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Zinc

Zinc

Crack House Ep

Bingo Bass

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野田 努   Mar 09,2010 UP

 DJジンクは彼がハウスに回帰した理由について語る。「初期のジャングルというのは、ハウスと同じエネルギーを持っていた。同じテンポで、同じエレメンツだった」――昨年の7月28日、奇しくも筆者の誕生日に『ガーディアン』はDJジンクの提唱するクラック・ハウスについての記事を掲載している。アシッド・ハウス、アンビエント・ハウス、メタル・ハウス、ラガ・ハウス、プログレッシヴ・ハウス、ディープ・ハウス、ファンキー・ハウス、テック・ハウス、ミニマル・ハウス、マイクロ・ハウス、エレクトロ・ハウス、フィジット・ハウス......、そしてクラック・ハウス。まあ、なにはともあれ、ドラムンベース界のパイオニアのひとりがハウスに向かったとは興味深い話だ。

 DJジンクといえば、ジャンプ・アップ・ジャングルのアンセム"スーパー・シャープ・シュート"によって傑出した経歴を築いた人物である。が、彼は2007年にそのジャンルに背を向けている。そしてDJジンクは2008年を息子と一緒に過ごしながら自身が前進するための術を思案したという。そこで生まれたのがクラック・ハウスである。DJジンクは初期のジャングルにしばしば見られたような4/4ドラム・パターンをブレイクビートにブレンドする。そのドライヴするベース音、くらくらするシンセ音、歌と陶酔、それは90年代初頭のレイヴのヴァイブを想起させる。そしてそれはプロデューサーのルーツをより鮮明にする。女性MCのノー・レイを起用した彼の"サブマリンズ"や"キラサウンド"にはジャンプ・アップ・ジャングルと同じようなエネルギーがあるのだ。彼は彼がかつて恋したハウスというルーツに立ち返ってジャングルを再発見したのである――と同紙は記している。

 で、まあ本当にその通りなのだよ、これが。昨年末にリリースされた10トラック入りの『クラック・ハウスe.p.』は90年~91年あたりのレイヴ・サウンドの現代版だと言える。これはノスタルジーから来たというわけではない。同紙の取材で、ジンクはこの再発見の契機となったのがスウィッチとシンデンだったことを明かしている。フィジット・ハウスのベースラインがジンクを20年前の倉庫の熱狂へと導いたというのだ。また、同紙でジンクはダブステップへの複雑な気持ちも告白している(UKガラージがドラムンベースを食ってしまうかと心配されたが、むしろ現在はダブステップに有能な新人が持っていかれている――そうだ)。いずれにしてもUKダンス・カルチャーの競争意識、しのぎ合いが新しいスタイルと新しい呼称を生み出しているわけだ。クラック・ハウスはたしかに面白い。シンプルな4つ打ちとベースラインの絡みにしても、ヴォイス・サンプリングにしても、レイドバックしているというよりもダンス・サウンドとしての説得力の強さを感じる。もちろんでっかい倉庫で浴びるように聴きたいけれど、家で流しているだけでも気分は良い。

 さて、2010年はUKファンキーの年だと言われているけれど本当にそうなるのだろうか。だが、その前にまだまだダブステップの快進撃も続きそうだ。スキューバのセカンド・アルバムも良かったし......。

TrackList

  1. 1. Blunt Edge
  2. 2. Pimp My Ride
  3. 3. Jekyll N Hide
  4. 4. Number 1 Girls
  5. 5. Watch Dis
  6. 6. Nu Sound
  7. 7. Horrible
  8. 8. Because
  9. 9. Killasound
  10. 10. 128 Trek

野田 努

■DJ ZINCが盟友DYNAMITE MCと共に来日決定!
強力なBasslineでフロアを震撼させるBINGO BASS NIGHT!

DRUM & BASS SESSIONS 2010
DBS Presents "mega-beat sessions"
--Jungle, Drum & Bass, Crack House,Dubstep, Funky, Bassline, Breaks, Hip Hop and more beats!!--
feat. DJ ZINC & DYNAMITE MC -exclusive Crack House + Jungle set-
with: ☆Taku Takahashi(m-flo)、DANNY WHEELER、TETSUJI TANAKA、MC CARDZ
vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: MC DYNAMITE (special Hip Hop DJ set)、T-AK、DJ ARU、Sketch、P.O.L.Style

■2010.4.17 (SAT) @ UNIT
■open/start 23:30
■adv.¥3500 door ¥4000
■info. 03.5459.8630 UNIT
-----------------------------------------------------------------------------------
■Ticket outlets:
PIA (0570-02-9999/P-code: 101-892)、LAWSON (0570-084-003/L-code:74348)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、HMV渋谷(5458-3411)、TECHNIQUE
(5458-4143)、warszawa (5458-0700)、GANBAN (3477-5701)
代官山/Bonjour Records (5458-6020)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart(3364-5251)
お茶の水/disk union CLUB MUSIC SHOP (3294-6205)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com