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Talk Normal

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Sugarland

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三田 格   Dec 28,2009 UP
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 R2枚とカセット1本を経て、アンドリア・アンボロとロッジ専属のエンジニア、サラ・レジスターが組んだ女性デュオによる1作目。リディア・ランチとソニック・ユースのマッシュ・アップか、ギャング・ギャング・ダンスのゴシック・ヴァージョンか。『砂糖の国』というタイトルとは裏腹に呪術的なインダストリアル・パーカッションが切羽詰った世界観を表現し、デビュー・アルバムにしていきなり退路のない完成度を誇っている(アンボロは77ボアドラムに参加、レジスターはソニック・ユース『ダーティ』やルー・リード『アニマル・セレナーデ』のマスタリングなどキャリアはかなり長い)。天にも昇るようなファック・ボタンズとは対照的に徹底的に地下深くを潜行し、いわゆるオルタナティヴ・サウンドをアップ・トゥ・デートさせようとしているというか、この迫力にはとても逆らえません(ユニット名はおそらくローリー・アンダースンの曲名に由来)。00年代を通して続いてきたニューヨーク復興の動きからすれば手探り状態だったブラック・ダイスや、かつてとは違う雰囲気を持ち込んだアニマル・コレクティヴに比してバトルズとともに「ニューヨーク完全復活」と呼びたい確信とノスタルジー、そして、青春の二文字が。知性を感じさせるロック・ミュージックのしぶとさにも舌は巻かざるを得ない。疾走感のある曲ばかりでなく、ゆっくりと地面を踏みしめるような"モスキート"や"ユニフォームズ"に漲る圧迫感など、どこを取ってもコンクレート・シティの厳しさにあふれ、ニュー・ヨリカンやズールー・ネイションの片鱗もここには見当たらない。ロクシー・ミュージック"イン・エヴリー・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク"のカヴァーがそれこそノイバウテン・ミーツ・バンシーズといった風で、緊張感を引き出す音の位相やセンスには抜群のものがあり、全体に思い切りがよく、音の整理がうまくて混沌としながらも雑多な印象は与えず、とにかくソリッドの一語に尽きる。前衛指向ではないものの、"ウォーリアー"では多少、実験的なところも。インナーに歌詞をコラージュのようにして貼り合わせてあるので、どれがどの歌詞だかはさっぱりわからず......(アート指向め!)。レジスターが最近、マスタリングを手掛けたものにはリー・ペリーやアソビ・セクス、デペッシュ・モードなども。あー、なかなか大人にはなれませんなー。

三田 格