Home > Reviews > Album Reviews > John Lennon McCullagh- North South Divide
アラン・マッギーの新レーベルのアーティスト。アラン・マッギーが普通に二番煎じを狙うなんてびっくりだが、じつは結構ベタな人なのかもしれない。この柔軟性がなければ、一時はイギリスのレコード・セールスの半分だか、1/3だかをしめたことがある男にはなれないのだろう。
そういえばホリディに行った場所で「新しいビートルズを見つけた男が、新しいボブ・マーレーを見つけたとしてもおかしくないだろう」と豪語して契約したこともあったよな。なんて名前のアーティストだったか忘れてしまったけど。
クリエイション発足当時から彼の夢にはアイドルもやりたいというのがあって、秋元康みたいに、どこかの可愛い女の子を見つけてきて、ちゃんと『NME』の表紙も押さえて、チャートの1位に送り込んだこともあった。本人いわく「なんかバカらしくなってやめた」ということで、たったシングル一枚でアイドル・マーケットへの宣戦布告は止めたが、当時僕はアイドルのマーケットはマフィアが牛耳っているようなものだから、いろいろと大変だったのかなと思ったりした。
しかし、またとんでもないアーティストと契約したな。名前がすごい、大丈夫か、エルヴィス・コステロでさえ、エルヴィスという名前を付けた時点でアメリカでの成功は無理かなと思ったそうなのに。
でも、ジョン・レノン・マカラーくん、順調そうです。僕はけっこう好きです。15歳でこれだけのことができるなんてすごいじゃないですか。ストライプスのサポートのライヴを見たら、このCDのときよりもすごくうまくなっていた。
ボブ・ディランくらいすごいと言われていますが、ボブ・ディランのデビュー・アルバムはもっとすごかったです。もっとギターのテクもすごかったし。でも、年齢の違い10歳くらいあるんじゃないですか。ボブ・ディランは大学生のときにビート作家のヘンリー・スミスが編集した『Anthology of American Folk Music 』を友だちから借りパクして、大学を卒業したか、辞めて、カフェでランブリング・ジャック・エリオットにいろんなテクニックを教わって、やっとデビューしたわけですから、この15歳の少年は何なんですかね、YouTubeとかで勉強して、ここまでの才能を磨きあげたんでしょうか。
いまのイギリスはとってもおもしろそうです。ビートルズ前夜にスキッフルが流行ったみたいに、イギリスの若者はターンテーブルじゃなく、ギターを手にしている感じがします。一度聴いてみてください。声とギターが生む、グルーヴが、気持ちいいですよ。
久保憲司