ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. WWW Xで悪魔の沼ついに沼納め
  2. DERRICK MAY×KEN ISHII ——デリック・メイが恵比寿リキッドルームに登場
  3. lilbesh ramko - Ramko Helvetica | リルベッシュ・ラムコ
  4. Bullion - Nearly | ブリオン
  5. YOSHIROTTEN ──エレクトロニック・ミュージックと共に宇宙と交信しよう。ヨシロットンの展覧会『彼方との交信 — BEYOND EARTH』が今週末より開催
  6. DJ Clent ──ゲットー・ハウス~フットワークの伝説、DJクレントが急遽来日
  7. DJが描く日本のヒップホップ、DJ YAS著『ジャパニーズ・ヒップホップ第二世代——あるDJの証言』刊行のお知らせ
  8. Moodymann ──ムーディーマンの来日公演が決定、今年は東京と京都をツアー
  9. Columns 10月のジャズ Jazz in October 2026
  10. GENTA TANAKA ──ソウルやヒップホップへの想いをデッサン画で表現、釧路のアーティストによる個展が神泉JULY TREEにて開催
  11. ゲーセン波乱万丈の100年史
  12. ジャパニーズ・ヒップホップ第二世代──あるDJの証言
  13. Smith & Mighty ——ブリストル・サウンドのオリジネイター、スミス&マイティが久しぶりにアナログ盤をリリース
  14. interview with Adrian Sherwood and Nightmares On Wax UKダブ・“トーク”・セッション | ――エイドリアン・シャーウッド×ナイトメアズ・オン・ワックス特別対談
  15. heykazmaの融解日記 Vol.11:♩.。.:*・神無月 ♩.。.:*・わっしょいブルベリ〜
  16. Eden Aurelius - Entre Nous / emer ft. Ugnė Uma - You and Me | エデン・オーレリウス、エメル、ウグネ・ウマ
  17. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  18. Helen - Linda's Head | ヘレン
  19. Arab Strap - Half-Told Tales | アラブ・ストラップ

Home >  Reviews >  Album Reviews > Major Lazer- Free the Universe

Major Lazer

Bass MusicDancehallHip HopHouseReggae

Major Lazer

Free the Universe

Mad Decent / Traffic

Amazon iTunes

北中正和 May 09,2013 UP

 カリブ海の音楽といえば、椰子の浜辺のリゾートの涼風やこんがり灼けた美女が反射的に浮かぶようにわれわれは洗脳されている。
 気持ちのいいイメージを思い浮かべることに反対する理由は何もないのだが、ジャマイカ生まれのダンスホールやそれがスペイン語圏の島々の音楽と結びついたレゲトンは、その光景にとどまらない部分も持っている。それらの音楽はカリブ海のストリート/アンダーワールドに深く根ざす一方、ヒップホップやマイアミ・ベースやイギリスのダブステップやブラジルのバイリ・ファンキなど世界各地のエレクトロニックなダンス・ミュージックとも通底しているからだ。
 地すべり的なその現象を象徴的に物語っているのがレゲトンの人気者ドン・オマール・フィーチャリング・ルセンゾの"ダンサ・クドゥロ"だろう。映画『ワイルド・スピードMEGAMAX』に使われたこの曲は、アンゴラのダンス・ミュージック、クドゥロをもとにしてポルトガル人DJルセンゾが放ったヒットのリメイクで、YouTubeでの視聴が4億4千万回を越えている。

 さて、バイリ・ファンキの支持者でもあるDJディプロが主宰するメジャー・レイザーは、ダンスホールを基調にしているが、ビートは通常のダンスホールより多様で越境的。ウェブの『IMDb』に引用されている、ディプロにプロデュースを依頼したのは「音楽の根拠地を持たない感覚が自分と似ているので、ふたりが組めば根拠地のなさを根拠地にできると思ったから」という意味のM.I.A.の言葉(引用出典は不明)もなるほどという感じだ。
 この4年ぶりの2作目では、前作でチームを組んでいたスウィッチが去り、新しいDJたちとチームを組んでいるらしい。今回フィーチャーされているのはエレファント・マン、シャギー、ワイクリフ・ジョンといった有名どころから、ロック系のブルーノ・マーズ、ダーティ・プロジェクターズ、ヴァンパイア・ウィークエンドまでと幅広い。
 ときには尖鋭的に、ときにはロックぽく、ときには下世話に、柔軟にビートを切りかえながらアルバムは進んでいく。ディープなヒップホップを聴いた後にブラック・アイド・ピーズに出会ったときのような親しみやすさもおぼえる。
 ミシシッピ生まれでアメリカ南部を転々として育ったディプロには、まだまだ隠している音楽の引き出しがありそうだが。

北中正和