Home > Reviews > Old & New > Various Artists- Vol. 2 Deutsche Elektronische Mu…
再発見を得意とするUKの〈ソウル・ジャズ〉によるクラウトロックの編集盤、その『Vol. 2』だが、『Vol.1』以上に多彩な選曲になっている。カンの壮大な"ハレルヤ"がわずか5分弱に切られているのはがっかりだが、クラウトロックと言ったときのお約束の音(ミニマルで、エレクトロニックで、アブストラクトで)も収録しつつ、今回は、ギラ、アジテーション・フリー、アモン・デュールIIのようなコミューナルなロック・バンドの美しい楽曲、A.R. &マシーンズ、ブロセマシーナのコズミックでフォーキーな楽曲が要所要所で印象的に使われている。ミニマルで、エレクトロニックで、これといった旋律のないクラウトロックの池のなかでは、むしろ多少アメリカナイズされているロック・ソングが新鮮に思えるから不思議......でもなんでもないか。
とにかく、たとえば、YouやSergius Golowin、Electric Sandwich、Rolf Trostel、70年代のアフロ・フュージョン・グループのNiagaraといった、僕にはあまり馴染みでない名前がけっこう入っている。前作よりもさらに一段ギアを入れたような、マニアックな内容と言えるだろう。
DAFやピロレイターのようなポスト・パンクが、ハラルド・グロスコフやヴォルフガング・リーヒマン、コンラッド・シュニッツラーやアスムス・チェチェンズらと混ざっていても違和感はないが、ドイツというだけですべてをひと括りにするにはさすがに無理がある。そういう意味で、ここに収録された27曲は、クラウトロックという括りの限界ラインをまさぐっているようだ。2枚目のCDの12曲目は、ファウストの"クラウト・ロック"。シリーズの最後はこれしかない。自分の知らない曲が多かったので、『Vol.1』よりも楽しめた。
野田 努