MOST READ

  1. 弟の夫 - 田亀源五郎 (review)
  2. Call And Response Records ──日本はじつはインディ・ロックの宝庫 (news)
  3. Shobaleader One──スクエアプッシャー率いる覆面バンドがアルバムをリリース、来日公演も決定 (news)
  4. Peaking Lights - The Fifth State Of Consciousness (review)
  5. Between the Borders ──下北で日曜の昼過ぎから、BUSHMIND企画のイベントあり (news)
  6. interview with Arca 夏休み特別企画:アルカ、ロング・ロング・インタヴュー(2) (interviews)
  7. interview with Jeff Paker 話題作『The New Breed』のメンバーとの来日ライヴ直前スペシャル (interviews)
  8. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  9. Molecule Plane - SCHEMATIC (review)
  10. Jeff Parker - The New Breed (review)
  11. special talk : ジョン・グラント × 田亀源五郎 - 何を歌い、どう描くか──ゲイ・アーティストたちのリアリティ (interviews)
  12. 子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から - ブレイディみかこ (review)
  13. special talk : Shota Shimizu × YOUNG JUJU 特別対談:清水翔太 × YOUNG JUJU (interviews)
  14. Juana Molina──フアナ・モリーナの来日が決定 (news)
  15. Jlin - Black Origami (review)
  16. !!! (Chk Chk Chk)──チック・チック・チックがニュー・アルバムをリリース (news)
  17. Kelela ──新世代R&Bシンガー、ケレラがついにデビュー・アルバムをリリース (news)
  18. Young Fathers - ──いまUKが面白い理由その2──ヤング・ファーザーズ、ただいま新作を全曲試聴できます (news)
  19. Klein ──ブラック・エレクトロニカの俊士、クラインが〈ハイパーダブ〉と契約! (news)
  20. Lorde - Melodrama (review)

Home >  Reviews >  合評 > Battles- Dloss Glop

合評

Battles

合評

Battles- Dloss Glop

Warp/ビート

Apr 23,2012 UP 文:三田 格、松村正人
このエントリーをはてなブックマークに追加
12

つまり識は「テクノ」にへと 文:三田 格

Battles
Dloss Glop

Warp/ビート

Amazon iTunes

 「踊れるサムラ・ママス・マンナ」。それがバトルズの正体だろう。SMMは70年代にスウェーデンで結成されたプログレッシヴ・ロックの4人組で、例によって解散→再結成を経てゼロ年代からはドラムスにルインズの吉田達也が参加している。悲しいかなバトルズは超絶技巧だけでなく、ユーモアのセンスまでSMMを模倣していて、オリジナルといえる部分はレイヴ・カルチャーからのフィードバックと音質ぐらいしか見当たらない。疑う方はとりあえずユーチューブをどうぞ→
http://www.youtube.com/watch?v=yqSmqh-LdIkhttp://www.youtube.com/watch?v=ZYf7qO9_MV8http://www.youtube.com/watch?v=jkWL1lOi1Hg、etc...

 ......といったことを割り引いても、昨年の『グロス・ドロップ』はとても楽しいアルバムだった。バーズやP-ファンクにレイヴ・カルチャーを掛け合わせたらプライマル・スクリームで弾けまくったように、SMMにレイヴ・カルチャーを掛け合わせてみたら、思ったよりも高いポテンシャルが引き出された。そういうことではないだろうか。おそらくはまだロックにもそうした金鉱は眠っているはずである。テクノやハウスだって、どう考えてもそれ自体では頭打ちである。何かを吸収する必要には迫られている。アシッド・ハウス前夜にもどれだけのレア・グルーヴが掘り返されたことか。そう、アレッサンドロ・アレッサンドローニやブルーノ・メンニーなんて、もはや誰も覚えちゃいねえ(つーか、チン↑ポムなんてザ・KLFのことも知らなかったし......)。ためしに誰かブルース・スプリングスティーンにレイヴ・カルチャーを掛け合わせてみたらどうだろう......なんて。

 本題はそのリミックス・アルバム。人選がまずはあまりにも渋い。しかも、様々なジャンルから12人が寄ってたかってリミックスしまくっているにもかかわらず、おそろしいほど全体に統一感がある。シャバズ・パレス(元ディゲブル・プラネッツ)の次にコード9だし、Qのクラスターからギャング・ギャング・ダンスなどという展開もある。しかも、そこから続くのがハドスン・モーホークとは。全員がバトルズに屈したのでなければ、セルフ・プロデュースの能力が異常に高いとしか思えない。

 オープニングからいきなりブラジルのガイ・ボラットーが情緒過多のミニマル・テクノ。マカロニ・ウエスターンに聴こえてしまうギターがその原因だろう。ミニマルの文脈を引き継いだシューゲイザー・テクノのザ・フィールドは、一転してヒプノティックなテック-ハウス仕上げ。続いてドラマ性に揺り戻すようにしてヒップホップを2連発。このところ壊疽=ギャングルネとしての活動が目立っていたアルケミスツはソロで90年代末に流行ったダンス・ノイズ・テラー風かと思えば、昨年、一気にダブ・ホップのホープに躍り出たシャバズ・パラスは彼の作風に染め上げただけで最もいい仕事をしたといえる。ダブステップからUKガラージに乗り換えつつあるコード9はそれをまたコミカルに軌道修正し、2年前に"エル・マー"のヒットを飛ばしたサイレント・サーヴァントやラスター・ノートンからカンディング・レイはそれぞれのスタイルでダブ・テクノに変換と、いささかテクノの比重が高すぎる気も。これは自分たちにできないことをオファーしているのか、それとも自分たちが次にやりたいことを先行させているのか。いずれにしろ、その結果はユーモアの低下とリズムの単調さを招き、チルアウト傾向ないしはリスニング志向を強めることになった(クラスターの起用はまさにその象徴?)。

 後半で最大の聴きどころは、珍しく同業のパット・マホーニーを起用した"マイ・マシーン"で、シンプルなリズム・ボックスに絡むゲイリー・ニューマンのヴォーカルは最盛期の気持ち悪さを思わさせるインパクト。ジャーマン・トランスにありがちなリズム・パターンなのに、ロック・ミュージックとして聴かせてしまう手腕はかなりのもので、思わず、ほかにはどんなリミックスを手掛けているのだろうと調べてみたら、まったくデータが見つからなかった(これが初仕事?)。エンディングはヤマタカ・アイで、トライバルとモンドの乱れ打ちはこの人ならでは。ダイナミズムよりもリスニング性を優先したことで最後に置くしかなかったのかもしれないけれど、それはちょっと消極的な判断で、僕ならギャング・ギャング・ダンスとハドスン・モーホークのあいだに置いただろう(バトルズの意識が「テクノ」に向かっている証拠ではないか)。

文:三田 格

»Next 松村正人

12

RELATED

Battles- Gloss Drop Warp / ビートインク

Reviews Amazon iTunes

ZETTAI-MU springup 2011- @CCO 名村造船所跡地 日時 2011年4月1日

Reviews