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梅雨のサウンドパトロール

梅雨のサウンドパトロール

三田格 Jun 07,2021 UP

 オリンピック村で配布されるコンドームの数が尋常じゃないと話題になってるけれど、どうせ東京オリンピックを強行するなら、いっそのこと夜のオリンピックも「OnlyFans」(https://onlyfans.com)で強行配信すれば収益もガーンと上がって、電通ウハウハなんじゃないでしょうか。セクシーな行為や姿を見られたい人が自作映像をアップする「OnlyFans」はディズニー女優のベラ・ソーンが主演作のリサーチ目的でアカウントを開設しただけで1日で1億1000万円も売り上げたというから、運営側が夜のオリンピックもコントロール下に置けば赤字も秒で解消でしょう! ああ、オレはなんて国想いなんだろう……つーか、見せたいバカはきっといる(https://twitter.com/onlyfansjapan_)。そうしたことを踏まえて、梅雨のサウンドパトロールです。

1 Cam Deas & Jung An Tagen / That (yGrid/C#) / Diagonal


https://soundcloud.com/diagonal-records/diag059-3-cam-deas-jung-an


https://presentism.bandcamp.com/track/that-ygrid-c

ケンイシイ “Extra”……かと思った。ロンドンから実験音楽系のキャン・ディーズことキャメロン・ディーズがパウウェルのレーベルに移籍し、オーストリーのステファン・ジャスターと組んだビート・アルバムの3曲目。“Extra” のダンス・ビートをゴムのミリタリー・ドラムに置き換え、全体にソリッドな質感で押し切っている。偶然にも大坂なおみを襲った病気と同じ『プレゼンティズム(Presentisim)』と題されたアルバム全部が様々なアプローチで “Extra” をアップデートさせた集合体のようで、オープニングはFKAトウィッグスの最良の仕事のひとつといえる “Hide” に通じるメキシカン・テイスト。


2 Ghost Warrior / Meet At Infinity / Well Street


https://soundcloud.com/oneseventyldn/premiere-ghost-warrior-meet-at-infinity

ハーフタイムなどドラムンベースの刷新に取り組んできたピーター・イヴァニ(Peter Ivanyi)による7作目のEPからタイトル曲。空間的な音処理に長け、ダークな余韻を残すことにこだわってきた彼が作品の質を落とさず、緊張感をアップさせた感じ。快楽的なんだかストイックなんだか。同EPからは複数のリズム・パターンを駆使した3曲目の “They Live” もいい。ハンガリーから。


3 kincaid / Slow Stumble Home / Banoffee Pies


https://banoffeepiesrecords.bandcamp.com/track/slow-stumble-home


https://soundcloud.com/banoffee-pies/premiere-kincaid-slow-stumble-home

ブリストルのニュー・レーベルからキンケイドとシューティング・ゲームに由来するらしいゼンジゼンツ(Zenzizenz)が2曲ずつ持ち寄ったEP「Single Cell」のオープニング。ロンドンのキンケイドは長らくオーガニック・ハウスをやっているという印象しかなかったけれど、ロックダウン下で取り組んだEP「Pipe Up」でハーフタイムらしき “Thirds” を聴いてから急に興味が湧いたひとり。そして、フィールド・レコーディングを素材に用いた “Slow Stumble Home” でダウンテンポというジャンルに新風を吹き込んできた。素晴らしくてナイス・チルアウト。


4 どんぐりず / マインド魂 / Victor


https://dongurizu.com/news/detail/80

本誌でヒップホップ特集を組んだと聞き、僕がたまにユーチューブでチェックしている群馬の二人組をピックアップしてみました。何を伝えたいのかさっぱりわからないけど、なぜか何度も観て(聴いて)しまう。


5 Kamus / Kult / Céad


https://soundcloud.com/cead_cd/kamus-kult?in=yungkamus/sets/kult

グラスゴーからキャメロン・ギャラガーによるアラビック・テイストのトライバル・ダブステップ。延々と宙吊りにされる快楽。かつてのトラップ趣味や妙な情緒の揺れは消し飛び、カップリングの “Wallace” とともにストイックでヒプノティックなパーカッション・ワークがとにかく素晴らしい。


6 ディノサウロイドの真似 a.k.a Dinosawroid-mane / 210212 / Opal Tapes

松本太のソロ・プロジェクト。カセット・アルバム『AOB』から6曲目。アルバム全体はエキゾチックなトライバル・ドラムやフェイク・ファンクなど、いい意味で懐古的なオルタナティヴ・サウンドみたいですが、“210212” はちょっと毛色が変わっていて、伸びたり縮んだりするスライムを音楽に移し替えたような面白い展開。関西の人なのか、自己紹介がふざけていてよくわからない。ネーミングの由来は→https://twitter.com/dinosawroidmane


7 Poté / Young Lies (feat. Damon Albarn) / OUTLIER


https://potepotepote.bandcamp.com/track/young-lies-feat-damon-albarn

パリ在住のポテによるアフロ・シンセ・ポップのデビュー作から8曲目。アフリカ・イクスプレスやブラカ・ソン・システマのレーベルを経て、ボノボが〈ニンジャ・チューン〉傘下に設立したレーベルから。癖がなくて聞きやすい曲が並ぶなか、ジェイミーXXのソロを思わせる “Young Lies” は重そうな歌詞をしなやかに聞かせていく。


8 miida and The Department - Magic hour

元ネゴトのマスダ・ミズキによるニュー・プロジェクト。渋谷系リヴァイヴァルというのか、さわやかで微妙にアンニュイな感じは懐かしのクレプスキュール・サウンドを思わせる。そこはかとなくダンサブルで、ロッド・ステュワート “I’m Sexy” のベース・ラインを思い出すのはオレだけか。


9 Maara / WWW / UN/TUCK Collective

「孤独なインターネット・インフルエンサー」を自称するマジー・マン(Mazzy Mann)による過去2枚のEPを素材としたリミックス・アルバム『MAARA 2​.​5: X MIXES & REMIXES』の冒頭に置かれた3曲のオリジナルから3曲目。リミックス部分は全部いらなかったという感じで、オリジナル曲では嘆き悲しむようなメロディをゴージャスに歌い上げ、確実にスキル・アップが達成されている。カンザス・シティのクイアーやトランスジェンダー専門のレーベルから。


10 Marjolein Van Der Meer & Big Hands / Kitty Jackson / Blank Mind

アラン・ジョンソンやラックなど秀逸なトラックものを連発してきたダブステップのレーベルがロックダウンを機に製作したアンビエント・アルバム『Comme De Loin』の5曲目。レイジーなウイスパー・ヴォーカルを軸にふわふわと頼りなげに漂う薄明のダウンテンポ。はっきりいって、良かったのはこれ1曲。

三田格