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SHAKKAZOMBIE

Hip Hop

SHAKKAZOMBIE

BIG-O DA ULTIMATE

A HIPHOP DNA / ユニバーサル

大前至 Sep 17,2021 UP

 タイトルからもわかる通り、今年1月に亡くなった BIG-O ことオオスミタケシ氏へのトリビュートとして制作された、SHAKKAZOMBIE の〈cutting edge〉期の楽曲をリミックス/リメイクした6曲入りのEP。BIG-O および SHAKKAZOMBIE とも関わりの深いアーティスト、あるいは彼らに影響を受けた若い世代のプロデューサーやラッパーが参加し、時代的には90年代後半から2000年代前半に作られた楽曲を、いまのサウンドへとアップデートさせながら、同時に制作サイドの強い思いが滲み出る、非常に意義深い作品にもなっている。

 日本のヒップホップ・シーンの黎明期とも言える90年代半ばにデビューした SHAKKAZOMBIE であるが、同時代の様々なアーティストが日本人としてのヒップホップの表現方法というものを模索する中、彼らもまた独自のオリジナリティを築き上げていき、その結晶とも言えるのが、〈cutting edge〉からリリースした3枚のアルバム『Hero The S.Z.』(1997年)、『Journey Of Foresight』(1999年)、『The Goodfellaz』(2002年)だ。非常に繊細かつセンシティヴな感覚であったり、あるいは当時としては真っ直ぐすぎるほどのポジティヴな一面など、それまで他のアーティストがやっていなかったようなリリックの世界観を打ち出し、さらに音楽的には様々なジャンルの要素も貪欲に吸収しながら、最先端のヒップホップ・サウンドを追求していた彼ら。彼らが目指していた高いクリエイティヴィティの先にいまの日本のヒップホップ・シーンが存在しているのは間違いなく、このEPもまたその延長上にある。

 90年代の SHAKKAZOMBIE をリアルタイムに知っているファンであれば、“共に行こう CDS Version Pure 2021” は最も心が揺れる一曲だろう。ここではオリジナル・ヴァージョン以上に人気の高かった “共に行こう (Version Pure)” のトラックがそのまま使用されているが、当時は NITRO MICROPHONE UNDERGROUND 人気が爆発する以前の GORE-TEX、SUIKEN、DABO、MACKA-CHIN が参加していた代わりに、本作では Creative Drug Store の VaVa、JUBEE、BIM、in-d をフィーチャ。世代は全く違えど、SHAKKAZOMBIE と新しい才能との融合という20年以上前のコンセプトがそのまま踏襲され、日本のヒップホップ・シーンの時代の継承と進化を同時に感じることができる。

 本作中、最もチャレンジングなのが “5o tight So deep” だろう。5lack と PUNPEE が手がけたこの曲は、アルバム『The Goodfellaz』収録の “So Tight, So Deep” が元となっているわけだが、ラテンなテイストの原曲とは全く異なるグルーヴ感で、SHAKKAZOMBIE のラップやコーラスをそのまま使うのではなく、最小限が素材として取り込まれているのみ。そんなトラックの上で 5lack と PUNPEE が単なるリスナーであった時代に一ファンとして聞いた SHAKKAZOMBIE に対する思いがリリックで綴られており、実に美しいトリビュート・ソングに仕上がっている。個人的には Chaki Zulu がリミックスを手がけた “虹” も非常に好きな一曲だ。これもまたオリジナルは20年以上前の曲であるが、Chaki Zulu による現在進行形のサウンドを纏いながら、BIG-O と IGNITION MAN のラッパーとしてのふたりの普遍的な魅力が強く伝わってくる。

 『The Goodfellaz』以降はファッション・シーンでの活動に完全に軸を移し、おそらくオオスミ氏が SHAKKAZOMBIE というグループで活躍していたことを知らない人たちも多いだろう。このEPによってラッパーとしてのオオスミ氏の偉大さや SHAKKAZOMBIE というヒップホップ・グループの存在が若い世代に少しでも伝わると嬉しい。

大前至