDJ的なセンスを融合したのが『ワイド・スロー・ジ・アイズ・オブ・ノー・ワン』である。

DJ Seinfeld - ele-king

 はじまりは、彼女に振られた傷を癒やすためだった。アメリカのシットコム『となりのサインフェルド』をビンジ・ウォッチしたのち、DJサインフェルドを名乗ったスウェーデンはマルメに住む音楽一家の青年、アーマンド・ヤコブソンが2017年に “U” をドロップすると、ロウな質感を伴ったメランコリックな響きを持つその4つ打ちはまたたく間に広まり、それは同世代のロス・フロム・フレンズ──不思議な偶然。彼もアメリカのシットコム(『フレンズ』)から名前を拝借している──、モール・グラブ、DJボーリングといった面々と並列されながら、主にユーチューブのレコメンド・アルゴリズムを契機とした、インターネット発のローファイ・ハウスなるタームを生み出した。

 しかし、そんなネット発でバズったジャンルにまとめられた彼らも、いまや、「悲しさ」や「メランコリー」といったローファイ・ハウスの陳腐なクリシェからの飛躍を試み、それぞれが自己のアーティスト性を高めようと動いている。それは、DJサインフェルドも例外ではなく、人気コンピ・シリーズ『DJ Kicks』へのミックス提供、エイフェックス・ツインが彼の “Sakura” をスピンしたことなど、彼がこのジャンルの枠組みに収まらないことは、これらの事実が端的に物語っている。

 〈Ninja Tune〉からの初リリースとなる『Mirror』でもローファイ・ハウス感は抑えられており、その代わり、UKガラージ、イタロ、ダウンテンポなどを援用した、彼の音楽的な多彩さを感じさせるダンス・ミュージックに仕上がっている。同ジャンルの文脈から語られることもあったフォラモアは、〈FHUO Records〉からリリースした『The Journey』ではポップス(売れ線)に寄りすぎて残念だったのだが、DJサインフェルドはその点において絶妙な着地点を見つけたように思う。つまり、誰にでも開かれたフレンドリーなサウンドでありながら、アンダーグラウンドなダンス・ミュージックの出自もきっちりと感じさせるようなアルバム。僕のようなミュージック・ナードが惹かれるような部分もありつつ、音楽に対して深く入れ込んでいないようなひとにも……たとえば、さまざまな趣味嗜好を持った友人たちとドライヴしているときにかけたってなんら不自然ではない、誰だって入り込めるようなアルバムにもなっている。

 テイラを2曲でフィーチャリングしたことをはじめとして、『Mirror』にはヴォーカルがあり、それが作品としての開かれた感覚に一役買っているのだろう。しかしそれは、DJがたくさんのヴォーカリストを招聘して歌を乗せるだけのポップス・アルバムなどではなく、ヴォーカルはサウンドのいち部分として、深いリヴァーブをかけ、ときにはサンプリングの作法に倣うような手法を用いつつ、声を中心に置くのでなく、あくまでDJサインフェルドによって創造されたサウンドスケープを軸に展開されている。また、「いまのダンス・ミュージックで興奮していること」、との問いに対して「UKガラージのリヴァイヴァル」と短く回答したのは、今作のムードを形作るひとつの要素として、UKガラージの存在があることもほのめかす。“Walking With Ur Smile” のビートがまさにそうであるし、R&Bのヴォーカルを乗せた “Someday” もこの手のジャンルが好きならばたまらない。これらの2曲だけでもリズム面において飽きさせない効果をもたらすし、さらにダウンテンポなインタールード “Home Calling”、イタロ調のサマー・アンセム “U Already Know” など、かつてないほどに作品としての充実を感じさせる。

 先行シングルの “These Things Will Come To Be”、クローザーの “Song For The Lonely” など、彼の出自たるローファイ・ハウスの刻印は残っているものの、それはわずかばかりの残余であり、「より良いプロデューサーになりたい」と語るDJサインフェルドによって繰り出されるこれらの音は、すくなくともこのジャンルにはとうてい収まりきらない、より広い聴衆へのリーチを試みる進取の気性に富んだ作品に結実している。

 アルバムのタイトルは、アルゼンチンのフリオ・コルタサルによる詩から着想を得たという。「あなたはいつも私の鏡だった。私自身を見るために、私はあなたを見ている」(原題『Bolero』)と。「ベリアルの真似事」をやっていた青年が、傷心を癒やすためベッドルームで音楽を作り、それがローファイ・ハウスにおけるクラシックとしての、メランコリックで陰鬱な音を伴った “U” になったこと。そして、今作において多くの時間をマルメの実家で過ごし、家族や友人と幸せな関係を築くことの大切さに気づいたことで、来るものを拒まないフレンドリーな『Mirror』になったこと。そう、彼が作ってきた音楽は、彼を移す鏡のようなものだった。もはや傷心した青年の姿はもうなく、『Mirror』がそこに映し出しているのは、これからもっと大きくなることを予感させる、素晴らしい才能に満ちたアーティストの姿なのだ。

Radiohead - ele-king

 2000年秋にリリースされたレディオヘッドの4枚め『Kid A』と2001年春にリリースされた5枚め『Amnesiac』は、それまでのギター主体のスタイルを放棄、当時の若きロック・リスナーにエレクトロニック・ミュージックなどへの道を示してくれた転機作だった。
 その20周年を祝し、同2作が新たにひとつの作品としてリイシューされる。題して『Kid A Mnesia』。未発表曲も含まれている。発売は11月5日。数量限定のレッド・ヴァイナル盤はすぐになくなりそうな予感がするので、お早めに。

RADIOHEAD
世紀の名盤『Kid A』と『Amnesiac』が
20年の時を経てひとつの作品『Kid A Mnesia』へ。
門外不出の未発表曲 “If You Say the Word” が遂に解禁!

KID A MNESIA

「音楽史における20世紀最後の名盤」とも評されるレディオヘッドの4作目『Kid A』と、同時期にレコーディングされ双子作品とも位置付けられる5作目『Amnesiac』が発売21周年を記念し、ひとつの3枚組作品『Kid A Mnesia』として11月5日に〈XL Recordings〉よりリリース。同作より、門外不出の未発表曲 “If You Say the Word” が本日解禁された。

Radiohead - If You Say the Word
https://radiohead.ffm.to/if-you-say-the-word

2000年発売当時、ギター・ロックのフォーマットを捨て去りエイフェックス・ツインやオウテカなど先鋭的なエレクトロニック・ミュージックを取り入れた作風で物議を醸し出したレディオヘッドの革新的4作目『Kid A』。そして同じ時期にレコーディングされ、同作の双子作品にしてクラウト・ロック、ジャズ、ブルーグラスなど古典的な音楽とエレクトロニクスを混ぜ合わせ、円熟を見せる近年のバンド・サウンドの雛形になった『Amnesiac』。今回発売から20年を経て、同レコーディング・セッションから発掘されたBサイドや別ヴァージョン、そして未発表音源 “If You Say the Word” と初公式リリースとなる “Follow Me Around” を含む12曲を収録した『Kid Amnesiae』が追加された3枚組作品『Kid A Mnesia』としてその偉大なる歴史を更新。“エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス”──2000年代の音楽史に革命を起こしながらも二つの軌道を辿った作品が、20年の時を経て今一つになる。

なお、2021年11月5日(金)に世界同時発売となる本作の日本盤3CDは高音質UHQCD仕様となっており、歌詞対訳・解説が封入され、5曲のボーナス・トラックを追加収録。輸入盤3CD/LPは通常盤に加え、数量限定レッド・ヴァイナルが同時リリース。本日より各店にて随時予約がスタートされる。

label: XL Recordings / Beat Records
artist: RADIOHEAD
title: KID A MNESIA
release date: 2021.11.05 FRI ON SALE

The Bug - ele-king

 まだ希望はある。スリーフォード・モッズビリー・ノーメイツの人気を目にするたびにそう感じると、ケヴィン・マーティンは『ガーディアン』のインタヴューで語っている。重厚なサウンドとは裏腹に、本人はオプティミスティックなようだ。
 30年以上のキャリアを有し、さまざまな名義でいろんなスタイルに挑戦してきたヴェテラン、ケヴィン・リチャード・マーティン。彼によるザ・バグ名義は、ダンスホールを追求するプロジェクトである。といってもキャッチーで快楽的なそれではない。ダークでヘヴィでノイジーでインダストリアルな彼のダンスホールは、ジャマイカ文化の盗用ではなく完全に独創的な域へと達している。
 2003年に〈Rephlex〉からリリースされた『Pressure』は、きれいな音響を志向するエレクトロニカ全盛の当時、ばりばりの歪んだ音響でダンスホールを轟かせたという点において異色だった。その後グライムとのリンクを示したザ・バグは〈Ninja Tune〉へと籍を移し『London Zoo』(2008年)を発表、少し間を空けて2014年に『Angels & Devils』をリリースしている。この2作は都市を主題にした三部作を成しているそうで、さらに7年を経て届けられた本作『Fire』はその完結編にあたる。

 テーマはタイトルどおり、火。とにかく怒りに満ちている。ベースはぶんぶん唸りをあげ、サイレンが轟き、歪んだ電子音が全体を支配している。ダンスホールのリディムやグライムのビート、フロウダンやマンガ、ダディ・フレディといったおなじみのMCたちによることばの散弾銃が、苦しみに満ちた現世を容赦なく告発している。“Bang” や “Ganja Baby” で降り注ぐ酸性の雨は、行き場のない憤りが流す涙のようだ。ゾウナルから引きつづいての参加となるムーア・マザーの咆哮(“Vexed”)を聴いているだけでも、本作がメッセージ性の高いアルバムであることがうかがえる。
 可能な範囲で聴きとってみよう。“War” における「戦争/イデオロギーの戦争だ/これは化学の戦争/グローバルな戦争」というナザンバのフックは、ロックダウンや接触者追跡アプリのような監視社会の不気味さ、あるいは製薬会社の利権などまで含めた、パンデミックの混乱を表現しているのではないだろうか?
 本作が生み落とされるきっかけになったのはずばりコロナ・ショックだ。本名で発表されたアンビエント・シリーズもパンデミックが契機だったが、それらが彼自身を落ち着かせるためのある意味ではプライヴェートな作品だったのに対し、今回の『Fire』は社会の混乱そのものを表現しようとしているように聞こえる。

 やはりライヴができなくなったことがそうとう大きかったようだ。「俺にとってライヴ・ショウってのは忘れられないものでなくちゃならない。きみたちオーディエンスのDNAを変えてしまったり、きみたちの生活=人生をうまい具合に傷つけるようなものじゃなきゃだめなんだ」と、マーティンはレーベルのインフォメイションで語っている。「アートとはだれかのこころを傷つけるものである」という宮台真司のテーゼを想起させる発言だが、マーティンがこのように考えるに至ったきっかけはおそらく、パンクだ。
 暴力的で保守的な父のもとに育ったという彼は、「ディスチャージが俺のCNNだった。クラスが俺のBBCだった」と上述のインタヴューで明かしている。「この音楽のおかげで俺は人生に気づくことができたんだ。パンクを発見してからは、やつのクソなことは受けいれられなくなった」。かくして17歳のときに実家を追い出された彼は、数年間ホームレスをやったりしながら生きつづけ、インダストリアルへと辿りつく。そんな人生を歩んできたからだろう、ザ・バグは聴き手を傷つけることをためらわない。「イカれちまうのはいい反応だ。とくに、みんなが音楽をただ消費するだけになって、文化的におしゃぶりを舐めさせられているような感じでコントロールされすぎてしまっているときはね」とマーティンは先のインフォでつづけている。

 最後に配置された “The Missing” も見過ごせない曲だ。ほかとは異なり静けさを携えたこの曲では、ロジャー・ロビンソンが詩を朗読している。以前よりキング・ミダス・サウンドの一員として活動していたトリニダードにルーツを持つ詩人で、2019年にT・S・エリオット賞を授かったことで大きな注目を集めた人物である。テーマになっているのは2017年、ロンドン西部で発生したグレンフェル・タワーの大規模火災。もともと安全性に問題のあったその高層住宅に居住していたのは、低所得者層だったという。70名以上の死者を出したその事故は格差社会を象徴する悲劇となった。
 パンデミックもおなじだろう。新型コロナウイルスによって引き起こされるさまざまな事象が標的にするのは、なによりもまず貧者たちである。先の『ガーディアン』の記事で彼は「このアルバムは、補助金やセーフティ・ネットを持たない者たちのためのものだ」と言い切っている。人間の命は平等ではないことを、ザ・バグは強烈なダンスホールのリディムに載せて教えてくれているのだ。
 日本も無縁ではない。連日、総裁選の行方がマスメディアを賑わせている。派閥争いに明け暮れる連中が人民のことなどこれっぽっちも気にかけていないことは、それこそ火を見るより明らかだ。そんな状況においてこの『Fire』がリリースされたことは、とてもタイムリーだといえよう。もっと怒っていいのだとザ・バグのこのアルバムは、わたしたちのこころに火をつけようとしている。まだ希望はあるのだからと、オプティミスティックに。

Maarja Nuut - ele-king

 これは世界を明るく照らす音楽だ。しかも、素晴らしいことにこの音楽は、押しつけがましさの微塵もない。ある記事のなかで彼女は言う。「世界の誰も私の音楽を待ってはない。ただ私は私のために作っている」 
 民謡(フォーク・ミュージック)や民俗音楽とエレクトロニカとの融合といえばビョークが有名だが、バルト海に面した小国、エストニアのマーヤ・ヌート(Maarja Nuut)はその系譜におけるもっとも眩しい才能のひとりである。本作は最新作だが、彼女はこの6年で共作を入れると5枚ほどのアルバムを発表している。そのほとんどがレーベルなしの自主リリースで、積極的にプロモーションされたという形跡はない。それでも2016年に発表した『Une Meeles』なるアルバムは、ただその音楽の魅力によって彼女の名前を欧州諸国でバズらせて、昨年はあのサン・アロウとの共作を1枚出しているということを、たまたまこの新作に巡り会えたぼくは最近になって知った。
 
 サン・アロウとの共作のタイトルが『ヴァイオリンとギターのためのファンタジア(Fantasias For Violin And Guitar)』というように、マーヤはヴァイオリニストだ。かなりの腕前なのだろう。バルト海から数マイル離れた小さな町ラクヴェレで生まれた彼女は、指揮者である母親を持ち、7歳からヴァイオリンのレッスンを受け、ストックホルム音楽大学ほか3つの大学で音楽を学んでいる。同時に、彼女は早い時期から古来から村々に伝わる民謡(フォーク・ミュージック)に興味を持ち、それをエレクトロニカと接続することを試みていたという。この機会に彼女の過去作も聴いてみたが、そのどれもが魅力的で、とりわけ先に挙げた『Une Meeles』におけるオーヴァーダブされたヴァイオリンの共鳴、それから2018年の『Muunduja』におけるエレクトロニクスとの美しい融合、2020年の『World Inverted』におけるポップと静寂の絶妙なバランスなど、この人の音楽が北ヨーロッパから西へと伝わっていったのもうなずける。 
 
 本作『ヒンジ(Hinged)』は彼女のキャリアにおいて初めての、リズムの躍動を前面に打ち出したアルバムだ。曲によっては、ニコラス・ストッカーというパーカッショニストが参加している。表題曲の“Hinged”はキラキラしたドラミングと小躍りするブリキの合唱で、続く“On Vaja”は後期CANの遊び心と共振しする。“Kutse Tantsule”は電子の鼓動と遊び心ある子守歌、“Mees, Kes Aina Igatses ”は木管楽器と民謡風のメロディがのどかに重なり、そしてオルガンのロングトーンが印象的な“Vaheala Valgus”、ミニマルな電子のパルスがじょじょに高揚する“Subota”、草むらのなかで耳にするミニマル・テクノのごとき“A Feast”、小宇宙にこだまするダブの饗宴“Jojobell”、英語で歌う透き通ったポップ・ソング“A Scene”、で、アルバムの最後はエーテル状のアンビエント“Moment”。

 この作品を知ってぼくはまず、エストニアという国について調べてみた。最初はそこからはじまった。旧ソビエトの一部で、北ヨーロッパのバルト三国のひとつ。多くの島々を擁する海に面した多様な地形、インターネットで見れるその景色は、いかにも北ヨーロッパの美しい田舎といった風情で、彼女のスタジオも海の近くにあるというが、きっと美しい土地に違いない。本作は、彼女の祖母が残した農場を受け継ぎ整理するかたわら、スタジオでモジュラーをランダムに配線し、いろいろ試しながら録音されている。タイトルの『ヒンジ』とは英語ではつなぎ目/ものごとをつなぎ止めるリンクで、エストニア語では離れた精神(split)と魂(soul)を意味しているという。

PACKS - ele-king

 それはある意味でフットボールのクラブと同じようなものなのかもしれない。移籍があって、獲得があって、別れと出会いを経ての浮き沈みがある、音楽レーベルに関して僕はそんな風に思っているところがある。〈Captured Tracks〉なんかはメジャーリーグ・ベースボールにひっかけて所属のアーティストをロースターと表現しているけれど、自分としてはフットボールのスカッドの方が近いんじゃないかと思う(ドラフト制よりももっと自由移籍の側面が強いような感じだ)。気になるバンドがいくつかできて追いかけていくうちに「あれ、またここから出てるのか」と気がついてそうやってお気に入りのレーベルができ上がっていく。違いがあるのはひとつのレーベルに忠誠を誓ったりせずにその時々でどこのレーベルが良いとか勢いがあるとか気軽に言えるところだ。だからレーベルはその分シビアにその場その場で判断される(ひょっとしたらそれはとても健全な状況なのかもしれない。良ければ褒めて悪ければ離れる)。

 そしてしばしばみんな同じタイミングで、同時に気がつくのだ、このレーベルはちょっと凄いんじゃないかって。ディーパー、デフド(Dehd)、ピュアX、Mamalarky、Bnny、ウォンボ、最近の〈Fire Talk〉の勢いは凄い。〈Fire Talk〉はブルックリンのレーベルで創設は2009年、Discogs でカタログを見ると当初はテニスの7インチを出していたりしたらしいけど、いまがいちばん勢いがあるんじゃないかってくらいに最近その名前をよく見かける。レーベルの勢いはリリースするバンドによって可視化され、だからこそみんな同時に気づく、これもそうだしあれもそう、集められた “スカッド” にはいまのレーベルの哲学が詰め込まれているのだ。

 自分にとって〈Fire Talk〉の決定打になったのはトロント出身のバンド、パックスで、いままで出していたディーパーやデフドとはちょっと毛色が違う、90年代を感じさせるペイヴメントみたいなギターにグランジの風味を混ぜてスネイル・メイルや初期のサッカー・マミーみたいなオルタナティヴなインディSSWをやっている感じなのが新鮮だった。でもスネイル・メイルやサッカー・マミーと比べると圧倒的に醒めていて、ギアをローに入れたまま感情を発露させずに言葉少なく淡々と描くようなスタイルだ。ローファイのまま過剰な装飾を施すことなく日記の切れ端を物語として提示する、こういうセンスはちょっとロンドンのバンド、ソーリーと近いような感じで、この感覚がとても良い。

 デビュー・アルバム『Take the Cake』の収録時間は24分弱で、このあたりにも過剰さを排除したバンドのセンスが現れていると思う(伝わらなかったら伝わらないでいい、言葉を尽くし他者を説得しようとしたりしない、そんな醒めた目線がそこにはある)。パックスは元々ヴォーカルのマデリン・リンクスのソロとしてスタートし、そこからバンドになったようだがこのアルバムのなかにもSSW的な感性とバンドのダイナミズムが混在しているようで面白い。“Two Hands” や “New TV”、“Hangman” のような曲はギターの弾き語りから肉付けしていったような感じがするし(この曲たちが続けて配置されているのも偶然ではないような気がする)、“Hold My Hand” はまさにグランジ風味のペイヴメントでありバンドのダイナミズムを感じることができるが、同時にモニターの光に照らされた暗い部屋に寝転びながらスマホを眺め、悪態をついているマデリン・リンクスの姿が思い浮かんでくる。自分がパックスに魅力を感じるのはこの混在している奇妙な要素のバランスなのだ。個人的な日記のようでそうではなく、客観的な視点があって、他者の存在をそこに感じて、バンド・サウンドのなかに個人と社会があるような感じで、それが不思議に調和する。一言で言えばしっくりくるという感じで、センスが良いという言葉で簡単に片付けたくなるようなものだけど、そこに多くの意味をこめたくなる。

 ともすれば情報過多になってしまうような時代にあって、それに反発しこれさえあればいいとひとつのやり方に固執するのではなくて、いま、何ができ、必要なのかと選択肢を広げ選び取る、そして同時にこれはやらないということを判断する、それこそがきっと現代におけるセンスで、それが日常的に様々な場面でジャッジを迫られるような時代において強く求められているものなのだろう。選択と判断こそが時代のキーで、だからこそパックスの音楽は魅力的に響くのだ。溢れる情報のなかで、時代の空気を感じ取り、それを過剰に出すことを選ばずに、リヴァイヴァルが起きはじめている90年代のサウンドのなかに落とし込む。“インディ的な” とまたしても簡単に言葉にしてしまいたくなるけれど、みなが感じるインディらしさとはきっと歴史の積み重ねによってその空気が作り出されてきたもので、はっきりとは見えないけれど確かにそこに存在するものでもある。バンドはそれを表現しレーベルがそれを選び取る、空気は不変ではなくつねに入れ替わり、過去を思い起こさせる新しさが未来を作る(それは伝説的な誰かみたいな選手を求めるクラブとファンみたいなものだ)。

 〈Fire Talk〉のようなレーベルとパックスみたいなバンド、僕はその選択を気にして追いかける。1st アルバムをリリースした後、2021年8月にパックスはその3ヶ月前に発売されたアイスエイジのアルバム『Seek Shelter』の “Drink Rain” をカヴァーし配信でリリースした。信じられないくらいのスピード感、サブスクリプションの時代になって、届けるための手段が増えて、新たな意味がそこに付け加わっていく(カヴァー曲はいまや共感や自らのスタンスを表明するひとつの手段になっている。同時代性を強調しアティチュードを共有する、過去ではなく現在の、それは繋がることができる世界に向けて出された線なのだ)。いま、なんでそれをするのか、その選択が心を躍らせる。パックスにはそんな時代のセンスが詰まっている。だからこそきっとこんなにもドキドキするに違いない。

Jun Togawa - ele-king


■ヤプーズ / ヤプーズ計画(原盤1987 年テイチク- BAiDiS)
Yapoos / Yapoos Keikaku

PLP-0000 ¥3,850(税抜¥3,500)

ヤプーズを語るうえでは外せない1987年のヤプーズ名義で発売された1枚目のオリジナル・アルバム。ポップなサウンドに戸川純の歌詞がエグイ。エロ、グロ、イノセンス。各曲が物語性を持っていて、短編小説、短編映画のような味わい。「バーバラ・セクサロイド」「肉屋のように」収録。



■戸川純 / 昭和享年(原盤1989 年テイチク)
Togawa Jun / Syowa Kyonen

PLP-0000 ¥3,850(税抜¥3,500)

戸川純が芸能生活10周年記念に出したアルバムで、「星の流れに」から「リボンの騎士」まで戸川純のなかの『昭和』を歌ったカヴァー曲集。その選曲と歌唱は戸川純ならではの絶品。何といってもあの野坂昭如/桜井順の名曲「バージンブルース」が最高。初アナログ化。



■ヤプーズ / CD-Y 
Yapoos / CD-Y

PLP-0000 ¥3,300(税抜 ¥3,000)

1999年の東京・大阪ツアーのライブ会場と一部のネット上でしか販売されなかった幻の作品。「シアー・ラバーズ」「ヒト科」他「羽虫」は朗読、「something extra」は戸川純が一人三役をこなすラジオドラマで、ファンにはたまらない異色作にして初の12インチ45回転でアナログ化。戸川純にしか作れない世界観。

BLAHRMY - ele-king

 それぞれがソロMCとしても活躍する MILES WORLD と SHEEF THE 3RD によるグループ、BLAHRMY の実に9年ぶりとなるフル・アルバム。この9年間にそれぞれが蓄積してきた高いスキルが合わさった上で、『TWO MEN』というタイトル通りの純粋な「2MC」スタイルがアルバム全体を通して貫かれている。さらに今回は、彼らの所属レーベルでもある〈DLiP RECORDS〉の屋台骨を支える NAGMATIC が全曲のプロデュースを手がけたことで、BLAHRMY としての純度はより高まっている。

 本作を象徴する一曲は間違いなく1曲目の “Woowah” だろう。90年代後半から2000年代にかけてのNYヒップホップとも通じるドラマチックでストリート感溢れるトラックでありながら、音の鳴りはいまの時代のサウンドそのもので、そのビートに絡みつく MILES WORLD と SHEEF THE 3RD のコンビネーションに圧倒される。彼らが放つひとつひとつの言葉の響きは実に楽器的であり、その言葉がもつ本来の意味にプラスαの価値を加え、まるで新たな命を吹き込むかのように「Woowah」というタイトル・ワードを強烈に光らせる。ちなみに YouTube でも公開されている藤沢駅近くで撮影されたというこの曲のMVは BLAHRMY の世界観がさらにストレートに描かれており、モノクロで撮られた映像も痺れるほど格好良いので、興味ある方はそちらもぜひチェックしていただきたい。

 アルバム前半部は “Woowah” と同様のハードな路線が続き、彼らとも繋がりの深い DINARY DELTA FORCE の RHYME BOYA と緊張感漂うスリリングなマイクリレーを展開する “B.A.R.S. Remix” や、自らをエイリアンに例えながらふたりがそれぞれ異なるイメージを描き出す “Aliens” など、彼らの言葉のチョイスの面白さや純粋にラッパーとしてのストレートな魅力がダイレクトに伝わってくる。かと思えば中盤ではGファンク全開の “Hey B.”、インド(?)っぽいテイストも盛り込まれた “Fiesta”、ゴールデン・エラのヒップホップへの愛が詰まった “Recommen'”、オリエンタル風味な “Flight Numbah” など、NAGMATIC のヴァリエーション豊かなビートのイメージに合わせて、BLAHRMY としての軸はキープしながら様々なスタイルをリリックで披露する。

 仙人掌をフィーチャした “Living In Da Mountains” は本作では唯一、〈DLiP RECORDS〉以外のゲストを迎え入れたことで、微妙な空気の変化がアルバム全体に深みを与え、そのムードは BLAHRMY としての未来を伝えるラスト・チューン “続、”へと引き継がれる。本作のリリース直後に SHEEF THE 3RD は BLAHRMY とはまた少し異なるカラーのソロEP「Peice is. EP」をリリースしており、おそらく MILES WORLD もすでに次作を準備中であろう。ふたりのソロ活動がまた次の BLAHRMY の作品にどのように反映されるのか、楽しみでならない。

ショック・ドゥ・フューチャー - ele-king

 未来の衝撃。そう題されたこの映画の舞台は、40年以上前のパリだ。ある特定の世代の懐古趣味と捉えられかねない側面がないわけではない。けれどもこの『ショック・ドゥ・フューチャー 』は、2010年代が終わりを迎えようとしている「現在」──フランス本国での公開は2019年──だからこそ、大きな意味を持つ作品だと思う。

 ときは1978年。当時のシンセサイザーは巨大だった。ゆえに部屋ごと機材を借りている主人公の若手音楽家アナは、依頼されたCM曲がうまくつくれず悩んでいた。とうに〆切は過ぎ、自身の立場を危うくしたくない男性担当者が押しかけてくる。そんなせっぱ詰まったタイミングで機材が故障、泣きっ面に蜂の状況に陥るも、修理に訪れた技術屋がたまたま持っていたリズムマシンにアナは天啓を得る。その後CM曲を歌うことになっていた歌手クララが部屋を訪れ、意気投合したふたりはその場でセッションを開始、名曲誕生の予感に胸を躍らせる。今夜のパーティにはレコード会社の大物も顔を出すらしい──
 ストーリーはいたってシンプルだ。フランス古典主義の「三単一」よろしく、ひとつの場所で、一日のあいだに、ひとつの筋が進行していく。主題をぼかさないための工夫だろう(序盤のカフェや終盤のセーヌとおぼしき川など、一部舞台は変更されるものの)。
 さりげなく画面に映りこむテリー・ライリー『A Rainbow In Curved Air』やブライアン・イーノ『Before And After Science』(当時出たばかりのぴちぴちの新譜)、ジョルジオ・モロダー『From Here To Eternity』(1年前にリリース)などの輝かしきエレクトロニック・ミュージックの重要盤、シャンソンやロックと対比的に流されるスロッビング・グリッスル “United” やスーサイドの “Frankie Teardrop”、それとわかるように明確に映しだされる SYSTEM-700 や CR-78 といった機材──パンフレットで野田編集長が指摘しているように、それら細部を確認することもまたこの映画の楽しみ方のひとつではある。
 しかし、ではぼくのように遅れて生まれてしまった者、かかっている曲をパッと答えられないような後追い世代の人間は、この映画をどう享受したらいいのだろう?


 作中では、あからさまな偏見やいやがらせが何度も挿入される。ほのめかされていた主題は、エンディングにおいて明確になる。「電子音楽の創生と普及を担った女性先駆者たちに捧ぐ」との献辞につづいて掲げられる、12人の音楽家たちの名前。そこにはウェンディ・カルロスをはじめ、近年再評価されているローリー・シュピーゲルやスザンヌ・チアーニ、ポーリン・オリヴェロスやベアトリス・フェレイラらの名が並んでいる。直接エレクトロニック・ミュージックとは関係のないパティ・スミス『Horses』が映り込んだり、アナがジャニス・ジョプリンのTシャツを着ていたりすることにも、意味がこめられていたのだ。

 2010年代のエレクトロニック・ミュージックの動向のひとつに、女性音楽家たちの著しい擡頭があった。ローレル・ヘイローをはじめ、インガ・コープランドマリー・デイヴィッドソンホーリー・ハーンダンコリーンジュリアナ・バーウィックソフィーグライムスファティマ・アル・カディリジェイリンガゼル・トゥインジェニー・ヴァルケイトリン・アウレリア・スミスクラインラファウンダカテリーナ・バルビエリピュース・マリーニディアキシアフロドイチェアースイーターヤッタムーア・マザークララ・ルイスルクレシア・ダルトフェリシア・アトキンソンビアトリス・ディロン、サラ・ダヴァーチ、Cuushegalcid、ユウコ・アラキ、直近でいえば2021年の台風の目たるロレイン・ジェイムズヤナ・ラッシュ、以前から活動していたひとたちのさらなる躍進という意味ではコージー・ファニ・トゥッティPhew、パメラ・Zやエレン・フルマン、上述の献辞には登場しないがおなじく再評価されている例としてポーリン・アンナ・ストロームなどなど、枚挙にいとまがない。
 彼女たちの音楽が高く評価されたのは、彼女たちが女性だったからではない(もちろん、女性でなかったからでもない)。単純に、その音が尖鋭的だったり独創的だったり強度を持っていたりしたからだ。2010年代とは、エレクトロニック・ミュージックがつくり手のジェンダー(や人種や年齢)に左右されず正当にサウンドで評価されるジャンルだということに、多くの人びとが気づくようになった時代なのだ。

 映画には二重の苦難が描かれている。ひとつは、ポピュラー・ミュージックにおいて電子音楽が異端でキワモノ扱いされていた時代に、それをやるということ。もうひとつは……本作にはアナが、「歌手になれば?」とアドヴァイスされる場面が出てくる。いまそんな助言をするやつはいない。「女性=ヴォーカリスト」という固定観念が失効するまでに、40年近くかかったということだ(似たような偏見に「女は機械に弱い」というのもある)。「未来の衝撃」の意味を、ぼくはそう解釈した。
 過去へのリスペクトに満ちたこの映画はじつは、今日においてまたべつのかたちの偏見と闘っているひとたちへのエールなんだろうと思う。オバマが大統領に就任したとき、ローザ・パークスの「拒否」から50年以上が経過していた。いまの苦労や試行錯誤が報われるのは半世紀後かもしれない。でも、あなたがやっている尖鋭的な試みはけっして間違ってはいないと、『ショック・ドゥ・フューチャー』は、現在見向きもされず、トレンドから遠く離れたところで実験に明け暮れている、野心あふれるチャレンジャーたちに激励を送っているのだ。

予告編

イメージフォーラム・フェスティバル2021 - ele-king

 要チェックなイヴェントの情報がはいってきた。9月25日(土)より渋谷・青山における3つのヴェニューで開催されるイメージフォーラム・フェスティバル2021は、「商業性にとらわれず先鋭的・実験的な映像作品、話題作を世界中から集めて、映像アートの最新動向を紹介する」イヴェントだ。カール・ドライヤーによる『裁かるゝジャンヌ』の上映に合わせた、石橋英子とジム・オルークによるライヴ演奏や、各国の映画祭で話題をかっさらった合計800分を超える(?!)超長尺映画『ラ・フロール 花』の全編上映をはじめとして、普通の映画館では絶対にやれないような、映画を愛するひとたちのための企画で目白押し。

 そして最も気になるのは、渋谷スカイとのコラボレーションにより、渋谷の上空229mで素晴らしい音楽映画たちを鑑賞できることだ。ROOFTOP “LIVE” THEATERと題したこの企画では、ソウルの女王アレサ・フランクリンによるライヴ・フィルム『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』をはじめとして、名作『羊たちの沈黙』で知られるジョナサン・デミ監督が手掛けた、トーキング・ヘッズによる『ストップ・メイキング・センス』。また、ディスクロージャーとのコラボで話題を呼んだファトゥマタ・ジャワラや「砂漠のブルース」の異名を持つトゥアレグ族など、アフリカのマリ共和国はその豊穣な音楽文化で知られているが、そんな同国で敢行されたフェスを追ったドキュメンタリー『ラスト・ソング・ビフォー・ザ・ウォー』も見逃せないし、UKのユース・カルチャーとジャマイカのサウンドシステム~レゲエとの密接な関係を描いた(もちろん、リー・ペリーのインタヴューもある)『ルードボーイ:トロージャン・レコーズの物語』も上映する……。こんな魅力的なラインナップに心躍らない音楽映画好きはいるのだろうか?

それぞれの上映開始予定は18時から、夏も過ぎようとしているころ、日が沈みながら素晴らしい映像を、座りながら、立ちながら、ひとりで、あるいは友だちと、360度に広がる渋谷の景色と夜空を一緒に、いづれにしてもリラックスしながら楽しみたい。

「イメージフォーラム・フェスティバル2021」

公式サイト https://www.imageforumfestival.com/bosyu2021/

【会期・会場】

■シアター・イメージフォーラム
(東京都渋谷区渋谷2-10-2)
9月25日(土)~10月1日(金)

■スパイラルホール
(東京都港区南青山5-6-23)
10月1日(金)~3日(日)

■SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)
(東京都渋谷区渋谷2-24-12)
10月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)

主催:イメージフォーラム
共催:SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)
会場協力:株式会社ワコールアートセンター
協賛:株式会社ダゲレオ出版
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人アサヒグループ文化財団、国際交流基金アジアセンター
協力:アンスティチュ・フランセ東京
後援:在日ルーマニア大使館、アルゼンチン共和国大使館

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