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Shit And Shine

IDMNoise RockPost-Punk

Shit And Shine

Some People Really Know How To Live

Editions Mego

Tower HMV Amazon iTunes

野田努   Nov 10,2017 UP

 現在はロンドンを拠点とするノイズ・ロック・バンドとして活動しているクソして輝け(Shit And Shine/$hit & $hine)は、いわばスリーフォード・モッズとパウウェルの溝を埋める存在だ。というには少しばかりスカムが入っているが……。
 クレイグ・クローズを中心にテキサスで結成され、2004年から活動している$&$は、すでに15枚以上ものアルバムを出している。バットホール・サーファーズやメルツバウ、SUNN O)))やライトニング・ボルトなどの影響をおそらく受けながら、決して日の当たるところで活動してきたわけではないが、長年に渡って評価され続け、数年前からパウウェルの〈Diagonal〉と精鋭的な電子音楽のレーベル〈Editions Mego〉が手をさしのべたことで、より広く知られるようになった。
 また、このふたつのレーベルと関係ができてからはエレクトロニック色が強まっている。2017年もこのふたつのレーベルから2枚のアルバムを発表しているが、先日出たばかりの〈Editions Mego〉からの『Some People Really Know How To Live』は、ポストパンクとIDMのニヒルな結合において、ナンセンスと、そしてこの狂った世界をどう生きていけばいいのかという観点においても興味深い内容となった。
 
 さらにまた興味深いと思えるのは、ここに収録されたクラブ使用可のダンス・トラックが、陶酔に反発している点。“Notified”のような曲では、素朴なブレイクビートを使いながら、しかしジャングルのような高揚感を持たないし、暗さに耽ることもない。$&$の音楽は直接政治的というわけではないが、明白に今日の災いや人びとの不安や虚無といったものを反映している。ギャンスタ・ラップのパロディ、“Lil Wannabe Gangsta”でサンプリングされた口汚い言葉の断片は、ひどく歪められて、ハイプ・ウィリアムスの諧謔を横目に見ながらいくら腐っても臭うのことのない電子の裏通りを駆け抜け、ジャム・シティのデビュー・アルバムの廃墟の奥地にへと接続する。
 彼らのセカンド・アルバムを現代の“シスター・レイ”だと評した人がいるというが、耳障りの良いメインストリームに対して$&$は完全に逆らっている。可能性とはこういうもののなかにあるのだろう。

野田努