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Black Moth Super Rainbow

Black Moth Super Rainbow

Eating Us

Graveface

Amazon Apple Music

三田 格 Apr 22,2010 UP

 昨年、リリースされた4作目のアナログ・ヴァージョン。曲順はまったく違う(CDでいう1,4,8,10は同じ位置)。

 生バンドなのにマイク・パラディナスに聴こえるといわれてきたのがトランズ・アムなら、同じくボーズ・オブ・カナダに喩えられてきたのがこの5人組。デビュー初期(03~)は子ども時代の記憶を再現することが目標だったらしく、どことなくクラフトワークを思わせるものがあったけれど、前作からロック・バンドとしてのまとまりが出てきて、プロダクションも飛躍的に洗練され、演奏で引っ張っていくタイプに変化してきた。"ディア・プルーデンス"のようなはじまり(先行シングル"ボーン・オン・ア・デイ、ザ・サン・ディドゥント・ライズ")から基調はどこをとっても甘ったるく、エールがDJシャドウとコラボレイションすればこうなるだろうというか、重厚なリズムと縦横に飛び回るメロディーとの対比が素晴らしく、DJシャドウがきっかけでバンドからDJに転身したというDJミュー(コチトラハグレティックMCズ)のミックスCDに入っていたのも納得です(......だからアナログが遅すぎるのよね)。

 03年に1st『フォーリング・スルー・ア・フィールド』(限定→後に再発)、翌年に2nd『スタート・ア・ピープル』、06年にはオクトパス・プロジェクトとのジョイント・アルバム『ザ・ハウス・オブ・アップルズ・アンド・アイボールズ』(これがよかった)、さらに07年には3rd『ダンディライオン・ガム』と、08年にミニ・アルバム的な『ドリッパーズ』をリリースし、どう考えても波に乗りはじめている。粘りつくようなグルーヴが出て来たことでサイケデリックな効果も高くなり、曲がどれも短く感じられてしょうがない。クラブ・ミュージックは好きではないというようなことを言っていたけれど、これはどう考えてもリミックスは避けられないでしょう。本人たちがやらなければブートが出回るだけ......というか(アンディ・ウェザオールに教えるぞ! でも、どうやって?)。

 レイディオヘッドやゴッドスピード・ユーに囲まれて、さぞかしエールは息苦しい思いをしていたのではないかと(あらためて)思う。等しくメランコリックといっても同時期のアラブ・ストラップやエールのそれは暗さのなかに甘美なものが秘められ、けっして重苦しいだけのシリアスなサウンドではなかった。自分が関わっておきながらいうのもなんだけれど、だから『ゼロ年代の音楽』でも先駆的な音楽として思い出してもらえることはなかった。ブラック・モス・スーパー・サウンドにしたって時代を引きずりまわすような音楽ではないかもしれない。たかだか小一時間ほど幸せな気分になれるだけである。そのようにして過ごす時間があるとないとでは人生は大違いだと思うものの、でも、どうしてアート・ワークは暗い感じを狙っているのかなー(?)。

 ちなみに『ファックド・アップ・フレンズ』をアンチコンからリリースしたトバッコもメンバーです(セカンドはラッド・カルトから)。また、セヴン・フィールズ・オブ・エイフェリオン(という人名)は『ペリフェリー』というアンビエント・ソロを、ライアン・マノンはドリーメンドの名義でもすでにアルバムを3枚リリースしている。

三田 格