ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. THE CROWD──ele-king presents HIP HOP JAPAN
  2. doooo ──立方体のレコード!? 岩手出身のDJ/プロデューサー、ドゥーによるぶっ飛んだ新作がリリース
  3. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  4. 下津光史 - @青山 月見ル君想フ  | 踊ってばかりの国
  5. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  6. heykazmaの融解日記 Vol.9:₊ ˚⊹ 文月₊ ˚⊹ 会お!
  7. Columns 7月のジャズ Jazz in July 2026
  8. GEZAN - I KNOW HOW NOW
  9. Kukangendai × odd eyes ──ともに京都を拠点に活動するバンド、空間現代とodd eyesによるスプリット7インチが登場
  10. mary in the junkyard - Role Model Hermit | メアリー・イン・ザ・ジャンクヤード
  11. Terry Johnson × P-VINE ──湯村輝彦によるロゴをあしらったPヴァインのTシャツが発売
  12. Simon Reynolds ——レイヴ・カルチャーの本質にあるのは政治性ではない、どれだけぶっ飛べるかだ:サイモン・レイノルズ『未来マニア』刊行のお知らせ
  13. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  14. Aho Ssan - The Sun Turned Black | アホ・サン
  15. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  16. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  17. Kamui - YC2.5
  18. 天野龍太郎
  19. 吉岡誠 - 江戸アケミ、四万十川から
  20. Columns Holy Tongue UKダブを更新するバンド、ホーリー・タンの初来日公演

Home >  Reviews >  Album Reviews > Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs- Feed The Rats

Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs

KrautrockMetalPsychedelic RockSpace Rock

Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs

Feed The Rats

Rocket

野田努   May 17,2017 UP

 わかる、わかる。こうでもしてなきゃやっちゃいられない。そもそも君が音楽を選んだ理由は、それが大衆的だからという理由ではない。それが少数派の意見を代弁しているからであり、そういう意味では、ブラック・サバスのメタル・サウンドとホークウィンドのスペース・ロック、セックス・ピストルズのうねるようなグルーヴ、あるいは初期のアモン・デュールやアシュ・ラ・テンペルのサイケデリック……らを彷彿させるニューキャッスルのバンド、豚・豚・豚・豚・豚・豚・豚(Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs)の『ネズミに餌をやれ』は無視しようにも無視できない作品なのである。おおー、これはじつに激しく、おそろしく酷く、そしてぶっ壊れている。遙かかなたの闇夜より、地響きを上げながら、さあ、いかれた連中のお出ましだ。
 ピグス×7の豚は、なにゆえの豚なのだろう。ジョージ・オーウェルの描いた豚は、みんなのために一緒にがんばってると思われていた1匹が法律を書きかえ、ふと気が付けば権力的な暴君になっていく豚だった。日本で豚のメタファーといえば、愚鈍さとか、下劣さとか……動物愛護者からクレームが来てもおかしくはないものばかりだが、少なくとも狡猾な権力者というイメージはない。
 いや、ここで『動物農場』を持ち出してしまうぼくは間違ってる。音楽は社会学的註釈だけに収束されるものではない。音楽は、たとえば逃げ場を塞がれた欲望が噴出するところでもある。トリップする場所、脱落する場所、だ。音の洪水にまみれて、本気で喚き散らす場所。かつてマシュー・ハーバートは、屠殺場で殺されていく豚の一生を描いた。
 ちょうどジャングルが流行はじめの1993年に脚光を浴びたコズミック・テンタクルスを思い出さくなくもない。なにせ今年はジャングル・リヴァイヴァル&サマー・オブ・ラヴから50年。しかしピグス×7は、愛の夏ではなく、反感の夏、嫌悪のサウンドトラックだ。気になると言うのなら、2曲目の“Sweet Relief”を聴いてみよう。これでも気持ちが上がらないかい?

 UKの労働者階級が生んだロック・バンドは、ザ・ビートルズやセックス・ピストルズ、ザ・スミスやオアシスだけではない。バーミンガムの工場を背景に持つブラック・サバスもそうで、このバンドはしかもビートルズにはできなかったことのすべてをやったと評されている(大袈裟ではあるが、的外れではない)。ピグス×7はその子孫である。ある意味ベリアルとも、ヤング・エコーとも、決して遠くはない。

野田努