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Jamie Isaac

Chill Out Soul Jazz

Jamie Isaac

(4:30) Idler

Marathon Artists/Tugboat

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野田努   Jul 19,2018 UP

 深夜のチルアウト。彼は午前1時過ぎの深い時間が大好き。ひとりで、ときには友人を誘って、ときには煙をくゆらせながら真夜中に音楽ばかり聴いている。自堕落かつロマンティックな時間帯。なんの生産性もないが幸せな時間帯。そんなときに似合う音楽とは、最近の例で言えば、Burialであり、ザ・XXであり、ジェイムス・ブレイクであり……、そしてジェイミー・アイザックの本作もそうだ。いま売れているトム・ミッシュと同じカテゴリー(南ロンドン出身/ソウル・ジャズ系SSW)にも括られる23歳の若者だが、不眠症に合うのは間違いなくこちら。孤独な音楽。午前4時30分の怠け者。この10年顕著なひとつの潮流=悲しみの男の子たち。

 とはいえ、カリフォルニアで書かれてロンドンで録音されたこのセカンド・アルバムは、ボサノヴァのリズムからはじまる。“Wings”という曲、これがなかなか洒脱で、ごくごく初期のエヴリシング・バット・ザ・ガールとジェイムス・ブレイク世代との出会いというか、じつにスタイリッシュにまとめられている。日本独自のサブジャンル「ネオアコ」的感性にも訴えそうだ。“Slurp”という曲にもブラジルからの影響が聞こえる。(その曲もぼくは気に入っている)
 ジャジーでポップな“Maybe”は、シャーデーとジョー・アーモン・ジョンズとの溝を埋めるかのようだが、しかし歌は終始一貫してか細く、クレッシェンドすることもない。ダブステップ以降のビート感、アトモスフィア、空間的音響、チルアウト、そして夜の世界に見事にマッチしている。それは夏の大三角形のはるか下の、ベッドルームで揺れる蝋燭の炎と共振するかのようだ。曲の主題は、表題曲は不眠症ともリンクしているそうだが、あらかたラヴ・ソングの体をとっている。
 
 猛暑の夜のメランコリー。地球温暖化と異常気象、地震への恐怖、腐敗した政治家たち、暗黒郷と化す街並み。豊かにならない生活……こんな時代でも、いやどんな時代でもか、深夜にひとり、好きな人のことを考えている時間帯は幸せなんだと。まあたしかにね。

野田努

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