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大久保祐子野田 努 Mar 20,2018 UP
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野田努

 のちにキング・オブ・テクノとさえ呼ばれることになる作曲家のブルース・ハークは、60年代初頭に感熱式シンセサイザーを作ると、エスター・ネルソンとともに1963年から子どもたちのためのダンス音楽を発表する。1978年に、テキサス・インスツルメンツ社は子供用教育用玩具としてスピークアンドスペルを発売。クラフトワークをはじめとする多くのテクノ・アーティストたちに使用される。エイフェックス・ツインとして成功したリチャード・D・ジェイムスは、同胞のマイケル・パラディナスと一緒にマイク・リッチ名義で極めて幼稚な作品を1996年にリリースする。コーネリアスを名乗り、かつて『ファンタズマ』を作ったロック・ミュージシャンの小山田圭吾は、2011年から「子供たちのデザイン的な視点と感性を育むこと」を目的としたNHK教育テレビジョンの番組「デザインあ」の音楽ディレクターを担当する。

 TVはニュースとスポーツ番組、そしてピエール瀧のしょんないTVぐらいしか見ないぼくは、当然「デザインあ」を見たことがない。以下、その立場で音楽を聴いた感想を書こう。

 『デザインあ2』は前作『デザインあ』同様に、小山田圭吾の無邪気なサウンド・デザイン/コラージュ、遊びの世界である。で、参加アーティスト:青葉市子、アート・リンゼイ、坂本真綾、ショコラ、チボ・マット、ハナレグミ、原田郁子、jan and naomi、環ROY×鎮座DOPENESS。まあ、このメンツで子供のための音楽を作るというのがミソで、もし音楽が文化として/趣味として衰退することがなければ、おそらく20年後の世界から見たとき「あの時代はこんなものがあったのか」ということになるのだろう。
 昨年の『Mellow Waves』の悲しげな響きとは、もちろん一線を画している。とはいえこれも確実にコーネリアス・サウンドだ。ロック的な陰影はなく、そしてリラックスした雰囲気や言葉遣い、その無邪気さが、この音楽を子供っぽい音の遊技性のなかに定義しようとしているが、一枚皮を剥がせば、むしろ実験的で、ときおりシド・バレット的なサイケデリック・ポップな側面も垣間見せる。子供モノというのは、歴史的に見れば、ときに大人の実験場にもなり得るのだ。
 子供はギミックが好きだ。サンプラーが好きだし、エフェクターが大好きだ。コアなYMOのファンというのは、だいたいが小学生のときに聴いた世代に多い。ぼくは世代的にクラフトワークのほうが先だった。感性が開かれるときの喜びとはああいう体験を言うのだろう。コーネリアスのポップな側面が、ヒットチャートではなくNHKの教育番組を通じて子供に伝播するというのは、現代的というかポストモダン的というか、なんとも感慨深い話である。 

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