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三田 格   Nov 28,2011 UP

Kではじまるクラスターからコンラッド・シュニッツラーが抜けてCではじまるクラスターになり、さらにメビウスの代わりにオンネン・ボックが参加してQではじまるクラスターに。あはは。ボックはレデリウスがメタル・ボウルなどの演奏で参加していたクリスチャン・キュービック(裏アンビエントP102)の人脈からフック・アップされたようで、ツァイトクラッツァー・アンサンブルの一員として活動するサウンド・インスタレイションの若手。

CとQは並行して活動を続けるらしく、それはつまり、レデリウスから溢れ出る創作意欲をメビウスだけでは受け止めきれないということなのか、いずれにしろレデリウスとクリント・イーストウッドはいまや暴走老人の域に達していることはたしか。2011年にレデリウス・ミュージックから配信されたコラボレイションの数は......とにかく多い(ちなみに寡作とはいえ、09年にリリースされたメビウスのソロ作『クラム』の評価もかなりのもの)。

Qではじまるクラスターも、デビュー作『フラーゲン』は東日本大震災の直後にリリースされ、年内にはライヴ・アルバム『ルーフェン』も間に合うというハイ・ペースぶり。モーガン・フィッシャーとのジョイント・アルバム『ネヴァーレス』や、とくにティム・ストーリーとの『インランディッシュ』で印象付けられたように、ここ数年、ニュー・エイジ色が強くなっていたレデリウスの嗜好をそのまま反映していたスタジオ作に対し、ライヴ・ワークでは緊張感を増した実験性が回復し、完成度では圧倒的にこちらを取りたい。あるいはニュー・エイジとサウンド・インスタレイションは、つい最近までは似ても似つかぬものだったのに、アンビエントという概念によってそれらは奇妙な融合を成し遂げ、低俗とアカデミズムはあっさりと横断されていくと聴くこともできるか。一部でミュージック・コンクレートとイージー・リスニングの境界が失われつつあるように、ロマンとアンチ・ロマンがせめぎ合うというのが時代の要請なのだろう(?)。

ニュー・エイジというキーワードの復活にはOPNもひと役買っているところがあるとは思うけれど、2011年のみならずアンビエント・ミュージック全体でもベスト10内には必ず入ってしまうに違いないアリオ・ダイ&ツァイトの3作目『イル・ジャルディーノ・エルメノイティコ(解釈学的庭)』から半年ほど後にリリースされたダイのソロ18作目にもニュー・エイジとの危ない橋を渡ろうとする傾向は聴き取れる。ツァイトとのコラボレイションでは華やかで明るく、人生への祝福に満ちたファンタジーが基調をなしていたのに対し、『ハニーサックル』では同じように慈しみと類まれなる穏やかさを感じさせながら、どこかに抑制された情念や漠然とした不安を潜ませている。「悪い予感のかけら」とでもいうのだろうか、作風の落ち着かない人なので、近作との関連性や反動といったものから生まれたものではないと思うものの、『イル・ジャルディーノ・エルメノイティコ』ほど誰彼にでも薦めたいものではなく、この感じが必要な人に上手く伝わればいいなと思うだけである(こんな書き方ではとても無理だろうけれど......)。

三田 格