ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. K A R Y Y N - The Quanta Series (review)
  2. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  3. Myriam Bleau - Lumens & Profits (review)
  4. 柴田聡子 - がんばれ!メロディー (review)
  5. 中原昌也 ──作家デビュー20周年を記念し最新小説とトリビュート作品集が2冊同時リリース (news)
  6. Random Access N.Y. Vol.112:北欧SXSW――ノルウェイ、ミュージック・フェスティバル 第3回 ――By:Larm (columns)
  7. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  8. Reeko Squeeze - Child’s Play 2 (review)
  9. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  10. Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow (review)
  11. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  12. ポスト・ミューザック考 第二回:俗流アンビエント (columns)
  13. 闘魂 2019 - 出演:cero、フィッシュマンズ (review)
  14. Bibio ──ビビオが新曲をリリース (news)
  15. ビール・ストリートの恋人たち - (review)
  16. Columns 追悼:KAGAMI (columns)
  17. DON LETTS Punky Reggae Party 2018!!! ──6月、パンクとレゲエを繋げたリジェンド=ドン・レッツが来日 (news)
  18. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い (columns)
  19. Vince Staples - FM! / Earl Sweatshirt - Some Rap Songs (review)
  20. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Talk Normal- Sugarland

Talk Normal

Talk Normal

Sugarland

Rare Book Room

Amazon iTunes

三田 格   Dec 28,2009 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 R2枚とカセット1本を経て、アンドリア・アンボロとロッジ専属のエンジニア、サラ・レジスターが組んだ女性デュオによる1作目。リディア・ランチとソニック・ユースのマッシュ・アップか、ギャング・ギャング・ダンスのゴシック・ヴァージョンか。『砂糖の国』というタイトルとは裏腹に呪術的なインダストリアル・パーカッションが切羽詰った世界観を表現し、デビュー・アルバムにしていきなり退路のない完成度を誇っている(アンボロは77ボアドラムに参加、レジスターはソニック・ユース『ダーティ』やルー・リード『アニマル・セレナーデ』のマスタリングなどキャリアはかなり長い)。天にも昇るようなファック・ボタンズとは対照的に徹底的に地下深くを潜行し、いわゆるオルタナティヴ・サウンドをアップ・トゥ・デートさせようとしているというか、この迫力にはとても逆らえません(ユニット名はおそらくローリー・アンダースンの曲名に由来)。00年代を通して続いてきたニューヨーク復興の動きからすれば手探り状態だったブラック・ダイスや、かつてとは違う雰囲気を持ち込んだアニマル・コレクティヴに比してバトルズとともに「ニューヨーク完全復活」と呼びたい確信とノスタルジー、そして、青春の二文字が。知性を感じさせるロック・ミュージックのしぶとさにも舌は巻かざるを得ない。疾走感のある曲ばかりでなく、ゆっくりと地面を踏みしめるような"モスキート"や"ユニフォームズ"に漲る圧迫感など、どこを取ってもコンクレート・シティの厳しさにあふれ、ニュー・ヨリカンやズールー・ネイションの片鱗もここには見当たらない。ロクシー・ミュージック"イン・エヴリー・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク"のカヴァーがそれこそノイバウテン・ミーツ・バンシーズといった風で、緊張感を引き出す音の位相やセンスには抜群のものがあり、全体に思い切りがよく、音の整理がうまくて混沌としながらも雑多な印象は与えず、とにかくソリッドの一語に尽きる。前衛指向ではないものの、"ウォーリアー"では多少、実験的なところも。インナーに歌詞をコラージュのようにして貼り合わせてあるので、どれがどの歌詞だかはさっぱりわからず......(アート指向め!)。レジスターが最近、マスタリングを手掛けたものにはリー・ペリーやアソビ・セクス、デペッシュ・モードなども。あー、なかなか大人にはなれませんなー。

三田 格