ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. The Durutti Column - Renascent | ザ・ドゥルッティ・コラム
  2. Cornelius ──ドキュメンタリー映像シリーズ第4弾が公開
  3. HOUSE definitive 増補改訂版
  4. interview with Toru Hashimoto 橋本徹がブラジリアン&ブリージンなコンピに込めた渋谷系の哲学 | 『Free Soul』&『Cafe Apres-midi』最新作をめぐって
  5. レイヴ・カルチャー──エクスタシー文化とアシッド・ハウスの物語
  6. THE CROWD──ele-king presents HIP HOP JAPAN
  7. Columns スクエアプッシャーはいつだってテクノロジーの限界を超えていく ――7月20日(月祝)@昭和音楽大学、特別講義のレポート
  8. Various - Peace Anthems | レッド・フック・レコーズ
  9. DREAMING IN THE NIGHTMARE
  10. Technics ──SL-1200シリーズ誕生55周年記念、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$UによるDJが配信
  11. Kassel Jaeger - Sub Re | カッセル・イェーガー
  12. Hajime Tachibana ——プラスチックス結成50周年、立花ハジメがニュー・アルバム『dad bb』、12インチ・シングル「ZOUNDS!」をリリース
  13. 野田 努
  14. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  15. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第4回 奇妙な質問の正体
  16. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる
  17. YOUNG JUJU ──現KEIJUのファースト・ソロ・アルバム『juzzy 92'』、10周年記念盤が発売
  18. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  19. DUB入門――ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ
  20. ああ、リンコ、リンコ、リンコ ──菊地凛子主演(&ブレイディみかこの息子出演)の『ラスト・サマー』がイタリア映画祭で上映へ

Home >  Reviews >  Album Reviews > The Maghreban- 01deas

The Maghreban

Deep HouseHip HopTechno

The Maghreban

01deas

R & S Records

Amazon

野田努   Apr 05,2018 UP

 北アフリカのモーリタニアからリビアにわたるサハラ砂漠の海岸部をマグレブと呼んでいる。
 ロンドン南西の田舎町でありながらインド系/アフリカ系が多いというギルフォードを拠点とするエジプト系移民の息子、アイマン・ロストムは、この20年近くはヒップホップのビートメイカーとして活動していた。1999年からDr. Zygote名義で作品をリリースしているものの、ほとんどが自主による。2013年には〈Black Acre〉からアルバムも出しており、Discogsでこの作品を調べてみると、エイフェックス・ツインのファンとJディラのファンがチェックしていることに気が付く。この奇妙な組み合わせは、ある意味ではロストムのユニークな音楽性を言い当てているだろう。
 ロストムは数年前からザ・マグレバンの名義を使い、ハウス・ミュージックを作っている。2014年から14枚の12インチをリリースしているが、初期のほとんどがやはり自主レーベルからの作品だ。

 とはいえザ・マグレバン/Dr. Zygoteの音楽は、パリの〈Versatile〉やブリストル〈Black Acre〉といったレーベルの功績によって、数年前からディープな12インチ・リスナーおよびDJのあいだで評判だった。そのサウンドはたびたび“サイケデリック”という言葉で説明されているが、彼の楽曲には音の幻覚性と同時に「わけわかんねー」というある種のファンキーな感覚もある。初めてオリジナル・シカゴ・ハウスを聴いたときの「わけわかんねー」というアレだ。ディスコのわかりやすさとは違った微妙なリズム感。ダンスのために制作されながらも微妙な曲の短さ。独特の音階。気味の悪い音響と大胆な反復。気まぐれで作ったんじゃないかと見紛うような、完成度の高さという言葉からは何万光年も離れているかのような荒さ。
 そして〈R&S〉レーベルはこの才能のアルバム制作に成功して、つい先日『01deas 』がリリースされたというわけだ。

 アルバムには、ロストムが蒐集した何種類ものアフリカの要素、そして父から教えられラアラブの要素が散りばめられているそうだ。ジンバブエのヴォーカリストを迎えてトランスする“Revenge”、全盛期のカール・クレイグのセンスをアフロビートに塗り替えたような“Sham”、この曲はぼくに言わせれば、“バグ・イン・ア・ベースビン”のアフロ・ヴァージョンである。
 ほかにも、アフロなメロディを奏でるギターとURめいたビートの“Mike's Afro”、親指ピアノのウェイトレス“Mbira”、ヒップホップ&ハウスのゲットー・スタイル“Can't Breathe”、どファンキーな“Crime Jazz”やUS西海岸のラッパー、A-F-R-Oをフィーチャーしたヒップホップ・チューンの“Hi Top Remi”、そしてドレクシアを彷彿させる“Mr Brown”などなど。
 ロストムはアフロ・ディアスポリックな自らの音楽をアウトサイダー・ハウスと呼んでいるようだ。ダンス・ミュージックに侵入する部外者たち。素晴らしい。
 

野田努