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The Mount Fuji Doomjazz Corporation

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三田 格   May 09,2011 UP

 オランダからドゥーム・ジャズを名乗る8人構成のサード・アルバム。母体であるキリマンジャロ・ダーク・ジャズ・アンサンブルにゲストを加えたラインナップで、いまのところ交互に各3枚づつのアルバムをリリースしている。「擬人化」と題されたライヴ・インプロヴィゼイションはアド・ノイジアムからの前2作とは違い、人類の進化をイメージした1時間程度の組曲。
 ジョン・コルトレーン『アセンジョン』やレッド・クレイオラから発展し(様式化し?)、無調であることに歯止めが利かなくなったフリー・ジャズはすべての楽器が溶け合ってしまうニーモニスツ式のドローン状態がいわば終着地点になったと勝手に思っているのだけれど、ここでドゥーム・ジャズと宣言されているものはドゥーム・メタルよろしくディジェリドゥーの演奏を模したヴァリエイションと考えられ、楽器もそこまでドロドロに混ざり合うことはなく、トロンボーンやチェロ、あるいはエレクトロニクスやギターがそれぞれにロング・ドローンを演奏し、それらが明快なアンサンブルとして構成されている。簡単にいえばゴッドスピード・ユー~のジャズ・ヴァージョンで、時代が変化したせいか、あれほど重い演奏ではなく、90年代から続くドイツのストーナー・ロック(ボーレン・ウント・デル・クラブ・オブ・ゴアなど)から派生した流れだと解すればいいのだろう(ジャズには詳しくないので、ジャズ評論家による言及を探してみたものの、ネット上では発見できず。おそらくジャズ・ファンには相手にされていない......?)。
 勇壮としたイントロダクション(ちょっとクラウス・シュルツェ? それが人類誕生のイメージか)。"ディメンジョン"と題されたパートでは「進化」が起こっているようで、なんとなくアシッドな感じがよく、トロンボーン(?)の咆哮がそれに加えて緊張感を与える。"フォーム"でヴァイオリンがしみじみとする辺りは一種の停滞感を表現しているのか、全体的にはダーク・アンビエントといえる範囲。ドゥームには興味があるけれど、メタルはちょっと......という方にはちょうどいい感じでしょう(切れてなければ、まだダウンロードできるかも→http://www.mediafire.com/?bb3b23iru2424us)。

 ゴッドスピード・ユー~からティム・ヘッカーまでドゥーム・カルチャーの総本山と化したモントリオールからは新たに〈コンステレイション〉がサックス奏者のセカンド・アルバムを送り出した。これが一筋縄ではいかない。ドゥームかと思えばミニマルなベースのループにサックスやパーカッションでアクセントを与え、踊れるドゥーム・ジャズのような展開がいくつかと、いわばゴッドスピード・ユー~の呪縛を解いた上で、バロックじみたサキソフォンだけの多重録音(?)はロル・コクスヒルを早回しで聴いているようなチープ・スリル。タイトル曲や"ア・ドリーム・オブ・ウォーター"ではスポークン・ワーズにローリー・アンダースンがフィーチャーされ、ムダに知的な感じがする一方、感覚的に飛ばしてるだけといった曲も多く、戦前のブルース・シンガー、ブラインド・ウイリー・ジョンスンのカヴァー"ロード・アイ・ジャスト・キャント・キープ・フロム・クライング・サムタイムス"はかなり斬新なブルースのドゥーム解釈。なるほどそっちと結び付ける手があったかと。後半に向かってベースが蠢き出す曲が増えたりと、手法的にはまったく統一感がないはずなのに、全体としては奇妙な眼鏡で世界を覗き見たようなスチーム・パンク的な快感を持ったアルバムといえる(それもまだ未完成の魅力にあふれた)。
 ちなみに前作『ニュー・ヒストリー・ウォフェア Vol. 1』からのリミックス・シングルはティム・ヘッカーが手掛けている。

三田 格