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V.A

V.A

tokyodionysos

GGRR

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倉本諒   Feb 02,2015 UP

 たとえばスイスくんだりまで行って、地元の一コ上の先輩が最高のフェスティヴァルのステージで流血しているのを偶然に観かけてしまったらどうだろう。この世に逃げ場はない! と震え上がりながら、文化や芸術を通してとらえる世界の尺度が崩壊し、一方でそのステージを観たオーディエンスがいちようにクレイジーと述べる感想が聴こえてきたりして、あ、やっぱりクレイジーだよね、と笑いが止まらないだろう。

 ディオニューソス、ギリシア神話の豊穣とブドウ酒、酩酊の神。陶酔的、激情的芸術を東京において顕現させる『TOKYODIONYSOS(トーキョーディオニューソス)』はエンドン(ENDON)の那倉氏によるレーベル、〈GGRR〉が監修する東京(近郊も含む?)のエクストリーム・ミュージック・コンピレーションである。ここにGGRRからの凶悪なステートメントがある。いわく──

 危険音楽、脱法音楽、そして合成音楽。キツい効能をのみ目論んでミックスされたハードコアな混ぜ物だけが、リスナーの情動を煽ることができる。2015年 のトレンドはこの手のブツでキマりだ。作り方は周知の通り。適当なメディアに様々な効果を持つ諸要素を沁み込ませ、それらしいタイトルを与えればよい。純白のパケを開いてみよう。固有名詞が機能不全をおこしている。そこでは、お前の知り得た情報と知識がすべて宙づりになる。金とか立ち位置とか意義とかが、単なる無為な現象に縮減される。過大な音響、極端に速い・あるいは遅いビート、人間の発する動物の音声……つまりはノイズこそが、お前等を主人とも奴隷ともつかない、第三の境位に導く。地球上を隙間なく覆いつつある、あの「至上=市場の価値」の、そしてそれが許容する制限付き「新しい自由」文化の、廃棄だ。そのような規制の内部での逸脱──エクストリーム──ごっこは、せいぜい「ストレンジ」なスタイルをしか生産しえないので、「殺す」以外の選択肢が、一つとして存在しない。そのような殺害の主体となる我々のエクストリーム・ミュージックは、リスナーにおいて、反グローバルな局地的ゲリラ戦を生産する。アレを摂取した連中のように、コレを聴取する連中は、無断で、平然と一線を超えることだろう。イコール、その都度、死ぬということだ。何度も死ね。無限に甦れ。結論。このミックスCDは、あらゆる未来の国歌と宗教曲のコラージュとなる。我々TOKYODIONYSOSは、既存のすべての神々に取って替わる、一つの多様体である。


 エクストリーム・ミュージックとはなんだろう? ここに収録される10バンドのすべては、人生に対し、真摯に向き合いながら、現在のこの国の社会の中を闘いつづけ、精力的に活動していることを僕は知っている。確実に戦後最悪の局面を迎えている日本の政治状況と社会に対する怒りを代弁するサウンドをエクストリームという枠に収めていいものだろうか。たとえば、ここに収録されるゼノサイド(ZENOCIDE)やケアル(CARRE)にエンドン(ENDON)。彼らのようにボーダーを曖昧にしながら縦横無尽に活動するバンドの活躍が暗示するように、多くの人間が現在置かれているこの状況に、このアルバムは必要とされるサウンドだといえるかもしれない。

倉本諒