ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. David Byrne ──「世界は変わっている──だから私たちも」ディヴィッド・バーンの考察 (news)
  2. interview with Thundercat 悲しみの先のフュージョン (interviews)
  3. Aphex Twin ──エイフェックス・ツインが現在の状況を警告 (news)
  4. AJATE - ALO (review)
  5. The Drums - Summertime! (review)
  6. Politics コロナ恐慌を機に高まった「政府は金を出せ」の声 (columns)
  7. PANICSMILE - REAL LIFE (review)
  8. Columns Playlists During This Crisis この非常事態下における家聴きプレイリスト (columns)
  9. Moment Joon - Passport & Garcon (review)
  10. Random Access N.Y. VOl.124 NYシャットダウン#2 (columns)
  11. NYをはじめ、各地でオンライン・フェスやライヴ・ストリーミングが開催 (news)
  12. VIVA Strange Boutique ──東京の奥沢で売られているクリス&コージーのTシャツが格好いいです (news)
  13. RC SUCCESSION - COMPLETE EPLP ~ALL TIME SINGLE COLLECTION~ 限定版 (review)
  14. Thundercat ──延期になっていたサンダーキャット来日ツアーの振替日程が決定 (news)
  15. 吉田アミ - 虎鶫(とらつぐみ) (review)
  16. COM.A ──パンク精神あふれるIDMの異端児が13年ぶりの新作をリリース (news)
  17. R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) (news)
  18. Gil Scott-Heron - We’re New Again (A Reimagining By Makaya McCraven) (review)
  19. interview with Little Dragon (Yukimi Nagano) 世界を魅了した歌声、北欧エレクトロニック・ポップのさらなるきらめき (interviews)
  20. Random Access N.Y. VOl.123 NYシャットダウン (columns)

Home >  Reviews >  DVD+BD Reviews > 電気グルーヴ- ノモビデオDVD

電気グルーヴ

電気グルーヴ

ノモビデオDVD

Ki/oon

Amazon

渡辺健吾   Jan 07,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 そして最後の『ノモビデオ』(これだけオリジナル・リリースもDVDがあった)。タイトルとしては『シミズケンタウロス』『ニセンヨンサマー』『レオナルド犬プリオ』と並ぶ偉人シリーズ。本編はPV集で、アルバム『VOXXX』期の田中秀幸仕事が卓球ソロとあわせて堪能できる。しかし、PVは正直どこでも見られるしリアルタイムでもかなりあちこちで繰り返し見たものばかりで、意外性や新しい発見はない。制作時の裏話が聞ける副音声のコメンタリーも悪くはないが、ものすごーくテンション低く自分たちで「言うことない」などと告白しており、え~~~と言いたくなる。

 しかし、おまけとして追加されたディスク2がイイ。2000年、アルバム『VOXXX』のツアー、異常な盛り上がりを見せる大阪の一夜。ライヴ・アルバム『イルボン2000』で既に音源はリリースされているが、このままバーンアウトしたように長い活動休止に陥る前の、なにかやりつくそうとしてるようなテンションは映像を伴ってさらに凄みを増す。大阪は行ってないので、この現場は見ていないが、クリスマス時季にお台場のZepp東京でやった充実のステージはいまでもはっきりと覚えている。まりん脱退後、渡部高士やDJ Tasakaをサポートに迎え試行錯誤を繰り返した電気が、オリジナル・メンバーと対をなして張り合えるパワーをもったTasaka&Kagami(要するに、Disco Twins)を得たことで、以前のような自由さ、活性感を取り戻した記念すべきツアーの一夜だったからだ。

 重く苦しかった『VOXXX』のレコーディングを脱してツアーに出た開放感、それにDJ周りの機材の進歩、ヒップホップ・マナーのTasaka+直感的なKagamiの参加......すべてがプラスに作用したからか、かなりフリーで即興的なライヴになっている。"密林の猛虎打線"や"エジソン電"、"インベーダーのテーマ"あたりが客とのやりとり含めてものすごいことになっていた記憶があるのだが、残念ながらここではすべてカットされている。しかし、半分以下の尺でも伝わってくるのは、それまでバランス取りながら突き詰めてきたDJカルチャー的な良さを失わずに、またさらに「電気的」なる表現を一歩も二歩も進めた凄み。

 一方、コメンタリーはサポートのふたりが参加して、どこか和やかなムードも漂っている。このアニキ的な役割に微妙にチェンジしたふたりとDisco Twinsとのかけあいは、当時のステージでのやりとりを喋りで再現しているようでもあり、おもしろい。またしばらくお休みの期間に入ると噂される電気グルーヴだが、冒頭に言っていた「20年後にこれまたやろうぜ」っていう冗談が実現するように、ぜひともがんばって欲しいものだ。

渡辺健吾