ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Bon Iver - SABLE, fABLE | ボン・イヴェール、ジャスティン・ヴァーノン
  2. Sherelle - With A Vengeance | シュレル
  3. あたらしい散歩──専門家の目で東京を歩く
  4. 別冊ele-king VINYL GOES AROUND presents RECORD――レコード復権の時代に
  5. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  6. Actress - Grey Interiors / Actress - Tranzkript 1 | アクトレス
  7. Columns R.I.P. Max Romeo 追悼マックス・ロミオ
  8. Seefeel - Quique (Redux) | シーフィール
  9. Black Country, New Road - Forever Howlong | ブラック・カントリー、ニュー・ロード
  10. Twine - New Old Horse | トゥワイン
  11. Jefre Cantu-Ledesma - Gift Songs | ジェフリー・キャントゥ=レデスマ
  12. Shintaro Sakamoto ——すでにご存じかと思いますが、大根仁監督による坂本慎太郎のライヴ映像がNetflixにて配信されます
  13. interview with Nate Chinen 21世紀のジャズから広がる鮮やかな物語の数々 | 『変わりゆくものを奏でる』著者ネイト・チネン、インタヴュー(前編)
  14. Soundwalk Collective & Patti Smith ──「MODE 2025」はパティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴのコラボレーション
  15. Eyed Jay - Strangeland | イアン・ジックリング
  16. Conrad Pack - Commandments | コンラッド・パック
  17. interview with Primal 性、家族、労働  | プライマル、インタヴュー
  18. interview with Jon Hopkins 昔の人間は長い音楽を聴いていた。それを取り戻そうとしている。 | ジョン・ホプキンス、インタヴュー
  19. Cosey Fanni Tutti ——世界はコージーを待っている
  20. R.I.P. Tadashi Yabe 追悼:矢部直

Home >  Reviews >  Album Reviews > The Men- Tomorrow's Hits

The Men

The Men

Tomorrow's Hits

Sacred Bones

Tower HMV iTunes

久保憲司   Mar 24,2014 UP

 僕はザ・メンが大好きだ。クラウド・ナッシングスよりも好きです。クラウド・ナッシングスのディラン・バルディはライヴ終わりに話しかけてきたお客さんに年齢を訊かれて「22歳」と言ったら、「22歳に見えない」と言われてすごい落ち込んでいて可愛かったですが。
 ザ・メンのギターをジャングリングしている感じが好きなんです。僕は元パンクなので、ジャングリングするな、ストラミング(ストラマー)しろ、なんてふうに思っていたのですが、いまはジャングリングが大好きです。趣味がギターを弾くことになったからでしょうか。昔はダイナソーJRやティーンエイジ・ファンクラブのよさがいっこうにわからなかったんですが(この頃は、正確にビートを打ち込んでくれ! というふうに思っていたのでしょう)、いまはジャングリングしてよ、ニール・ヤングしてよ、という感じです。

 ザ・メンの音楽を聴いているとギターを楽しく弾いて、歌いたいなという気になってきます。これはけっこう不思議な感じなんですよね。ダイナソーJRを聴いていてもあんまりギターを弾きたい、歌いたいという感じにはならなかったのですが、ザ・メンはもっとシンプルだということでしょうか。でも、そのシンプルさがすごくいいと思うんだな。そんなザ・メンの新作『トゥモロウズ・ヒッツ』は、前作『ニュー・ムーン』(2013年)、さらにその前作『オープン・ユア・ハート』(2012年)のサイケデリックな混沌とした感じが抑えられ、テレヴィジョンな感じも出てきて、僕はますますいいんじゃないのと思ってしまいした(前作のタイトルは『ニュー・ムーン』ですけどね)。なんでも、約40曲もあるデモ音源から選りすぐったものを、時間をかけて仕上げたそうで、作曲能力もグンと上がったような気がします。ホーン・セクションなんかも加わっていますね。

 でも、ザ・メンを聴いていると、やっぱりいっしょに歌いたいな、ギターを弾きたいなと思えてきて、そういう魅力は健在です。ただ単にシンプルという部分に惹かれていたのではないのかもしれません。きっと、彼らの音楽に対するアテチュードにやられていたんですね。いまどき、こんなストレートで豪快なバンドをやるということがすごいことですよね。イギリスなんかを見ても、いまはなかなかこの手のバンドで目立つ存在がいないんじゃないかな。
 頑張れ、ザ・メン。僕は応援します。

久保憲司