ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Larry Heard 社会にはつねに問題がある、だから私は音楽に美を吹き込む | ラリー・ハード、来日直前インタヴュー
  2. The Jesus And Mary Chain - Glasgow Eyes | ジーザス・アンド・メリー・チェイン
  3. 橋元優歩
  4. Beyoncé - Cowboy Carter | ビヨンセ
  5. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第2回
  6. CAN ——お次はバンドの後期、1977年のライヴをパッケージ!
  7. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  8. Free Soul ──コンピ・シリーズ30周年を記念し30種類のTシャツが発売
  9. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第1回  | 「エレクトリック・ピュアランドと水谷孝」そして「ダムハウス」について
  10. Columns ♯5:いまブルース・スプリングスティーンを聴く
  11. claire rousay ──近年のアンビエントにおける注目株のひとり、クレア・ラウジーの新作は〈スリル・ジョッキー〉から
  12. 壊れかけのテープレコーダーズ - 楽園から遠く離れて | HALF-BROKEN TAPERECORDS
  13. まだ名前のない、日本のポスト・クラウド・ラップの現在地 -
  14. Larry Heard ——シカゴ・ディープ・ハウスの伝説、ラリー・ハード13年ぶりに来日
  15. Jlin - Akoma | ジェイリン
  16. tofubeats ──ハウスに振り切ったEP「NOBODY」がリリース
  17. 『成功したオタク』 -
  18. interview with agraph その“グラフ”は、ミニマル・ミュージックをひらいていく  | アグラフ、牛尾憲輔、電気グルーヴ
  19. Bingo Fury - Bats Feet For A Widow | ビンゴ・フューリー
  20. ソルトバーン -

Home >  Reviews >  Album Reviews > Submotion Orchestra- Finest Hour

Submotion Orchestra

Submotion Orchestra

Finest Hour

Exceptional/Pヴァイン

Amazon iTunes

野田 努   Dec 08,2011 UP

 いかにもUKらしいと言える展開で、これはもう、アシッド・ジャズ・ミーツ・ダブステップと言いますか、ダブステップ時代のモーチーバでしょう。彼らは90年代のなかばにポーティスヘッドのセンセーショナルなデビューに続いて、同じように女性ヴォーカリスト迎えて生でトリップホップを演奏するバンドとして登場、名声的にも経済にも成功している。ジェームズ・ブレイクをポーティスヘッドに喩えるなら、サブモーション・オーケストラはまったくモーチーバである。このアルバムが好きな人は試しに聴いてみると良い。好きになることうけあいだ。ケイティ・Bがガキんちょのための音楽だとしたら、こちらは大人向け......とも言える。リーズで結成された7人組で、トランペットとフルゲルホーンといった管楽器の奏者もいる。シネマティック・オーケストラもよく引き合いに出されるほど、それぞれの曲が叙情詩的に展開される。

 裏打ちの16をベースに、3泊目にアクセントをおく、いわばブリアル系ダブステップ・ビートは、この2~3年で瞬く間に広がっている。当のブリアルは、そうした自分の影響の拡大を横目に、より近寄りがたいざらついたビートの「ストリート・ヘイロ」を2011年は発表しているが、まあブリアル系とその亜流が氾濫するほど彼が2006年から2008年に作ったビートには魅力があるのだ。そのブリアル系のダブステップ・ビートを生演奏しているバンドが、サブモーション・オーケストラというわけだ。本国では5月リリースされ、歌詞対訳のついた日本盤が9月に発売されている。遅くなってしまったが、ダブステップの洗練化という方向性においては一足先に出たアルバムということで紹介しておきたい。

 日本盤には、ゴス・トラッドとジャック・スパロウのリミックスがボーナスとして付いている。ゴス・トラッドとは、言うまでもなく日本における先駆的なダブステッパー。2012年の初頭に待望のアルバムを控えている。ジャック・スパロウはリーズのダブステッパーで、ブリストルの〈テクトニック〉からオーサー名義でもリリースしている。2012年初頭には来日も予定されている。
 ゴス・トラッドはサブモーション・オーケストラのバラードを地下街のダブステップに変換している。ヒプノティックなグルーヴと彼のダブ処理は、さすがにこなれているというか、オリジナルのムードを数段深い場所に引きずり込んでいる。ジャック・スパロウも同様で、歌を活かしたままトラックを見事にダブステップの美学へと差し替えている。『ファイネスト・アワー』はポップ・アルバムだが、アンダーグラウンドに敬意を表している。いかにもUKらしい、美しいつながり方である。

野田 努

RELATED

Submotion Orchestra- Kites SMO Recordings / Pヴァイン

Reviews Amazon iTunes

Submotion Orchestra- Colour Theory Counter / Ninja Tune

Reviews Amazon