ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Cornelius ──コーネリアスがさらなる新曲“Twisting & Glistening”を公開
  2. FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL 2026 ──新たなフェスティヴァルが始動、ジョイ・オービソンやザ・セイバーズ・オブ・パラダイス、ノウワーらが出演
  3. Visible Cloaks - Paradessence | ヴィジブル・クロークス
  4. Beatrice M. - Sinking | ベアトリス・M
  5. Cornelius ——コーネリアス、ニュー・アルバム『REFRACTIONS』の詳細を発表
  6. DJ Stingray 313 ──来日直前特別インタヴュー、エレクトロの醍醐味から現在制作中の新作まで
  7. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  8. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  9. Columns #16:ワールドカップ2026 ──時代は変わった(日本代表のことではない)
  10. interview with Mouse on Mars 僕たちはダブを、ジャンルではなく社会的なものとして捉えたい | ——リー・ペリーとの共作を発表したマウス・オン・マーズ、インタヴュー
  11. 巻紗葉インタヴュー・マラソン ロールシャッハ・ノート #4 eastern youth 吉野寿 前編  | イースタン・ユース
  12. Tadekui ──北海道出身の期待のバンド、タデクイのファースト・アルバムが全国流通開始&LPもリリース
  13. interview with Loraine James ロレイン・ジェイムズの“ポップ”な冒険 | ——来日直前インタヴュー
  14. UKインディ・ロック入門──ポスト・パンク、ギター・ポップ、スカとダブ編
  15. interview with Kassa Overall ヒップホップをジャズでカヴァーする | カッサ・オーヴァーオール、インタヴュー
  16. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還  | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって
  17. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  18. デンシノオト
  19. YHWH Nailgun - Magazine | ヤハウェ・ネイルガン
  20. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50

Home >  Reviews >  Album Reviews > Marshstepper- Give Yourself To The Moon

Marshstepper

Marshstepper

Give Yourself To The Moon

Ascetic House

DroneExperimentalGothIndustrialMinimal WaveNoise

Pure Ground

Pure Ground

Daylight & Protection

Chondritic Sound

倉本諒   Apr 22,2014 UP

 LAの日差しは危険である。真冬の日中だというのにTシャツ陽気でハンモックに揺られながらオレンジマン(猫)などをマッサージすれば、仕事や制作に関する悩みなどなんのその。いやぁ〜俺だいじょ〜ぶじゃ〜ん。

 オイ! 今月の家賃どうするよ! 俺もお前も金ないぞ!
 ルームメイトのアレックス・グレイの言葉に一気に日常に引き戻された。そう、これは例のごとく単なる吸い過ぎである。吸い過ぎて金もない。
 こんなときの貧乏音楽家の常套手段は機材売却である。僕は早速グレー・ホルガーに電話をかけ、買取を懇願した。グレーに連絡した理由は2つある。ひとつはグレーも僕もかなりキモいほどシンセヲタであること、もうひとつは彼のレーベルがかなりいい感じであることを確信していたからである。

 グレーの主たるプロジェクトは、ハイヴ・マインド(Hive Mind)とピュア・グラウンド(Pure Ground)である。前者はもう10年以上も継続するパワエレ/ノイズ/ドローンで、後者は数年前から開始されたミニマル・ウェーヴである。これらのサウンド嗜好を具現化する彼のレーベル、〈コンドリティック・サウンド(Chondritic Sound)〉はここ数年の西海岸ゴス・リヴァイヴァルにおける火付け役だと言っても過言ではない。

 いい歳こいてゴス回帰とかマジ恥ずかしくねぇのかよ! ダセェ!

 ルームメイトのマシュー・サリヴァンの憎まれ口もごもっとも。さすが同じく10年以上前にここでグレーとともにノイジシャンとして活動をはじめ、ニュー・ウェーヴ・オブ・LAハーシュノイズを作り上げた盟友の言葉には愛がある。うむ、たしかにピュア・グラウンドはピュンピュン、トテトテ、アーエーイーウーエーオーアーオーなモロな音に超低体温のヴォーカルが乗る、ただでさえショボいミニマル・ウェーヴをよりショボくローファイにしたその手のファンにはたまらないサウンドなのかもしれない。個人的にはもちろんハイヴ・マインドが好きなんだけども、来月からヨーロッパ・ツアーに遠征するピュア・グラウンドとこの記念すべき再発ヴァイナルにエールを送ろうではないか。

 後日、〈エセティック・ハウス(Ascetic House)〉が主催するフェスティヴァルが近所で開催され、グレーのハイヴ・マインドとマーシュステッパー(Marshstepper)を観に行った。エセティック・ハウス及びマーシュステッパーはアリゾナ発エコエコ・アザラク系レーベル、およびそれを主宰するメンバーを含むバンドである。
※ディストラクション・ユニット(Destruction Unit)のメンバー等と重複
 〈コンドリティック・サウンド〉と同じく彼等もまたこのムーヴメントの立役者だ。コンテンポラリーなコンセプトによるヴィジュアル、パフォーマンス・アートが彼らの魅力だ。フェスティヴァル会場である元韓国人教会のハコに踏み入れると中はやり過ぎな量のスモークが炊かれつづけ、ブルーのライティングに地下はストロボのみのやり過ぎなライティングの中、ゴス・キッズたちがドラッグにまみれる姿に僕は爆笑し、ゴス・リヴァイヴァル・ムーヴメントを認めざるを得なかった。

 マーシュステッパーのライヴも室内でガンガン火を炊いてるし、ブルーシートの上にローションをブチ撒いて半裸仮面のパフォーマーがヌルヌルでのたうち、そこにヴォーカルもガンガン暴れては転んで流血するすべてがやり過ぎで素晴らしいものであった。この音源もエセティック・ハウスが「今年の1月は毎日リリースするぜ!」的な無謀極まるやり過ぎ企画(素晴らしい!)の一環でリリースされたものであり、ニュー・ウェーヴ/ミニマル・ウェーヴにドゥーム・メタル、エクスペリメンタル/ドローンと彼らの嗜好を一皿においしく盛りつけたものに仕上がっている。〈コンドリティック〉からのリリースは視聴できるので興味を持った明らかにクレイジーな人のために貼っておこう。

(マーシュステッパーに関して本当は先月発売予定であった〈ダウンワーズ(Downwards)〉からの12インチをレヴューしたかったのであるが一向に発売する気配がないのでとりあえずこれで許してほしい)

 さて、話は冒頭に戻り、電話連絡後まもなく自宅まで駆けつけてくれたグレーに僕は勿論機材を売りつけ、(後日の件のフェスティバルにてハイヴ・マインドで使用し、熱いパフォーマンスを披露してくれていたからいいじゃないか)ついでにアレックス・グレイも自分の機材を売りつけ、何とか現金収入を得た僕とアレックスはさっそく出掛け、メキシカン・フードをたらふく平らげた後、ネタを買いに行った。あれ? 家賃は? まだ一週間あるからだいじょ〜ぶでしょ〜(以後ループ)。

倉本諒