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Jameszoo

Jameszoo

@渋谷 CIRCUS TOKYO

2016年11月25日

小林拓音  
写真:岩沢蘭   Jan 12,2017 UP

 年末号の制作でへろへろになりながらCIRCUSへ足を運んだ。ジェイムスズー、たしかにアルバムは面白かったけれど、DJセットはどんな感じなんだろう? もしこれでぐだぐだの内容だったらどうしよう……そんな一抹の不安を抱えながらCIRCUSの重い扉を開けた。

 2曲目に『AKIRA』のサウンドトラックが流れてきて、いきなり虚を衝かれる。これは日本というエリアに対するサービスなのだろうか? いや、2016年は〈LuckyMe〉からBwanaが『AKIRA』の音源のリワーク集をリリースしたり、〈Milan〉が『AKIRA』のサウンドトラックのリイシューをほのめかしたりと、海外での『AKIRA』人気の高さを再認識させられることが多かったけれど、ジェイムスズーも単にその風潮に乗っかっただけなのかもしれない、などと思案していたら「あんたも忍者、わたしも忍者、目潰し投げてドロンドロン」という歌声が耳に飛び込んできた。フランク・チキンズである。わかった。これは彼なりの日本へのサービスなのだ。

 こちらが「この曲もうちょっと聴いていたいな」というタイミングでどんどん次の曲を放り込んでくるジェイムスズー。彼は曲と曲を無理にBPMで繋ごうとはしない。それなのにテンポの切り替えは巧みで、幅広いジャンルのトラックが違和感なく繋がれていく。声ネタの使い方や挟み方もおもしろい。セットの中心となっているのは一応ヒップホップやブレイクビーツなのだけれど、その流れのなかにエクスペリメンタルなものからシンプルにダンサブルな4つ打ちまで、とにかく様々なタイプのトラックがぶち込まれていく。場を盛り上げるための曲、クールダウンするための曲、曲と曲を繋ぐための曲、DJ自身のセンスを披露するための曲……

 予想外のタイミングでスティーヴ・ライヒ×パット・メセニーの“Electric Counterpoint”が流れてきたときに考えはじめた。これはかなりうまいDJなのではないか? 体力的に限界だったはずのわが身体が自然と揺れ動いていくのがわかる。序盤はフロアの後方で様子をうかがっていたオーディエンスも、徐々にそのセットの良さに気づきはじめ、もうたまらんとばかりに前の方へと踊り出てくる。

 終盤、エイフェックス・ツインの“Windowlicker”がかかった瞬間に、僕は「うおー」と叫んでいた。あまりに唐突な挿入でありながら、それまでの流れとまったく違和感のない選曲。どんどんジェイムスズーへの信頼が厚くなっていく。その後ハプニングで一瞬曲が途切れるが、そのわずかな沈黙の間すらも演出のように聞こえてしまうから不思議だ。彼はジョン・ケイジよろしく、オーディエンスのざわめきまでをもひとつの曲としてプレイしてみせたのだ、などと言ったら褒めすぎかもしれないが、しかし彼は現代音楽も大好きなようなので、そんな憶測も完全に間違いとは言いきれない。中断の後にはバトルズの“Atlas”が流れてきて、ふたたび僕は「うおー」と叫んでいた。

 この日CIRCUSに行かなかった人はかなり損していますよ。いやマジで。

小林拓音