Home > Reviews > Album Reviews > Pitbull- Rebelution
マイアミからキューバ系クランクの4作目。移籍第1弾となるせいか、以前よりも威勢がよく、ゲストにはエイコンやリル・ジョンなどが参加(予定していたファレルは見送り?)。先行シングル「アイ・ノウ・ユー・ウォント・ミー」は全米2位、デビュー・アルバムではミリタリー・ルックだったアルマンドー・クリスチャン・ペレーズもここでは007気取りにすっかり様変わりしている。"ガールズ"や"ジューク・ボックス"などタイトルを見た限りではパーティ系にフォーカス(?)しているようで、自信に満ちたプロダクションが矢継ぎ早に繰り出されたと思ったら(曲によってはほとんどテクノ)、あっという間に......って、全体で50分弱しかなかった(3ヵ月遅れの国内盤にはリミックスなど2曲プラス)。
スティーヴン・ソダーバーグが映画を撮るまでゲバラのことは知らなかったというのはさすがにどうかと思ったけれど、キューバとアメリカの距離感がドラスティックに変化しつつあるなか、かつてはキューバ(の同性愛者迫害)に批判的な主張を掲げたアルマンドー・クリスチャン・ペレーズがアメリカのどのような層に支持されているのかはナゾだったりしつつ、『レベリューション』は過去最高のチャート・アクションを達成しているようで、シングル・カットが少なかった前作とは打って変わったウエルカム・モードにはたじろぐしかない(メジャー・レイザーやトッドラ・Tがいくらバカっぽいといっても、ここまでのエナジーはありませんよ。どうかしてますよ)。ちなみにソダーバーグは知らなかったとはいえ、何もあそこまでゲバラをカッコ悪く描くことはなかったのでは......。あれは意図がまったくわからなかった。もっといえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊船は史実ではイギリス軍のカムフラージュで、襲う側と襲われる側が映画では逆に描かれています。なんで、そんなことをする必要があるのか。マイノリティの人権やアクセントのなまりまで忠実に再現するようになっているハリウッド映画が中南米に関してはアレックス・コックスを除いてこうもデタラメなことばかりやるというのは一体どういうことなんだろう......といったようなことを、このアルバムはまったく考えさせません! そして、"クレイジー"の間奏で微妙にウネるシンセ・ベースはさすがリル・ジョンです! バカ過ぎて書くことがなかった! 英語とスペイン語がチャンポン!
三田 格