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On Fillmore

On Fillmore

Extended Vacation

Dead Oceans

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三田 格 Nov 14,2009 UP
E王

 ウィルコなど多数のバンドに参加するドラムのグレン・コッチーと、ジム・オルークなどと共演することが多いダブル・ベースのダーリン・グレイによるデュオの4作目。まったく聴いたことがないとはいわないけれど、タイトル通り休暇が長引き、いつもとは違うエア・ポケットに落ち込んでしまったような静かで漠然とした不安を内包したファンタジー・サウンドはマーティン・デニーやアーサー・ライマンといったエキゾチック・サウンドを大人びたオルタナ解釈で聴き直しているようでもあり、伝統的な実験音楽をラウンジ・ミュージックとして再生させているようでもあり。サイケデリック・ミュージックとしては地味な部類に属しつつ、しかし、確実に見たことのない景色には連れ去られる(ある意味、ジャケット・デザインが物語っているそのままの雰囲気といえる)。"オフ・ザ・ウォール"ならぬM5"オフ・ザ・パス(舗道)"と題された曲では(マイケル・ジャクスンが?)幽体離脱でもしてるようなムードになってみたり、M3"デイドリーミング・ソー・アーリー"ではなるほど延々と眩暈に襲い掛かられる。エレクトロニカがミュージック・コンクレート・リヴァイヴァルにスウィッチしつつある一方、かつてのシカゴ音響派とかなんとか呼ばれた人たちが、現在、こぞってポスト・クラシカルに移行するなか、そのどちらからも等距離にある辺りを模索している感じともいえるし、ポスト・ロックというタームを前提とした文脈ではスローコアから過剰な重さや極端な悲壮感を取り除き、どこか不条理を感じさせる情感へとスライドさせたというニュアンスも可能ではないかと。いずれにしろブラック・ダイスやジム・オルークの始めたことが円熟期に入り、KTLやバーニング・スター・コアといった成果と並ぶ完成度といえるのではないだろうか。アナログ・オンリーのようで、与えられたパス・ワードでディジタル音源も落とせるようになっている。

三田 格

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