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IORI

Jul 10,2012 UP

DJ file(5)

IORI

取材:小野田雄

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本格的にやりはじめたのはここ3年くらいですよ。それ以前、20歳くらいの頃にMPC2000とシンセを買って、MPCで作ったビートにシンセを被せたチープなハウス・トラックを作ってみたこともあるんですけど、機材の使い方が難しくて、のめり込めなかったんですね。

■そして、2000年にDJをはじめて、その3年後に早くもニューヨークへ渡ったんですよね。

IORI:そうですね。まず、17歳の時にデヴィッド(・マンキューソ)が初めて沖縄でプレイしたんですけど、そのパーティへ遊びに行ったら、自分が聴いてるレコードの音が格段に違う鳴りだったことに最初の1曲めからぶっ飛んだというか、それ以前の夜遊びでは味わったことのない、ものすごい衝撃を受けたんです。で、その2年後にまたデヴィッドが来たとき、そのパーティをスタッフとして手伝っていたので、いっしょにご飯を食べたとき、「ニューヨークに行きたいんです」って話をしたら、「いつでもおいで」って。だから、その翌年、まずは旅行でニューヨークに行ったんですけど、行く前に当時彼のマネージャーだったタケシさんっていう日本人を通じてメールで連絡したら、スムーズに2週間泊めてくれたんです。で、その翌年の2003年に今度は向こうの大学に行く勢いで、長期滞在するためにニューヨークへ行ったんですけど、その時、「家が見つかるまで泊まっていいよ」っていう話から「部屋が空いてるから、ここに住めばいいんじゃない?」ってことになったんです。

■そうやって気軽に出かけていくIORIくんの行動力もスゴいですけど、IORIくんを「住んでいいよ」って気軽に受け入れるデヴィッドも懐の広さもまたなんともはや。そして、もちろん、彼といっしょに生活しながら、色んなことを教えてもらった、と。

IORI:そうですね。もちろん、音楽が好きで来たことはデヴィッドも知っていたので、彼がパーティをやるときに手伝うようになったり、いっしょに生活するなかで、いろんな部分で影響されましたよね。ただ、彼は自分の家に機材を全部置いているわけでもなければ、僕が彼といっしょに住むまで、オーディオもつながれていなかったし、普段は一日じゅうラジオを聴きながら、パソコンで世界中の人とやりとりをしている人でした。そんななか、特に印象に残っているのは、レコードのコンディションに対する神経質なくらいの気の使い方であったり、サウンドシステムに対するきめ細かさ。僕は彼と同じレコード、同じサウンドシステムを扱っているわけではないんですけど、彼から学んだそうした心構えで、自分なりに音楽と接しているつもりです。

■デヴィッドのレコードの扱い方というのは?

IORI:そんなに手入れはしてないんですよ。ただ、彼はすごいレコード針を使っているので、レコードのスクラッチ・ノイズを異常に嫌っていて、ちょっとでもスクラッチ・ノイズがあったらダメって感じなんですよ。だから、盤面には絶対に指紋をつけないというところからはじまって、レコードのインナースリーヴをすぐに取り出せる状態にはせず、ほこりが入らないようにしておくとか。彼にならって、僕もそうしていますし、彼からレコードを教えてもらったことはないんですけど、レコード棚を端から端まで見させてもらったり、彼はパーティでかけるレコードのだいたいの順番をあらかじめ決めるので、その曲順を書いた紙を「はい」って渡されて、僕がレコードをその順番に並べて箱に詰めたり。

■でも、ニューヨークでのロフト体験やデヴィッドとの共同生活もありつつ、そのまま滞在せず、1年後には沖縄に帰られたんですよね?

IORI:そうなんですよ。ニューヨーク滞在中に「ここで得たものを持ち帰って、沖縄でやりたい」っていう気持ちが芽生えて、帰国してからいままでずっと沖縄なんです。DJとしては、渡米前から火の玉ホールの第4火曜日に当時の沖縄で唯一のディープ・ハウス・パーティを8年間続けて、平日でもコンスタントに5、60人入るような状況だったんですけど、火の玉ホールの移転を機にそのパーティも終わって。2008年から「ギャラクシー」っていうパーティをはじめて、今は桜坂にある"g"っていう小さいバーでやってるんですけど、そのパーティも今年で4年目になるのかな。

■そして、2008年にロンドンのサイト、ディープフリークエンシーでそのパーティ名とも通ずる「イオリ・ギャラクシー」というネット・ラジオをはじめることになるわけですけど、沖縄にいながらにして、どういう経緯で番組を持つことになったんですか?

IORI:ニューヨークのロフトのパーティで知り合ったフランス人がロンドンに住んでいて、彼を訪ねてロンドンへ遊びに行ったんですよ。

■あ、こないだ来日したDJのセドリック・ウーですか?

IORI:そうそう。その時、すでにセドリックもディープフリークエンシーで自分の枠を持っていて、ロンドン滞在中にゲストでDJさせてもらったんですよ。そうしたら、サイトのスタッフが気に入ってくれて、その翌月からレギュラーでやることになったんです。それまでオンライン・ラジオがどんなものなのかも知らなければ、もちろん、やったこともなくて、そのサイトも日本に帰って初めて見たっていうくらいだったんですけど、2時間の番組用の音源データを送って、最初の2年は月イチ、今は不定期でやってますね。

■セドリックは要するにデヴィッドがロフトでパーティする時のスタッフというか、ロンドンのロフト・ファミリーですよね。

IORI:そう。ディープフリークエンシーをやってる同じフランス人のギヨームもロフト・クルーですし、同じくロフト・ファミリーでいまはイギリスに住んでるDJコスモもディープフリークエンシーで番組を持ってるんです。

取材:小野田雄