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Columns

彼らが“外”に行く理由

彼らが“外”に行く理由

Sapphire Slows × 倉本諒、LAアンダー・グラウンドを語る

Sapphire Slows、倉本諒  司会・構成:橋元優歩 写真:小原泰広 Dec 27,2013 UP

旅の行程、2013秋

倉本:サファイア・スロウズのツアーはどんな感じなの? 誰と回るのかな。

SS:その都市によって違うんだけど、やっぱり〈NNF〉な感じ、〈シルク〉な感じだよ。あとはジャーナリズム系。まずトロントではザ・ディープ周辺が住んでるから、それ系の人たち。大きめのイヴェント会社がプロモートしてくれてる。モントリオールはEzlv。あとマリー・デヴィッドソンっていう女の子もいる。ダーティ・ビーチズの知り合い。ニューヨークはたまたま〈CMJ〉があるから、そこにかぶせて行くの。ニューヨークは最後までなかなか決まらなかったけど、友達のアーティストに訊きまくって、プロモーターとかにもメールしまくって、最終的にはけっこういっぱい入ったかな。〈デス・バイ・オーディオ〉でトーン・ホークとかとやるの。わたしルーク・ワイアット(トーン・ホーク)大好き。あとホワイト・ポピーもいる。〈ゴリラVSベア〉とか〈ユアーズ・トゥルーリー〉プレゼンツのイヴェントがあったりもする。そのあとボルチモア、フィラデルフィア。このへんはコ・ラと行くの。そのあとはコネチカットの大学。そこの生徒さんが呼んでくれて。

倉本:大学でやんの?

SS:うん。すごいリベラルな感じだよ? その後がメキシコ。メキシコはサファイア・スロウズをはじめたばっかりのときにミックスを作ってくれっていうレーベルがあって、その縁。ダメ元でメールを送ってみたら返事がきて。しっかり組んでくれたんだ。そこ、ちょっと前にディーン・ブラントとかモノポリー・チャイルド・スター・サーチャーズとかも喚んでて、わたしと音楽の趣味が似てそう。そういうアングラなアーティストをガンガン招いててさ、すごいよね。

飛び込みだったりするものなんですか?

SS:結局はレーベルのプロモート会社とか仲間のつながりかな。あとはアーティスト同士のリスペクトっていうか、「お前の音楽好きだから」みたいな関係。

あ、それは理想的というか、演る方もうれしいですよね。

SS:うん。楽しい。ビジネスにはならないけど、結局そういうのがいちばん気合入ってたりするから。ポスター作ってくれたり、デコレーションを気合い入れてやってくれたり。頼んでないのにいろいろやってくれる。仲良くなれるしね。

へえー。それは素敵ですね。ニューヨークだ、〈CMJ〉だ、ってなると、観ている側も腕組みしてそう。ショーケースとして値踏みされるというか。

SS:観てる人は批評家だったり。でも初めてだからそれも楽しみ。ぜんぜん違う雰囲気のところを回るから、わくわくしてますよ。それに、最後にロスなんですね。

ああ、最後にホームへと。

SS:そう。最後にホームだからリラックスできる。ちょうどその頃倉本さんもLAに戻ってくるしね。

倉本:いや、戻ってこれればいいんだけど。

ん?

SS:戻ってくればいいじゃん。

倉本:いや、片道しか買ってないんだよ、チケット。

ははっ、すごいね。転がる石のように。かっけー(笑)。

倉本:いや、じゃあオレの予定を説明すると、そういうのはないよ。毎回ないよ。目的とか。

そりゃ、片道切符じゃね(笑)。

倉本:そう。人の家転がって。それだけだよ。

会いたい人たちがいるし、その人たちと遊びやすい環境なんじゃないかな。何か特別にすることがなくても、集まっていたら楽しい。(Sapphire Slows)

でも、今回ヨーロッパが予定にあるのはなぜですか?

倉本:あんまり行ってなかったから。ヨーロッパにも好きなアーティストはいっぱいいるし、いままでコラボレーションとかアートワークとか、モノ作りの過程でコンタクトを取って仲良くなった連中もいっぱいいるからね。そういうやつらが実際何をどうやっているのかっていう現場も見たいし。

そこはさ、いざ行ってみたら「マジで来たの!?」みたいなことにはならないの?

倉本:まあでも、こんな変なことやってるやつらはたいていオープンだよ、そこは。東京でもそうだし、ヨーロッパでもどこでも。貧乏なクリエイター同士はそういうもんじゃないかなあ。

なるほどね、そういうなかではやっぱり、LAというのはひとつのホームではあるのかな。そこを最終的な目的地として行くわけだよね?

倉本:いや……。まあ、そこはメディカル・ウィードとかもあるけど(笑)。オレは西海岸が過ごしやすいってだけだから。

本当にツンだな。何しに行くの? 本当に、「今回はこれやって帰ってこよう」っていうような目的はないの?

倉本:いや、ピート・スワンソンをシバいてこようってのはあるよ。

SS:ははは!

ああ(笑)、来日させようと奔走してたもんね。

倉本:うん。まあ、それくらいだよ。他にシバきたいやつはとくにいないね(笑)。なんかある?

SS:わたしは一回しか行ったことがないからホームっていうのはないけど、前回行って出会った人たちに、もう一度会いにいきたい。でも、音楽的にはホームかもしれないね。

倉本:なんか、場所じゃないよね。オレも彼女もたまたまLAだったってだけだよ。仲良くなって気が合った連中がそこにいるっていうだけ。

SS:LAのビーチに行きたいとか、そういうのもない。

倉本:もちろんサイケデリックとか、スケートボードとか。あの周辺のカウンター・カルチャーの歴史には魅了されつづけているけど、いちばん大きいのは人だね。

SS:会いたい人たちがいるし、その人たちと遊びやすい環境なんじゃないかな。何か特別にすることがなくても、集まっていたら楽しい。スタジオも持ってたりするし、夜はクラブに出かけたりとか。

人っていうのは、今回キーになるお話ですね。

Profile

倉本 諒/Ryo Kuramoto倉本 諒/Ryo Kuramoto
crooked tapes代表、イラストレーター兼スクリーン・プリンター。

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