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Fuckpony

Fuckpony

Let The Love Flow

Bpitch Control / Octave-Lab

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渡辺健吾   Nov 26,2009 UP

 06年のデビュー作では、アーティスト写真もプロフィールもデュオとして打ち出していて、それはリリース元の〈ゲット・フィジカル〉の意向もあったのかもしれない。後に"Heater"という07年最大のヒットを放って大躍進するSamimとのジョーク・ユニットとしてのファックポニーは一作で役目を終え、その後はジェイ・ヘイズのソロとして再起動する。しかも、新たな活動拠点となったのはベルリンの女番長エレンの〈ビッチ・コントロール〉だ。

 そもそも本プロジェクトの根幹はソウルで、P・ファンクとプリンスからの影響をハウスに融合させようとするというものだとプレス資料に書かれていて、マジか?と耳を疑うひとも多いかもしれない。なにせ、前作はおふざけだったのか、本気でやっても技術が追いつかなかったのか、チープなオールドスクール・ハウスにところどころ歌で味付けした、といような印象だった。たしかにベンドする怪しいシンセとか、妙なヴォーカルとか、いま聴き直すとあぁそうかと納得いく部分も多いが、音だけではそういうアプローチというのは伝わらないレヴェルだったと言わざるをえない。フィラデルフィア出身でソウルやファンク、ヒップホップにも強い影響を受けているという彼のバイオを再確認すると、同郷のジョシュ・ウィンクのことも思い出される。そういえばヤツもかつて多作な割にいろいろ迷走してたよなぁ......。

 さて、本作はいきなりかつてのブラック・ドッグとかのデトロイト・フォロワーを彷彿とさせるメランコリックな響きのシンセが絡みあう"R U Feeling Abroad"でスタートする。つづく2曲目も変調されたヴォーカルは入ってくるが、同路線。これは、本気だぞ......というかまた趣旨変更か、と思わせて、3曲目ではケーラ・サイモンのソウルフルなヴォーカルが思いっきりフィーチャーされ、いきなりピンクのライトが照らされるようなハウスの世界へと一変する。中盤はやはりハウシーなのだ。しかし、前作より音数を減らしてみたり、ボンゴやピアノといったシンプルでコンベンショナルな楽器にフォーカスを絞って曲を組み立てることによって、ただヴィンテージ感を出してみたというジーンズ屋じゃねーんだからというような印象にも陥っていない。

 そしてやはり後半は再度メランコリー漂う世界に再度舞い戻って、ゆっくりと幕を下ろしていく。別にノスタルジーに浸りたいわけでもないし、いまさらそういう音を積極的に聞きたいと思っていたわけでもないが、まるで〈ワープ〉の『Artificial Intelligence 2』に収録されてても違和感がないぞという"Always Sunday"とか、やはりぐっと来てしまう。なんだろう、この切なくなるような甘酸っぱいものがこみあげてくる感じ。ミニマルの最前線で戦ってきたトップDJのひとりが、ここに来たかっていうのは非常に興味深くもあり、流行のループを感じるようでもあり。

 蛇足ながら、コンゴの戦争被害者を救済する目的でチャリティー活動、さらに踏み込んだ政治的活動にも足を突っ込んでいる彼、まぁ作品とはあまり関係ないとはいえ、「ホントの愛は永遠」「土曜の夜のフロアでイク」「触っちゃだめよ見るだけならいくらでもいいわよ」とかアホ丸出しのタイトルはどうなんだ、と思ってしまう。LOVEうんぬんを取材でも語ってるわけだけど、なんか全部嘘っぽく聞こえるんだよね。

渡辺健吾