Home > Reviews > Album Reviews > The Body & Thou - You, Whom I Have Always Hated
昨年、某エナジー飲料協賛、某ベース・ミュージック・イヴェントに招聘されたボディ(The Body)の二人を諸事情でホテルから会場へサウンド・チェックのため連れて行く道中、それまで気にかかっていた質問を投げかけた。
「ハクサン・クローク(Haxan Cloak)とのレコード、最高だったけど、あれライヴでできるの?」
「できないよ。」
……だよね。
昨年、〈リヴェンジ・インターナショナル(RVNG Intil.)〉からリリースされた『我、ここに死すべし(I Shall Die Here)』はボディのレコーディング音源にハクサン・クロークがリミックス/リエディットを施した秀作である。この晩、彼らが披露したライヴはやはり過去音源で聴ける乾いたテクスチャーが特徴的なドゥーム/スラッジ全開のセットであった。
ボディにとっては古巣ともいえる〈スリル・ジョッキー〉からリリースされた本作は米国南部のDIYエクストリーム・ミュージック・シーン出身のベテラン2組、ボディとザウ(Thou)によるコラボレーション・アルバムである。両者による異なるヘヴィネスへのアプローチが、疎外/孤立、憂鬱、絶望といった共有のテーマの下に聴者を圧殺、さらなる深淵へと落とし込む。彼らいわく、「黄昏時のダンジョンに迷い、狂王の城跡へ、盟友と肩を並べ、敵の屍を足下に、神秘は解き明かされ、秘宝は発掘される」のようなサウンドだとか……ってベタにメタル過ぎるよ! 中二病だよ!
もう最近こんなんばっかり書いてる俺ほんと気持ち悪いわー勘弁してよーと思いつつ聴いているこの音源、たしかに圧倒的破壊力で圧殺されるドゥーム/スラッジではあるのだけれども、上記の説明的なメタル的な絶望や鬱屈といったドロドロ感は控えめにカラっと怒れるクラスティな要素が強い。バーニング・ウィッチからアイヘイト、ヌース・グラッシュなどを信奉するクラスティ・ドゥーム・ファンには堪らないだろう。どうやらこの音源、昨年リリースされたヴァイナル・オンリー音源である『愛からの解放(Released From Love)』に新譜『おれが常に憎んでいたのは、おまえだ(You, Whom I Have)』を追加した形でリリースされているようだ。こういう乾いた遅くて重いサウンドはアメリカのバンドならでは。ナイン・インチ・ネイルズ、ヴィック・チェスナットのカヴァーも収録。
倉本諒