ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. インディ・シーンに広がるヴァイラル・マーケティング
  2. Xylitol - Blumenfantasie | キシリトール
  3. オールド・オーク - THE OLD OAK
  4. interview with Dolphin Hyperspace ジャズの時代、イルカの実験 | 話題のドルフィン・ハイパースペース、本邦初インタヴュー
  5. Cornelius ──コーネリアスが動き出した! 新シングル「夢寝見」がリリース
  6. heykazmaの融解日記 Vol.6:⁺˚⋆。°卯月⁺˚⋆。° No!! WAR
  7. interview with D.L 俺のディグったものすべてがファンキーになる  | D.L、Dev large、ブッダ・ブランド
  8. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  9. KENNY DOPE JAPAN TOUR 2026 ——ケニー・ドープ、9年ぶりの来日決定です
  10. Felix Kubin Japan Tour 2026 ——ドイツの音響ダダイスト、フェリックス・クビンが来日
  11. Whitney Johnson, Lia Kohl & Macie Stewart - Body Sound
  12. Boards Of Canada ──ボーズ・オブ・カナダ、13年ぶりのアルバムがリリース
  13. R.I.P. Afrika Bambaataa 追悼:アフリカ・バンバータ
  14. Roedelius - Tape Archive Essence 1973-1978  | レデリウス
  15. Raja Kirik - Sengkala | ラジャ・キリック
  16. Dolphin Hyperspace ──凄腕エレクトリック・ジャズの新星、ドルフィン・ハイパースペース
  17. Wendell Harrison with the Tribe Jazz Ensemble ──スピリチュアル・ジャズの巨匠、〈Tribe〉のウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースを演奏する注目盤
  18. ele-king vol.36 特集:日本のシンガーソングライター、その新しい気配
  19. interview with Adrian Sherwood 愛とソウルと、そしてメロウなダブ・アルバム | エイドリアン・シャーウッド、インタヴュー
  20. FESTIVAL FRUEZINHO 2026 ──気軽に行ける音楽フェスが今年も開催、マーク・リーボウ、〈Nyege Nyege〉のアーセナル・ミケベ、岡田拓郎が出演

Home >  Reviews >  Album Reviews > Soom T & Disrupt- Ode 2 A Carrot

Soom T & Disrupt

Soom T & Disrupt

Ode 2 A Carrot

Jahtari

Amazon iTunes

野田 努   Jan 06,2011 UP
E王

 昨年、『ゼロ年代の音楽――ビッチフォーク編』という本を編集した。この1月に発売される予定の女と抵抗と音楽をテーマにした単行本で、自分で言うのもなんだが、けっこう面白い。ひとつの問題提起というか、とくに女性に読んでいただきたい本だ。もちろん100枚のディスク・レヴューもある。こういう企画では読者の自分にとっての大切な1枚が載ってないといっきに冷めるものだが、作っているほうでも「入れ忘れたー!」というのがあるとけっこう落ちる。カタログ本ではないし、まあしゃーないと思っても、「しまった、入れ忘れた」というのを思い出したり、「入ってないじゃないかー」と人から鋭い指摘を受けると作りたての本でさえ色あせて見えてしまうものだが、スーム・Tのこのアルバムは、個人的にはもう少し早く知っていれば絶対にどんなことをしてでも紹介したかった1枚である。

 まずはこのアートワークをじっくりと見て欲しい。そして曲名をいくつか紹介する。"Roll It""Saved By A Ganja Leaf""Roll That Shit""Never Get Caught""Puff That Weed""Ganja Ganja""Weed Hawks""They Call It Po""Weed Is Sweeter Than Most"......スコットランドはグラスゴーの女性MCとディスラプトによるganja-themedなこの音楽は、さわやかで、明るく、清々しく、これっぽっちの後ろめたさや惨めさはなく、微笑ましく、陽気で笑えるのである。噂では......あくまでも噂に過ぎないのだが......フィラデルフィアの某人気レーベルからの誘いを断っての、〈ジャータリ〉からのリリースである。

 女性アーティストにとって前代未聞の領域に踏み込んでいるであろう勇敢なるMC、スーム・Tは、すでに10年以上のキャリアを持っている。彼女が有名になったのは〈スケープ〉からリリースされていたベルリンのダブ・アンビエント・プロジェクト、バス(サン・エレクトリックのトム・シールによる)の2005年のアルバムにフィーチャーされてからだが、地元のグラスゴーでは1999年から活動をしている。2003年にくだんのバスにフックアップされているが、同じ年にはジ・オーブの『バイスクルス&トリサイクルス』のなかの"アフターマス"のMCに抜擢され、また当時人気だったT.ラウムシミールのアルバムにもミス・キティンとともに参加している。インド系の彼女はその声とリリック(政治的でスピリチュアルだという)で瞬く間にカルトとなって、ここ数年は地元のレゲエ・サウンドシステムの連中(Mungos Hifi, Gypsy Rock 8 Piece Conkerなど)ともコラボレーションを繰り返している。

 〈ジャータリ〉から1月後半にリリースされるスーム・T・アンド・ ディスラプトの『オード・2・ア・キャロット』は、ラップトップ・レゲエの分野における代表格であり、8ビット・レゲエの代名詞でもある同レーベルのスラップスティックな痛快さと、低音、そして躍動そのものといった彼女のラップ、やたら飛び出してくる"単語(クリシェ)"に刺激される。新年早々、なんとも豪胆なアルバムの登場である。

野田 努