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Dorrough

Dorrough

Get Big

Koch Records

Amazon iTunes

Paul Wall

Paul Wall

Heart of a Champion

Asylum Records

Amazon

三田 格   Oct 07,2010 UP

 テキサス・ヒップホップから2枚。

 ドローの2作目にはかなり期待していたんだけど、出来は微妙。サウス・マナーを華やかに展開するオープニングはちょっといいし、続くタイトル曲もパラノイアックなフックがなかなか効いている。一転してメロウに流れる3曲目の"M.I.A."から少しずつどうかなー......という感じが増えはじめ、ファンタジックなムードに遊ばせるなどまったく持ち直さないわけでもないものの......。スリム・サグやジム・ジョーンズなどゲストも多すぎず少なすぎず("ロッキーのテーマ"を最初にサンプリングしたんじゃないかと思う)ジュブナイルをエンディングに起用し、終わり方もけして悪くない。とはいえ、全体にどうもクリシェに堕しているというか、後半は特にどこかで聴いたことがあるというか、冒頭のインパクトを置き去りにしたまま最後まで逝ってしまう......と、思わず2ちゃん用語を使ってしまうほど惜しい感じが。
 
 一方は、2ヶ月前ぐらい前のリリースだけど、すでに中堅といえるスイシャハウスの中心人物によるソロ4作目(いわゆるHタウンことヒューストンから。ドローはダラス)。当初はカミリオネアと組んで(いたけれど、例によってケンカして、そのうち仲直りして)いたホワイト・トラッシュで、メジャー・デビュー作『ピープルズ・チャンプ』のジャケットでむき出しにしていた銀歯の並びを今度は手で覆い隠している(つーか、考える人のポーズ)。そのようなアグレッシヴなジャケット・デザインやサウス全般のイメージとは違ってサウンドは初めから飾り気がなく、07年にリリースした『ゲット・マニー、ステイ・トゥルー』ではほとんどのトラックをミスター・リーが手掛けた簡素なミニマル・ビートが埋め尽くし、そのような美意識は新作でも踏襲されている。あるいは"ショウイン・スキルズ"の潰れたビートや随所で単調なSEが効果的に配されるなど感覚的にはテクノに親和性を感じるトラックが多く、"ポケット・フラ・プレジデント"ではまさにその線を狙っているとしか思えないテキサスの古典、MC900フィート・ジーザス・ウイズ・DJゼロほどではないにせよ("UFOズ・アー・リアル"最高!)、80年代末のバリアリック・ビートを彷彿とする瞬間も少なくない(タイトなブラスをループさせた"アイマ・ゲット・イット"はリズム感のよくなったリニゲイド・サウンドウェイヴかボム・ザ・ベースか)。
 後半はだんだん感情の振幅も激しくなり、サウンドもサウス・マナーを屈託なく使い始める(構成的にはそれで正解)。充実した仕上げリではないかと(野田編集長には"スモーク・エヴリデイ"がオススメ)。

三田 格