ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Kenmochi Hidefumi - たぶん沸く〜TOWN WORK〜 (review)
  2. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  3. 169 - SYNC (review)
  4. Moodymann - Take Away (review)
  5. Politics 都知事選直前座談会 「今回の都知事選、どう見ればいいか」 (columns)
  6. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第11回 町外れの幽霊たち (columns)
  7. Random Access N.Y. vol.128:迷惑な花火ブーム? (columns)
  8. interview with Mhysa ジャネット・ジャクソンとブランディが好きな〈NON〉~〈ハイパーダブ〉のシンガー (interviews)
  9. Boris ──世界的に評価の高いヘヴィロック・バンド、ボリスが完全自主制作による新作をリリース (news)
  10. interview with Baauer 大ヒットメイカー、その後の展開 (interviews)
  11. Speaker Music - Black Nationalist Sonic Weaponry (review)
  12. Gary Bartz & Maisha - Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions / Archie Shepp, Raw Poetic & Damu The Fudgemunk - Ocean Bridges (review)
  13. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  14. Kenmochi Hidefumi - 沸騰 沸く ~FOOTWORK~ / Xiangyu - はじめての○○図鑑 (review)
  15. RILLA ──これが噂のリラ、ついにデビュー作を発表 (news)
  16. ralph ──気鋭の若手ラッパーがファーストEPをリリース、プロデュースは Double Clapperz (news)
  17. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  18. KATE NV - Room for the Moon (review)
  19. Arca ──アルカがニュー・シングルをリリース……って62分も!? (news)
  20. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)

Home >  Reviews >  合評 > 神聖かまってちゃん- みんな死ね / つまんね

神聖かまってちゃん

合評

神聖かまってちゃん- みんな死ね / つまんね

Dec 22,2010 UP 三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努三田 格加藤綾一橋元優歩水越真紀野田 努
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12345

まるで聞き分けの悪い子供の我がままのようだ文:加藤綾一


神聖かまってちゃん / みんな死ね
パーフェクト・ミュージック E王

Amazon iTunes


神聖かまってちゃん / つまんね
ワーナーミュージック・ジャパン E王

Amazon iTunes

 『つまんね』『みんな死ね』だって、わはは、最高じゃん!  AKB48と嵐が年間チャートを独占するこの国の予定調和に対するオルタナティヴとして、2010年にもっとも待ち焦がれられたであろう、彼らのアルバムのタイトルを目にしたときに僕は思った。もちろん、よく言われるような現代社会に対する虚無感ややり切れなさもあったが、それ以上に、僕はこの上なく痛快な気分になった。
 彼らがそのおどけた言葉遣いと態度で、フラストレーションを不器用にも解放しながら突き進んでいくさまには、僕は特別な同時代性を感じる。"天使じゃ地上じゃちっそく死"や"芋虫さん"での「死にたいな/苦しい嫌だ」「生きたいなあ」という叫びは、いつからか頻繁に耳にするようになったが、〈にちゃんねる〉のような掲示板では、日々、やり場のない苛つきや卑屈なまでの劣等感が、ジョークを織り交ぜながら生々しく吐露されている。それは現代のルサンチマンの縮図とも言えなくもないが、神聖かまってちゃんの鋭い批評眼の出自はここにあることは間違いないだろう。僕は〈マルチネ〉周辺の自分よりも若いトラックメイカーやDJたちをtwitterで数人フォローしているが、彼らも〈にちゃんねる〉的な人を食ったような言葉遣いをしている。僕は、それはこの時代の空気をリアルにパッケージングするために生まれた、優れた言語感覚じゃないかと思っている

 "いかれたNeet"では、「朝から晩まで僕は楽しい歌を歌う/それが日記だから」という自虐的な叫びがある。いったい何の甘えだと思うかもしれないが、ほとんどワーキング・プアのような状態でここ数年を過ごし、今年初めてしばしのあいだニートを体験した僕のような人間にとっては、決して冗談として笑い飛ばすことが出来ない。そういった言葉たちを、耳をつんざくノイズに塗れながら、それとは裏腹の耳馴染みのいい歌謡曲風のポップ・パンクに乗せて吐き出すさまは、まるで聞き分けの悪い子供の我がままのようだ。度の過ぎた被害者意識だと一蹴することも出来るかもしれないが、こうしなければやっていられないのもまた事実。クソみたいな世のなかと同化して堪るかという彼らの悲痛な叫びを無視するほうが、もはや難しい状況になりつつある。
 "美ちなる方へ"とはよく言ったもので、その危ういピュアネスが行き着く先は僕にもわからない。だが、"男はロマンだぜ! たけだ君っ"のように、彼らの鳴らす音楽が、「ポンコツな心のギアをあげて」生きる僕らが抱えた歪んだ鬱憤を晴らすものとして機能するのであれば、これほど美しいことはないと思う。

文:加藤綾一

»Next 野田 努