「Low」と一致するもの

ダブ・パトロール - ele-king

 昨年末の紙のele-kingの年間ベストにおける「ダブ」の続きという感じであります。うだるような夏にぴったりのヌケ成分多めの2022年上半期にリリースされたダブ系のリリースから10枚お送りいたしましょう(1枚昨年リリースでした)。なんだか振り返ってみると国産ダブものが異常に豊作だったイメージで、国産レーベルはもちろん、海外からのリリース(〈ZamZam〉傘下からUndefined)さらには海外勢とのコラボにはダッピー・ガンとエレメント、ちょいと別項で紹介する予定のミスティカ・トライブとまさかのダッチ・エレクトロのベテラン、レゴヴェルトとのコラボ=Noda & Wolfersなんてのも出ておりますがそちらは別途単体のレヴューにて近日。


Om Unit - Acid Dub Versions Self-released

 まずはベース・ミュージック方面から、ブリストルのドラムンベース~ダブステップのベテランのリミックス・シングル。サウンドそのままな身も蓋もないタイトルで、ザ最高な2021年のアルバム『Acid Dub Studies』を素材としてリミックス・シングル。本作との間に共作シングル「Root, Stalk, Leaf and Bloom」(こちらも最高です)をリリースしているデッドビート、ブリストルのニュールーツ・ユニット、ダブカズム、〈ボケ・ヴァージョンズ〉などからのリリースで知られる、シーカース・インターナショナル、そしてミニマル・ダブのベテラン、エコースケープの片割れ、ステファン・ヒッチェルがCV313とヴァリアント名義で解体。ローファイ・ダブなシーカース・インターナショナル、ステッパーなダブカズム、アップデートされたミニマル・ダブ~ダブ・アンビエントのデッドビートとエコスケープ方面と、ある意味でさまざまな方向に拡散している、現在のエレクトロニック・ミュージックのダブの解釈が楽しめる1枚。


Undefined - Defined Riddim Khaliphonic


ZamZam Sounds · UNDEFINED "Defined Riddim" LP + 7" Khaliphonic 15 vinyl blend

 こだま和文との10インチに度肝を抜かれた国内のダブ・デュオが、かねてからアナウンスされていた〈ZamZam〉系列の〈Khaliphonic〉(前者7インチ専科、こちらは10インチやLPなどそれ以外)からLPがリリース。ポール・セント・ヒラーレ、ヤング・エコーライダー・シャフィーク(参加楽曲は〈ZamZam〉から先行7インチでリリース)、さらにLPに付属するボーナス7インチには、日本人ルーツ・レゲエ・シンガー、故ラス・ダッシャーが参加。エレトロニックと生ドラムの編成で、ミニマル・ダブやアンビエントなどの手法を取り入れつつも、やはりルーツ・ダブのうまみを極限の引き算でむき出しにするソリッドなダブ・アルバム。彼らのなかでもオーセンティックなサウンドのボーナス7インチも、アルバムとの対比でおもしろい。


Duppy Gun × Element - Andromeda EP Bokeh Versions / Riddim Chango

 UK〈ボケ・ヴァージョンズ〉と日本の〈リディム・チャンゴ〉による共同リリース。〈リディム・チャンゴ〉を1TA(Bim One Prduction)と運営するタカクラヒロシことエレメントのプロダクションによる3リディムとダッピー・ガンのMC陣。タカクラが件のレーベルからリリースした「Freedom EP」(フィーチャリングされていたダブ・ポエッター、Nazambaは先日残念なことに急逝)は、ニュールーツ色強めでしたが、こちらはダンスホール方面というかダビーなグライムというか。最近「その手の音」といった感じで定式化してしまった感のあるテクノ方面などのダンスホールですが、こちらはそのグライム感の強さなど、くっきりとオリジナル。リディム解釈の角度の違いを聴かせている。


KEN KEN, ICHIHASHI DUBWISE, asuka ando - AMAI HIT KOUCHIE E.P. ARRROUND Wicked Sound Maker

https://arrround.thebase.in/items/55899471

 最近新たな勢いを見せている国内のラヴァーズ・ロック・レゲエ。ある意味で2010年代後半でその動きの突端を作ったとも言えるaska ando。彼女の『あまいひとくち』より、表題曲のニュー・ヴァージョニングでリカットとなる10インチがNoolio主宰の〈ARRROUND WICKED SOUND MAKER〉より。ヴィン・ゴーデン+リー・ペリーのトロンボーン・ダブ “5 Cardiff Crescent”(『Musical Bones』)を下地にした楽曲だったんですが、さらに先日坂本慎太郎物語のように』にも参加のトロンボニスト、KEN KEN(KEN2D SPECIAL / URBAN VOLCANO SOUNDS)がほっこりホーン・カヴァー、またKEN2D SPECIALのICHIHASHI DUBWISEがズブズブにダブワイズ、幾重にも重なるレゲエ・ヴァージョニングの妙味が味わえる1枚。スピーカーからは温泉気分の熱風が。そしてオマケのミックスCDがまた……ツッテッツテッテ。


Chakra & Ichiro feat. Tamaking Kozy / Chakra & Ichiro Dub Mix Hav - Rasta Woman / Rasta Woman (Chakura Dub) SF Recordings

https://drumandbass-rec.com/products/226434chakra-and-ichiro-feat-tamaking-kozy-ch

日本のダブということでいえばコチラは事件。2000年代の大阪ダブ・シーンを象徴するソウル・ファイヤーの〈SF Recordings〉がおそらく15年ぶりぐらいに突如シングルをドロップ。目を疑いました。詳細は不明ながらダブ・ミックスに〈SF〉のドン、HAVを迎えた体制のキラー・ルーツ。色っぽいダブル・ミーニングで、ある意味でスラックネスな歌詞ですがキラーなサウンドはレーベルの往年と変わらず。そしてB面は同オケにて、まさかのヴォーカロイド、初音ミクの音声をフィーチャーしたこれまたキラーなダブ。


MaL - Primal Dub HOODISH

 冷房効果もありそうなチルアウトなダブを。PART2STYLEとして欧州のベース・ミュージック・シーンにも食い込み、そして最近ではMACKA-CHIN、J.A.K.A.M.(JUZU a.k.a. MOOCHY)とのZEN RYDAZとしてのリリースも活発なMalのソロ。2021年に全治9か月の足の大怪我で、2か月半もの間、入院。そんな入院のさなかにラップトップで制作が進められたというアルバム。これが生活に溶け込むような滑らかにチルアウトなエレクトロニック・ダブ・サウンド。レーベルは彼が拠点にしている高田場馬にある九州料理店「九州珠(KUSUDAMA)」のレーベル〈HOODISH〉より。「Night on the Sidewalk」あたりは、なんというか高田場馬からDJパイソンへの回答というか。詳しくは大石始氏のnoteにて(https://note.com/oishihajime/n/n93d6ab00e9f2)。


Tapes meets Nikolaienko - Sunda School II Porridge Bullet

 エストニアのレーベルより、ここ数年のローファイなエレクトロニック・ダブの旗手とも言えるテープス、そしてヤン・イェリネックのレーベル〈Faitiche〉などからのリリースで知られるウクライナのドミトリー・ニコライエンコのコラボ・シングル。モコモコしたループ・サウンドがまどろみながらエコーに消えていく、チャーミングでローファイなダブ・アンビエント。どこかザ・ケアテイカー的なノスタルジーも。


Nocturnal Emissions - In Dub Holuzam

 インダストリアルのベテランがダブ・アルバムをリリースというか、2010年代よりスタートしていたというダブ・シリーズCDRをコンパイルしたもののよう(オリジナルは自身のBandcampで入手可能)。リリースはリスボンのレコードショップ〈Flur〉のスタッフ、マーシオ・マトスが運営する〈Holuzam〉(姉妹レーベルにDJニガ・フォックスなどをリリースする〈Príncipe〉がある)。初期ダンスホールをスローダウンしたというか、どこかメビウス&プランクの『Rastakraut Pasta』を電化ダブ化したような、決してグルーヴィーとは言えないチャカポコとしたドラムマシンのチープな響き、そしてカットアップされる電子音やらノイズやらギターやらが飛び交うサイケデリックなダブ・アルバム。マスタリングはニュールーツのマスター・エンジニア、〈コンシャス・サウンド〉のダギーが担当とのこと。


FROID DUB An iceberg crusing the Jamaican coastline DELODIO

 オブスキュアなエレクトロやインダストリアルをリリースしているフランスはパリのレーベルより、主宰ふたりによるロックダウン下に作られたダブ・アルバム。大阪は〈naminohana records〉のウェブショップで知り速攻で購入。実は2021年の作品ですがLPがやっと再発されたようです(A4インフォ・シートっぽい+レコード盤面風の印刷のジャケットが最高ですね)。内容は、これまた上記で紹介したノクターナル・エミッションズの作品にも通じるチープな脱力系エレクトロニック・ダブ・サウンドということでチャカポコとしたドラムの上を、電子音やらスクリューなヴォーカルやらがエコーでいったりきたり、DAF『Allest Ist Gut』をあたりを適当かつ無理矢理レゲエ・カヴァーしたらこんな音になるのではないでしょうか、とかいろいろ妄想が広がります。さらにダブ色を強めた『DUBS & BEATS FROM 'AN ICEBERG CRUISING THE JAMAICAN COASTLINE'』もあり。リー・ペリー “Dub Revolution” (アルバムではなく楽曲の方)を始祖としそうな、オールドスクールなドラムマシンっぽいサウンドのローファイなエレクトロ・ダブを、最近勝手にドンカマ・ダブと呼んでいるんですが、まさにそっち系の音。最近流行っているような気がするんですよね。冒頭で書いたNoda & Wolfersもまさにという音で。


Best Available Technology - Fixing Until Broke Accidental Meetings

 イギリス・ブライトンのレーベル〈Accidental Meetings〉より、テープでリリースされたオレゴンのアーティストのダブ・ダウンテンポ。これまたローファイ系なダウンテンポですが、本当に1人の怠惰な時間のために脳を揺らす音楽というか、ニューエイジだとリラックスできない自分としては、トリップホップ時代のフィーリングありなブレイクビーツとかもあったりで、これは世代的には抗えないんですよね。

interview with Superorganism - ele-king

 パンデミックの影響もあってか昨今はひとつの街に属さず離れて暮らすバンドも増えてきた。だがスーパーオーガニズムのように国境をも超えているバンドは多くはない。そもそもスーパーオーガニズムはそれ以前の世界から、それ以後の世界で当たり前になったような感覚を持って活動していたのだ。ロンドンに暮らすイギリス人のハリー、ニュージーランド出身のトゥーカン、ビー、オーストラリアに住む韓国人ソウル、日本人のオロノ、多国籍なスーパーオーガニズムにどこの国、あるいはどこの街のバンドなのかと尋ねたら果たしてどんな答えが返ってきたのだろう? 答えなんてなくとももうこの状態が物語っている。スーパーオーガニズムはどこからでもアクセス可能な世界の中に存在していて、その場所は手紙を送ろうなんて考えが浮かばないくらいに近くにある。そんな古くてありふれたインターネットの幻想がもう当たり前のものとしてここに存在している。2017年に “Something For Your M.I.N.D.” をひっさげて登場しインターネットの寵児として受け入れられた 1st アルバムからさらに進んでスーパーオーガニズムは気負うことなく拡張したその世界を見せつける。

 『World Wide Pop』と名付けられた 2nd アルバムは日本の星野源、CHAI、フランスのSSW ピ・ジャ・マ、イングランド・レッドカー出身のラッパー、ディラン・カートリッジ、アメリカ・ポートランドに暮らすペイヴメントスティーヴン・マルクマス、世界各国数多くのコラボレーターが参加しながらもそこに強い光が当たるようなことはなく、まるで皆がその場所にいるのが当たり前だというように溶け込んでいてなめらかだ。前作の延長線上にあるような “It’s Raining feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge” の憂いを帯びたカラフルなサウンドの上でラップするディラン・カートリッジ、スティーヴン・マルクマスはいつもと少し違った表情を見せて、その間にいるオロノは自然と世界を繋ぎ合わせる。何かの映画に使われるはずだったという “Flying” は遊び心と少しのいら立ちを併せ持った最高のインディ・ポップで(途中でニュー・オーダーの影さえ見える)アコースティック・ギターの音が鳴り響く “crushed.zip” はSSWが作った孤独な原曲を切り裂いてリミックスしたかのような不思議な感触でそれでいてこのアルバムの世界に見事に馴染んでいる。スーパーオーガニズムの持つこの感覚はベッドルームの扉を開けてそのまま世界を拡大したかのようで(それは音楽以外のものに対してもそうなのだろう。“Teenager” のビデオを思い浮かべて欲しい。上下左右、二次元方向にも三次元方向にも、興味は広がり拡大していく)、境界線が消えたみたいに薄くなりジャンルの枠はぼやけ、ついにはメインストリームとアンダーグラウンドの境目さえも見えなくなる。自由で複雑で繁雑、そんな状態になっているのがいまのスーパーオーガニズムの魅力だろう。世界はひとつだけで完結したりはしない、意識することのない当たり前の『World Wide Pop』がそこにあるのだ。
 複数の世界が繋がって世界が作られ拡張していく、スーパーオーガニズムのオロノとハリー、ふたりの話を聞いて頭に浮かんだのはそんな言葉だ。実際に触れあえるようなオンラインと仮想世界を通過したような現実、ひょっとしたら次の世界とはいつの間にかそこに存在しているものなのかもしれない。


Teenager

僕たちはふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。音楽はコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。(ハリー)

スーパーオーガニズムとして日本に来るのはどれくらいぶりになりますか?

ハリー:2019年の1月以来かな? たぶん、それくらいぶりだと思う。

フジロックの後にあった来日公演ぶりですか?

オロノ:そうですね。来日公演ぶりだから2019年以来です。

じゃあ3年ぶりくらいなんですね。いまはひとつの国じゃなくてメンバーがそれぞれバラバラに住んでいる感じなんですか?

ハリー:前はみんなで同じ場所に住んでいたときもあったんだけど……、1st アルバムを作り終わったくらいの時期にみんなで同じ家に引っ越して。でもなんていうか「トゥーマッチ」だったんだよね。だから4年くらい前かな? それでみんなバラバラに住むようになって。いまはソウルはオーストラリア、オロノは日本、残りのメンバーはロンドンに住んでる感じかな。

そうなんですね。でもそれだとメンバー同士でいまどんなモードになっているとかどんなものに興味を持っているとか把握しにくかったりしませんか?

ハリー:そうだね。そういうある種の難しさはあるよ。

オロノ:でももうその段階は通り過ぎたって感じする。

ハリー:そうだね、うん。僕らはもうお互いのことはだいたいわかっているから「いまのモード」はどんななのかっていうのは把握しやすいのかもね。ズームとかでも「いま何に興味を持ってる?」とかよく話すし。もちろん同じ家に住んでたときほどではないんだけど。でもだいたいのことはわかるよ。何かやるときにコンセプトとか素材とかそういうのを話すんだけど、その過程でもみんなが何に興味を持っているのかわかるから。

そんな感じなんですね。

ハリー:うん。たとえば、ミュージック・ビデオを作るときなんかがそうなんだけど。いまたくさんビデオを作っててさ、二週間くらい前にも新しいビデオに取り掛かったところで、電話で何に影響を受けただとかどう思ったとかたくさん話して。オロノが影響を受けた本の一節から組み立てたりもして。だから、僕たちはいろんなことを共有してアイデアや影響についてお互いに理解できるまでトコトン話すって感じなんだ。

今回取材に応じてくれたハリー(左)とオロノ(右)

ミュージック・ビデオの話が出たのでここでビデオの話を聞かせていただきたいです。今回は全てのビデオを同じ人が監督しているせいか一貫した雰囲気を感じて、ひょっとしたらアルバムの一部として制作したのかなとも思ったのですが、今回のビデオはどんな風に作られたのですか?

オロノ:そんな風に感じるのはそれが最初に出てきたコア・アイデアだったからかもしれないですね。言ってくれたみたいにビデオをアルバムの一部として作ったってのもあるし。あとはもちろんビデオとしても美しくなるようにって感じに。ダンは私たちのヴァイヴをよくわかってるし、凄くいい感じにリメッシュしてくれて。たぶんあの人こっちの望んでるもの完全にわかってんじゃないかな。私たちにはアイデアはあってもビデオを作る技術はないから。

ハリー:まぁだよね(笑)。

オロノ:うん。だから彼はプロセスの中で重要な役目を担っている。にしてもヴァイヴを理解してくれて細かいディテールを説明しなくていい人を見つけられたっていうのは超良かった。

ハリー:めっちゃ直感的だったよね。なんていうかな、普段は僕たちふたりでアイデア出し合ってときどき他のバンド・メンバーもって感じなんだけど、ビデオの全体のストーリーを描いて、参考になるいろんな写真を組み合わせたりして、ちょっとしたトリートメント・ドキュメントを作るんだ。で、それを今回彼がまとめあげてくれたっていう。だからそれで連続性とか近似性を持ったんじゃないかな。僕たちから生まれた最初のアイデアから全部ドライヴしていって、それを彼が上手く解釈というか翻訳するみたいな形で具現化してくれたわけだから。

今回はアニメーションが効果的に使われていたと思うんですけど、アニメに関してはどうですか?

ハリー:もちろんアニメは大好きなんだけど、現実的な問題として僕たちはいま同じ場所に住んでいなくて、どこかひとつの場所に集まってビデオを撮影するってことができないっていうのもあったかな。アニメだとみんな一緒にスタジオにいる必要もないし、僕たちが持ってたアイデアも実現しやすかったっていうのがまずあって。で、もうひとつの理由として、伝えたいストーリーをスタジオ撮影の限定的なショットだけで表現したくなかったっていうのもあった。だから自然とアニメを中心に作ろうって方に傾いていったんだ。たとえば “crushed.zip” のビデオは単細胞のアメーバが恋に落ちるってストーリーなんだけど、単なるミュージック・ビデオじゃなくて、ショート・フィルムみたいな感じにしてこの小さなストーリーを伝えたいってアイデアで……。なんていうかさピクサーの映画の前にはいつも短いアニメがあるよね、あれってある種の良さがあって心に残るから、そういう感じにできないかなって考えたんだ。


crushed.zip

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photo: Jack Bridgland

友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。(オロノ)

それで思ったのですが、将来的にもうちょっと長めの20分くらいの、音楽と映像を組み合わせた映像作品を作ってみようみたいなアイデアはあったりしませんか?

オロノ:それはマジでいいかも。

ハリー:それアリだね。うん、興味ある。

オロノ:どこかのタイミングでアニメと音楽を組み合わせられたら最高だなって思うんですけど、でもいますぐできるっていうのはなんだろ? ツアー・ドキュメンタリーとかかな。今年の後半にツアーあるし、そっちの方をいまはやりたいかも。

ハリー:僕はそうだな、長いのを作るとなると……僕はSF好きなんだけど、読むのもそうだしSF的なやつを考えるのも好きって感じで。で、そうだな将来的にやるっていうんならそういうSFっぽいやつに関わりたい。ショート・フィルムを作るのもそうだし設定を考えたりするのも凄くやってみたい。実際に “On and On” のビデオのアイデアはSF的なものに触発されて出てきたものなんだけど、予算があればまたそういうビデオが作れるし、そういうのを突き詰めていくのは楽しいって思うんだ。映画を作るだけの予算はないけど、クールなコンセプトとかクールなストーリーを追求していくことはできるから。僕たちはそういうタイプだしさ。うん、だからマジでそうだな。いろんなメディアの可能性はほんと追求していきたい。

オロノ:ビヨンセみたいな感じで映画をプロデュースしたりもしたい。

ハリー:うん。いいね。僕たち(オロノとハリー)はふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。いま言ったみたいな感じのいろんなものに興味がある。音楽は僕たちのコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。音楽を作ることはずっとやっていくけど他のことにも同じくらい興味があって、その探究はずっと続けていきたいな。


On & On

(ペイヴメントの曲を)聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。〔……〕それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。(ハリー)

音楽がコアとしてあってってそのイメージ凄くわかります。スーパーオーガニズムはベースがあってそこに興味がくっついてどんどん広がっていくみたいなそんなイメージがあったんですけどまさにでした。それは今回のコラボレーターの名前を見てもそうで。国もジャンルもバラバラで垣根がなくて、フラットに好きだという気持ちでみんな繋がっているみたいな。インターネット時代的というか、インディもメインストリームの音楽も次に再生される曲として同じ様に並んでいる曲でしかないというサブスク時代的な感覚というか。スーパーオーガニズムのそういう部分に自由さを感じていて。その辺りの話をもう少し詳しく聞いてみたいです。

オロノ:言ってくれた通りにめちゃくちゃフリーフォームですね。友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。それはでも、私たちがその両方の音楽が好きで、どっちにも友だちがいてっていうのを表しているんじゃないかって気がします。友だちはいろんなところにいるし、音楽業界のいろんな場所にもいる、それこそ垣根がなくて……。

ハリー:うん。僕たちはそんなバンドと一緒にやることで違う世界に足を踏み入れているんだ。自分たちをインディのバンドだって特に意識をしているってわけでもないんだけど……

オロノ:あとメインストリームのバンドともね!

ハリー:そうそう。メインストリームのバンドでもない。僕らが目指しているのはポップ・ミュージックを作るってことだけで、でもまぁ自分たちのやりたいようにやっているだけだからちょっとヘンな感じになっちゃってるとも思うけど。でも違くて、インディとメインストリーム、どっちかになろうっていうんじゃなくて、ただ自分たちにとって馴染むっていうか自然な形でこうなっているって感じかな。で、それが僕らの好きなインディ・アーティストのテイストにフィットするんだ、荒削りでヘンテコでエッジが立ってる大好きなやつに。で、同時に即効性があってポップでキャッチーって感じなのも好きなわけで。だから、それこそまさに僕らのやっていることだって感じがするよ。そんなわけだから違う世界のアーティストと一緒にやるのは理にかなっているとも思う。それに「そもそも自分たちは何なのか?」っていうところに立ち返る良い機会にもなっているんじゃないかって思うんだ。

そういう垣根がないという意味で、アルバム・タイトルの『World Wide Pop』はスーパーオーガニズムの音楽性を表していてぴったりだなって感じました。これはある程度狙ってつけたところがあったんですか? それとも偶然にこうなったみたいな?

オロノ:(日本語で)何も狙ってないですよ。

ハリー:そうじゃないけど、でも面白い話でもあるよね。意図的に狙った場合とそうじゃなくて無意識的にやった結果が不思議と同じになるっていうのは。僕は意図的にやっているって思ってたけどでも実は事故だったってそういう話をよくしちゃうんだけど、でも何かを作っているときっていうのは必ずしも何かを意識してやっているわけじゃないと思うんだ。ただその瞬間にひらめいたものにしたがって突き動かされて作っているだけでさ。で、後から自分が作ったものを振り返ってみたときにそこにあるものの意味が全部見えたりして「マジかよ……俺のやりたかったこと実現してんじゃんとか。言いたかったのはマジでこれだよな」みたいな。
 それで、アルバム・タイトルだけど、最初はただタイトルが必要だったってことだけだったんだ、おかしな話だけど。で、この曲の名前は、アルバムのタイトルとして理にかなってるし合うんじゃないかってそんな感じでつけたんだよ。衝動的にこれがいいなって感じたからで、特に理由はなく創造性にまかせてつけたって感じで。でもいまこうやって振り返ってみると君の言っていることもよくわかるよ。確かに集約されているかも。テーマもそうだし作り方にゲスト参加している人を見てもそうだしさ。でもアルバム・タイトルを決めたときは全然意識していなかったっていうのもまたポイントだと思うんだ。そのときはそういうのは頭になかった。

オロノ:酷いタイトル案いっぱいあったから。

ハリー:うん、マジで。

オロノ:ほんとヒドいやつ。

ハリー:まったくもってそう。

でも、ここまでのお話を聞いていても『World Wide Pop』ってタイトルなのはしっくり来るというか、本当ぴったりなタイトルだと思います。

オロノ&ハリー:(日本語で)ありがとうございます。

毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリング。(オロノ)

最近は音楽のジャンルがますます混ざり合って複数の要素があるものも当たり前のようにあって、それこそスーパーオーガニズムみたいに「これはなんだろう?」ってなる音楽が増えてきていて、カテゴライズがどんどん難しくなっている気がしています。その一方でSNS映えするというか、「この音楽はこうだ」と限られた一言で言い切るようなこともより求められていて、ちょっと変な状況にもなっていると思うんですけど、そんな中で「スーパーオーガニズムの音楽はポップ・ミュージック」だっていうのは凄く納得がいきました。

ハリー:うん、ちょっとおかしな状況になっているよね。少し前にペイヴメントの曲が Spotify によって発掘されたって記事を読んだんだ。凄い再生されたんだけど、でもその曲は昔の B-Side の曲で、お店か何かで聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。で、ストーンズの曲を聞いてその後にランダム再生でペイヴメントの曲がかかるんだ。それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。僕はスーパーオーガニズムはどんな感じのプレイリストにもちょっとフィットしないなって思ってて。それはできる限りユニークな音楽をやろうと思っているからなんだけど。で、その音楽はインディ・ロックと言っていいのか、まぁロックじゃなくても全然いいんだけど。インディ・ロックとかエレクトリック・ミュージックとか、エレクトリックって言うにはちょっとラフ過ぎるか。まぁそんな感じで考えていくと、自分たちはカルチャー的にどの箱にもフィットしない、奇妙な場所に行き着くことになるんじゃないかって、そんな風に僕は考えているんだ。アメリカ・ツアーに行ったときなんか実際にそんな感じだったし。アメリカのロック・ミュージックがかかるラジオ局で僕らの曲もかかって、僕らの曲はこのラインナップの中でもOKなくらいロックなんだって思ったんだけど、でも僕たちは伝統的な意味でのロック・バンドじゃないからその中で落ち着かないというか居場所がなかったんだよね。いろんな場所に溶け込めるけど、どの場所にもフィットしないみたいな、そんな変なバンドだったんだよ。

オロノ:それってほんといつも感じてることだよね。

ハリー:うん。マジで。本当にそうなんだよ。


It's Raining

ライヴの話もお伺いしたいのですが、最近ライヴってやってます?

オロノ:全然やってないです。

最後にライヴをやったのはいつ以来になるんですか?

オロノ:2019年の夏の終わり頃だったかな。

ハリー:うんそうだね。2019年9月のジャカルタ公演が最後だったはず。

かなり間が空いているんですね。その間にライヴに関して何か考え方が変わったみたいなところはありますか?

オロノ:ときどき他のミュージシャンの人と話すんですけど、パンデミックとかそれに関して、早くライヴやりたいねとか。でも私は、全然待ちます、むしろもっと待ってたいですみたいな感じで。

ハリー:うん。

オロノ:毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリングなんですけど。でも実際に、こないだの夜、ハリーと一緒に父親の部屋に行って、自分たちが出たフジロックの映像とか日本でやった他のライヴの映像とかを見たりして、なんか凄く変な感じになって。そのときからほんとに時間が経ったんだなって。

ハリー:そういう部分に関していうと、僕にとってライヴでプレイするのは好きだってことだな。観客の前に立ってもう一回プレイできると思うと本当興奮するし、新しい曲に対してみんながどんな反応を見せてくれるのかって思うと楽しみで仕方がない。でもさ、それとは別にツアーっていうか旅行に関してストレスを感じるわずらわしさみたいなものもあるんだよ。家から離れてる期間がずっと続くのはストレスで。だからその部分に関してはどうしてもナーヴァスになっちゃうな。だけどステージに立つってことに関しては楽しみで仕方がないっていうのも本当だよ。だから、うん、これもミックス・フィーリングだな、こんなに長い時間が経ったんだから。本当変な感じだよ。前みたいなリズムに戻ってどうなるかっていうのはさ。

今度のフジロックは本当に久しぶりにやるライヴってことになるんですね。

ハリー:そうだね。フジロックの前にUKのレコードストアを回るアコースティックのインストア・イベントはあるんだけど、フルでやるっていうのはフジロックが最初だよ。だからフジロックは今回のアルバム・サイクルの中で最初のショーってことになると思うんだ。ジャカルタ以来の最初のフル・ショー。復帰戦として最初にやるショーとしては大きすぎるってくらい大きい舞台だからうまくできるかやっぱり緊張はするんだけど、でもどうなるか凄く楽しみだよ!


Into The Sun

HASE-T - ele-king

 日本のレゲエ・シーンを支えてきたディージェイ/プロデューサー、HASE-T(ハセ・ティー)が、プロデューサーとして活動20周年を迎える。記念すべきこのタイミングに、新作アルバムがリリースされることになった。タイトルはストレートに『TWENTY』、8月3日にCDとデジタルで発売。
 すでにMVが公開済みのスチャダラパー&PUSHIMを迎えた “夕暮れサマー” に加え、新曲 “Born To Be Free” のリリック・ビデオも公開。歌詞にも注目したい1曲です。

“ジャパレゲ” シーンを黎明期よりリードしてきた “HASE-T” プロデュース活動20周年を記念して、スチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎とジャンルやスタイル、そして世代を越えたアーティストをフィーチャリングした最新アルバムがリリース決定! 参加アーティストからのコメントも到着!

[順不同・敬称略]

30年前以上前に観た時から変わらない、クリアで聞き取りやすい声と、長いキャリアで磨き上げたサウンド。一般の人たちとは少し離れた世界を生き続けてきた大人としてのメッセージが、素直な言葉で刺さってくる。プロデュース業20周年おめでとう。誘ってくれてありがとう。──Bose(スチャダラパー)
HASE-Tのアルバム『TWENTY』はとてもいいアルバムだなと思った。ゲストが参加してる曲もいいけど、HASE-T本人が歌ってる曲がとにかくいい。その昔、HASE-Tと知り合った頃は、HASE-Tもプロデューサーというより、レゲエ歌手という感じで、その頃からHASE-Tの唄うスタイルのファンだったので、時を経ても、好きだったHASE-Tのあの感じが曲に出ててよかったです。こんなアルバムに参加できて光栄です。 ──ANI(スチャダラパー)
アルバムを通じて感じられる腰の座った(ポジィティブな)HASE-Tヴァイブスにベテランの凄みを感じました。 ──SHINCO(スチャダラパー)
HASE-T先輩、リリースおめでとうございます。 この度、スチャダラパーの皆さんとの共演の機会を頂き感謝しております。 HASE-T氏とレゲエミュージックで繋がり25年程。 昔も今もこれからも、ずっと私たちの音楽のTeacherでいて下さい。 ──PUSHIM
HASE先生、20周年おめでとうございます。自分がレゲエをやり出したころにすでに若きベテランとしてマイクを握り、楽曲プロデュースをおこなっていた先生と一緒に曲を作るとは、その頃は想像もしていませんでした。その後自分の代表曲とも言える “IKO-IKO” をはじめ、何度かご一緒させていただきましたが、今回何年かぶりに制作した “BLACK SWAN” は、新たな2022年の扉を開くフレッシュな一作になったと思います。自分もまだまだがんばります。今後ともよろしくお願い致します。 ──RYO the SKYWALKER
HASEさん、20周年おめでとうございます。 常に新しい音や物事に真摯に向き合う探究心と歴史を忘れない姿勢に毎度勉強させて頂いております。 近くで作業をさせてもらっている自分は幸運だなと、感謝しております。 いつかまた、一緒Thailandに行ける日を楽しみにしてます。 ──前嶋貫太郎

80年代後半から東京のクラブ・シーンに関わり、レゲエ Deejay やトラック・メーカーとして自身のアーティスト活動はもちろんのこと、レゲエ・コンピレーションシリーズの監修、さらにはレゲエ以外のアーティストへの楽曲提供やRemixワークまでこなしてきたHASE-T。HASE-Tの “T” はTeacher(=センセイ)の略で、その膨大な音楽知識や固定概念にとらわれないスタイルで、レゲエのみならず幅広いシーンに影響を与えてきたまさに伝道師ともいうべき彼の集大成がついに完成! 本場ジャマイカで100曲を越えるミックスダウンをこなし、そして多岐に渡るプロデュース・ワークで培ったサウンドは、本格的でありながらも決してリスナーを拒まないエンターテイメント性も備え、また歌い手としてのスキルも健在で日常的な言葉に込めた社会的、普遍的なメッセージはレゲエ Deejay としての真骨頂が伺えるだろう。さらに本作にはスチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎といったジャンルやスタイル、世代を越えたアーティストがゲスト参加! 各アーティストの特性がHASE-Tによるトラック・メイキングと絶妙にクロスオーヴァーしたサウンドに仕上がっている。CD盤のみ、J-REXXXや釈迦楽などこれまでにHASE-Tが手がけてきた楽曲の最新MIX/REMIXを追加収録したスペシャル限定仕様でリリース!

HASE-T “Born To Be Free”(Official Lyric Video)
https://youtu.be/x5RS498UF_A

HASE-T “夕暮れサマーfeat. スチャダラパー&PUSHIM” (Official Music Video)
https://youtu.be/VxsN8U7Vd0I


アーティスト:HASE-T
タイトル:TWENTY
フォーマット:CD/Digital
発売日:2022.8.3
品番:PCD-25348
価格:¥2,750(税抜¥2,500)
レーベル:P-VINE

-Track List-
01. 夕暮れサマー(45 Disco Mix) feat.スチャダラパー&PUSHIM
02. Born To Be Free
03. Tokyo
04. いいわけないよ
05. Black Swan feat. RYO the SKYWALKER
06. Balance feat.前嶋貫太郎
07. 深海魚
08. Get Over (Album Version)
09. Walk On By
10. Go Around (Album Version)
11. Sunrise Again/J-REXXX (2022 Mix)
12. Dance Hall Anthem/釈迦楽 (2022 Remix)
13. 幸せの日々/Domino Kat (2022 Remix)
14. My Friends/Micky Rich (2022 mix)
15. Road Creator/貫太郎(2022 Drum'n'bass Remix)
■M11-15(CD限定ボーナストラック)

Cover Art by : Bass (Tweeter Art / TAXI Hi-Fi)
@taxi_bass


[HASE-T(ハセ・ティー)]
日本を代表するレゲエ・プロデューサー、トラックメーカー。 80年代後半、東京クラブミュージックの夜明けと共に音楽活動を開始し、レゲエDJ(歌い手)としてCLUBを中心に活躍。次第に自身の作品をリリースするようになる。2001年からプロデュース活動を本格化。レゲエのDJの登竜門的コンピシリーズ、「Dance Hall Premier / VA」シリーズをスタートさせ、トラックメーカーのみならず、プロデューサーとしても認知されるようになる。その後現在に至るまで通算10枚以上のコンピシリーズをリリース。その他に、レゲエ内、レゲエ外、プロデュースワークス、Remixもやっており、和田アキ子、吉川晃司、JUJU、加藤ミリヤ、Lisa、遊助(上地雄輔)、MOOMIN、RYO the SKYWALKER、PAPA Bなど幅広く作品を提供中。

-HASE-T Official-
Official HP : https://www.rhythmslounge.net/
Twitter : https://twitter.com/HASE_T
instagram : https://www.instagram.com/hase_t_original
TiKToK : https://www.tiktok.com/@hase_t_original

Mykki Blanco - ele-king

 LAのラッパー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバム『Stay Close To Music』が10月14日にリリースされる。プロデューサーは昨年のミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』同様、フォルティDLが務めており、さまざまなジャンルからの影響を落とし込んだ1枚に仕上がっているようだ。ソウル・ウィリアムズ、アノーニケルシー・ルー、デヴェンドラ・バンハートにシガー・ロスのヨンシーなど、客演陣にも注目。

ラッパー/詩人/トレイルブレイザー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバムが完成。
2021年のミニ・アルバム『ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ』に続く自身2枚目のフル・アルバム『ステイ・クロース・トゥ・ミュージック』、トランスグレッシヴよりリリース。

●プロデュース:フォルティDL
●ゲスト:マイケル・スタイプ(R.E.M.)、ソウル・ウィリアムズ、アノーニ、ダイアナ・ゴードン、デヴェンドラ・バンハート、エメニケ、ヨンシー(シガー・ロス)他
アルバムより、「French Lessons」のビデオを公開。

★Mykki Blanco - French Lessons (Official Video) ft. Kelsey Lu
https://youtu.be/xTBlghQ7eJM

2022.10.14 ON SALE[世界同時発売]


■アーティスト:MYKKI BLANCO(ミッキー・ブランコ)
■タイトル:STAY CLOSE TO MUSIC(ステイ・クロース・トゥ・ミュージック)
■品番:TRANS580CDJ[CD/国内流通仕様]
■定価:未定
■その他:世界同時発売、解説付
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
01. Pink Diamond Bezel
02. Steps (feat. Saul Williams and MNEK)
03. French Lessons (feat. ANOHNI and Kelsey Lu)
04. Ketamine (feat. Slug Christ)
05. Your Love Was A Gift (feat. Diana Gordon)
06. Family Ties (feat. Michael Stipe)
07. Your Feminism Is Not My Feminism (feat. Ah-Mer-Ah-Su)
08. Lucky
09. Interlude
10. Trust A Little Bit
11. You Will Find It (feat. Devendra Banhart)
12. Carry On (feat. Jónsi)

Your Love Was A Gift
https://youtu.be/yhEW4ViE_MQ?

Mykki Blanco - Family Ties (Official Video) ft. Michael Stipe
https://youtu.be/_KIFN6T-Xvg

●Mykki Blancoのニュー・アルバム『Stay Close To Music』は、これまでMykkiがリリースしてきた作品とは一線を画す。これは、Mykkiの芸術性に関してこれまで抱いていた思い込みを打ち砕き、Mykkiが自由に自らのサウンドを定義できるようにするアルバムだ。詩人、アーティスト、ミュージシャンのMykki Blancoは、その進化を通して、ジャンルを常に曖昧にしてきた。レイブ、トラップ、グランジ、パンクからの影響を、クィア/トランスとしての経験を称える実験的なヒップホップの渦の中に引き込んできたのである。今回、Mykkiは、自分たちの音の世界を一から創り上げたい、という結論に達し、プロデューサーでマルチインストゥルメンタリストのFaltyDLとコラボレート。豊かな生楽器による新しいサウンドスケープを思い描くことを可能にした。曲作りはリスボン、パリ、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスで行われ、数々のジャムセッションを通じて曲が作られていった。2019年までに、Mykkiは2つの異なるレコードを同時に制作していることに気付いた。1枚目は2021年の賞賛されたミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』、2枚目は『Stay Close To Music』となった。『Stay Close To Music』には、Michael Stipe、Saul Williams、ANOHNI、Diana Gordon、Devendra Banhart、MNEK、Jónsi等がフィーチャリングされている。

●Mykki Blancoはアメリカのラッパー、詩人、パフォーマー、活動家だ。2012年にEP『Mykki Blanco & the Mutant Angels』でデビュー。『Betty Rubble: The Initiation』(2013年)、『Spring/Summer 2014』(2014年)と2枚のEPを経て、2016年9月にデビュー・アルバム『Mykki』をリリース。クィア・ラップ・シーンのパイオニアとして知られ、Kanye WestやTeyana Taylor等とコラボレート。MadonnaのMVへ出演し、Björkとツアーを行なったりもしている。2021年には5年振りとなるオフィシャル作品である9曲入りのミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』をTransgressive Recordsよりリリース。スペシャル・ゲストとしてBlood Orange(Dev Hynes)、Big Freedia、Kari Faux、Jamila Woods、Jay Cue、Bruno Ribeiro等がフィーチャーされたこの新作は高い評価を博した。

■More info: https://bignothing.net/mykkiblanco.html

Cosey Fanni Tutti - ele-king

 コージー・ファニ・トゥッティが新作をリリースする。2020年の短篇ドキュメンタリー映画『Delia Derbyshire: The Myths And The Legendary Tapes(デリア・ダービーシャー──神話と伝説のテープ)』(監督:キャロライン・キャッツ)のサウンドトラックだ。トゥッティ本人の主宰するレーベル〈Conspiracy International〉から、9月16日に発売。
 デリア・ダービーシャーとは60年代にBBCレディオフォニック・ワークショップの一員として活躍した先駆的な電子音楽家で、SFドラマ『ドクター・フー』のテーマ曲で知られている。〈Rephlex〉が2003年に編んだBBCレディオフォニック・ワークショップのコンピでも、彼女は大きくフィーチャーされていた。
 トゥッティは今回、ダービシャーの死後に発見されたテープをサンプルしサウンドトラックを制作。声明によれば、残されたダービシャーの音源や作曲ノートなどを研究し、尊敬と愛を注入することで、ダービシャーのスタイルとトゥッティ自身のアプローチを総合したものになっているとのこと(大意)。

 なおトゥッティは、2017年の自伝『アート セックス ミュージック』につづく著書として、8月18日にフェイバー&フェイバー社より『Re-Sisters: The Lives and Recordings Of Delia Derbyshire, Margery Kempe & Cosey Fanni Tutti(リ・シスターズ──デリア・ダービーシャー、マージェリー・ケンプ、コージー・ファニ・トゥッティの人生と録音物)』なる本を上梓する予定。ダービシャーと15世紀の神秘家マージェリー・ケンプ(英語で初めて自伝を書いた人物とされる)、そしてトゥッティ自身の関係を探る1冊になっているようだ。あわせてチェックしておきたい。

Dry Cleaning - ele-king

 昨年の『New Long Leg』が高い評価を得たロンドンのバンド、ドライ・クリーニング。エレキングでも年間ベストの4位に選出しましたが、先日セカンド・アルバムのリリースがアナウンスされています。発売はCD・ヴァイナルともに10月21日、現在 “Don't Press Me” が公開中です。

Dry Cleaning
大注目の新世代バンド、ドライ・クリーニング
最新アルバム『Stumpwork』を10月21日に発売!

ロンドンを拠点に活動するバンド、ドライ・クリーニングが、10月21日にセカンド・アルバム『Stumpwork』を発売することを発表した。合わせてリード・シングル「Don't Press Me」のMVを公開した。デビュー・アルバム『New Long Leg』は、全英アルバム・チャートで4位を獲得、2021年のベスト・アルバムの一つとしても選定され高い評価を得ている。(The New York Times、Pitchfork、SPIN、The Atlantic、The Ringerが、その年のトップ10アルバムに選出)ここ日本でも音楽専門誌からファション誌まで幅広いメディアに取り上げられ、絶賛された。

公開された「Don't Press Me」は、ゲームをする快感と、強烈だが短命な、罪悪感のない体験の楽しさについて歌っている。ヴォーカルのフローレンス・ショウは、次のように語っている。「コーラスの言葉は、自分の脳みそに向かって歌う曲を書こうとして生まれたの。『あなたはいつも私と敵対している/あなたはいつも私にストレスを与えている』ってね。」アニメーションによるオフィシャル・ビデオは、ピーター・ミラードが手がけたもので、ナイーブに描かれたバンドの姿が、曲のフックとリフに完璧にマッチしている。

Dry Cleaning - Don't Press Me
https://www.youtube.com/watch?v=gjVc8lYIaUM

アルバム『Stumpwork』は、2021年末にウェールズの田園地帯に戻り、再びジョン・パリッシュとエンジニアのジョー・ジョーンズとタッグを組み製作された。同じスタジオで、同じチームと信頼関係を築いたことで、インポスター症候群(*自分の能力や実績を認められない状態)と不安感は、自由へと変換され、すでに豊かだった彼らの音のパレットをさらに探求し、自分たちのクリエイティブなビジョンにさらなる自信をつけることができた。新作は様々な出来事や概念、政治的混乱からインスピレーションを受けている。今回もシュールな歌詞が前面に押し出されているが、家族や、金、政治、自虐、官能といったテーマに対する感受性も新作では高まっている。作品全体に渡り、激しいオルタナ・ロックのアンセムがジャングル・ポップやアンビエント・ノイズと融合し、バンドが受けてきた影響の豊かさと彼らの音楽に対する深い造詣として表れている。

アルバムとシングルのアートワークは、他分野で活躍するアーティスト・デュオであるロッティングディーン・バザール(Rottingdean Bazaar)と写真家のアニー・コリンジ(Annie Collinge)によって考案・制作された。本作の日本盤CDには解説および歌詞対訳が封入され、ボーナス・トラックを追加収録される。なお、限定ブラック・ヴァイナルには購入者先着特典としてシングル「Don't Press Me」とアルバム未収録曲をカップリングした特典7インチ(レッド・ヴァイナル)をプレゼント。通常アナログ盤はホワイト・ヴァイナル仕様でのリリースとなる。6月15日より各店にて随時予約がスタートする。

label: 4AD / Beat Records
artist: Dry Cleaning
title: Stumpwork
release: 2022.10.21 FRI ON SALE

国内盤CD:4AD0504CDJP ¥2,200+税
解説+歌詞対訳冊子/ボーナストラック追加収録

CD 輸入盤:4AD0504CD
¥1,850+税

LP 限定盤:4AD0504LPE(限定ブラック/先着特典7インチ)
¥3,850+税

LP 輸入盤:4AD0504LP(通常ホワイト)
¥3,850+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12859

TRACKLISTING
01. Anna Calls From The Arctic
02. Kwenchy Kups
03. Gary Ashby
04. Driver's Story
05. Hot Penny Day
06. Stumpwork
07. No Decent Shoes For Rain
08. Don't Press Me
09. Conservative Hell
10. Liberty Log
11. Icebergs
12. Sombre Two *Bonus Track for Japan
13. Swampy *Bonus Track for Japan

Special Interest - ele-king

 昨年〈ラフトレード〉との契約が報じられたニューオーリンズの4人組、スペシャル・インタレスト。UKでしっかり人気をつかんでいる彼らだが、7月29日に〈ラフトレード〉から初めてのシングルがリリースされる。“(Herman's) House” と “Follow Me” の2曲を収めた限定7インチだ。
 タイトルにあるハーマンとは、冤罪で40年以上刑務所にとらえられ、2013年に亡くなったハーマン・ウォレス(ブラックパンサー党にも参加)のこと。
 ヴォーカルのアリ・ログアウトとギターのマリア・エレナによれば、「この歌は、真の解放へと向かうわれわれの可能性を妨害する弾圧的なシステムを解体し、全廃し、破壊し、べつのものを再建するという、われわれの悲願を証言している」とのこと。要チェックです。


interview with Wu-Lu - ele-king

 強烈な新人の登場だ。
 まずは “South” を聴いてみてほしい。グランジのようにも民俗音楽のようにも聞こえるギターとさりげないダブ処理に導かれ、コーラスではメタルのグラウルが炸裂、客演のレックス・アモーによる流水のごときラップがしんがりをつとめている。サウンドだけでじゅうぶんすぎるインパクトを与えるこの曲は、「ボトルの散らばったボロボロの団地の生まれさ」「高額過ぎて変わらざるを得なかった/家賃が高いんだ」と、明確にジェントリフィケイション(街の高級化)とそれがもたらすコミュニティの破壊をテーマにしている。MVも印象的だ。団地を練り歩く彼と仲間たち、そこへつぎつぎと差し挟まれるブラック・ライヴズ・マターの抗議者たちの写真。資本主義と人種差別、それらが別物ではないことを彼は見抜き、怒っている。プロテスト・ミュージック──と言うと古臭く感じられるかもしれないが、それはいまもこうして更新され受け継がれているのだ。
 男の名はマイルス・ロマンス・ホップクラフト。またの名をウー・ルー。彼はどこから来たのか?

 生まれはロンドン南部のブリクストン。アフロ・カリブ系の多く暮らす街だ。父は白人トランペット奏者で、母は黒人ダンサーだった。DJシャドウゴリラズ、ヒップホップDJのドキュメンタリー映画『Scratch』、母が職場から持ち帰ってきたトランスやジャングルのレコードなどから影響を受けつつ、初期〈DMZ〉のパーティに参加しマーラ&コーキを体験してもいる彼は、他方でスケボーゲームのサントラを介しラップ・メタルやポップ・パンクに入れこんでもいる。
 おもしろいのは、この雑食的プロデューサーがまずロンドンのジャズ・シーンとの関わりのなかから頭角を現してきたところだろう。2010年代後半、彼はLAビート以降の感覚を表現するトラックメイカーとしていくつかのEPを制作するかたわら、オスカー・ジェロームジョー・アーモン・ジョーンズヌバイア・ガルシアやザラ・マクファーレンといった音楽家たちとコラボを重ねている。
 一方でウー・ルーは10代のころに出会ったドラマーのモーガン・シンプソン(今回も “Times” に参加)を通じ、早くからブラック・ミディともつながりを持ってきた。ジャズ・シーンとインディ・シーン双方を股にかけることのできるアーティストはそう多くないだろう。ストレートに抗議の音楽を発信するウー・ルーとあえて政治性を匂わせないブラック・ミディが接点を有していたことも、文化的観点から見て興味深い。

 満を持して送り出されたファースト・アルバム『Loggerhead』は、それら複雑なウー・ルーの背景すべてが凝縮された作品になっている。ヒップホップ、ダブ、ジャズ、パンク、メタル、グランジが混然一体となったその音楽性は、一見ネット時代にありがちな「なんでもあり」の典型のように映るかもしれない。しかし彼のサウンドには不思議な一貫性が感じられる。アルバム全体を覆うラフでざらついた触感と、けっして軽いとは言えない諸テーマのおかげだろう。リリックが重要な作品でもあるのでぜひ対訳つきの日本盤で聴いてもらいたいが、たとえば “Calo Paste” は貧困問題を、“Blame” は人種差別問題を、“Times” はメンタルの問題(=社会の問題)を、“Broken Homes” は崩壊した家庭の問題を、みごとなアートとして表現している。
 昨日ボリス・ジョンソンの辞意表明が話題になったばかりだけれど、コミュニティに生きる人間として強者ではない立場から世を眺め、激しくも冷静さを忘れない音楽をプレゼントするウー・ルーの『Loggerhead』は、脈々とつづいてきたプロテスト・ミュージックの最新型として、世界が変わることを望んでいる。
 じつはちょうどこの記事の公開準備を進めている最中に安倍元首相被弾のニュースが、そしてたったいま訃報が飛びこんできた。銃撃の場面を模したアートワークはあまりにタイムリーなものとなってしまったが、むろんこれは意図としては逆で、警察などが弱者を襲うシーンだろう。いずれにせよ、混迷をきわめるこの世界のなかで変革を諦めようとしない本作は、いちるの希望として鳴り響くにちがいない。


Scrambled Tricks

頭がおかしくなりそうだった。「なんなんだ、これは!」って。それで彼(DJシャドウ)がドラムも叩いてスクラッチもやってキーボードも弾くマルチ奏者だとわかって、「これだ、自分もこれをやる」、これをやらなければならないんだと思ったわけさ。

サウンドクラウドのもっとも古いポストは2014年の “See You Again” ですが、音楽をはじめたのはいつからで、そのときはどのような活動をしていたのでしょう?

マイルス・ロマンス・ホップクラフト(Miles Romans Hopcraft、以下MRH):いつだったかなぁ……11とか12くらい? トランペットを吹いてたよ。父親がトランペット奏者だったから、この楽器がいいかなと思って。それでうまくなって双子の兄弟と父が参加していたスカのバンドで演奏したり。それで自分でビートつくったりしはじめたのが14、15歳くらい。父にどうやって音楽を録音しているのか訊いて、それで Reason で音楽をつくりはじめたのが2000年初期、2003年、04年くらい。友だちのレミってやつとダニエルってやつと Matted Sounds っていうグループを組んで、トリップホップっぽいダブステップっぽい感じのことをやっていた。それからDJに興味が出て、ターンテーブル、ジャングル、ヒップホップにどっぷりハマって。スクラッチとかね。それからサンプリングってものを知って、DJシャドウがたんなるDJではなくてじつはプロデューサーだということを知ったんだ。MPCを使っているとか。そのころの俺は「MPCってなに」状態で、すぐにプロデューサーにはならず、兄弟でバンドをやったりしてたんだよ。だから頭の片隅にDJのことがありつつ、父と兄弟でライヴをやっていて、それがフュージョンして、ある時点でひとつのものになった感じかな。

初めて世に発表したまとまった長さを持つ作品は、2015年のミックステープ「GINGA」で合っていますか?

MRH:そう。それまでつくってきたいろんなものを融合させながら、音楽的に自分がどの辺に存在したいのかを確かめようとしていたというか。たんにヒップホップのビートをつくってラッパーに提供したり、ダブステップのビートをDJ用につくるだけじゃないなっていうのは思っていて。当時は DJ Mileage って名前でダブステップをやっていて、MCにトラックをつくったりしてたんだけどさ。というか(「GINGA」以前も)ヘクターって連れと Monster Playground 名義でリミックスを出したりしていて。だから「GINGA」は俺が名前をウー・ルーに変える前にやっていたことを融合させた、初のオフィシャルなウー・ルー作品。自分にとっての契機になったと思う。ゴリラズのファースト・アルバムがブラーのシンガーにとってターニング・ポイントになったのと似たような意味で。自分がやらなきゃいけないのはこれだと思ったんだ。

反響はどうでしたか?

MRH:よかったよ。けっこうすぐ完売した。あのテープを心から信じてくれた友だちもいて、発表の仕方を一緒に考えてくれた友だちもいた。自分としてはただテープをつくって棚に並べて、さあどうなるかやってみようって感じだったけどね。そしたら、すごくいいと言ってくれるひとたちがいたんだ。これはなにかがちがう、トリップホップでもないしジャズとも言えないしっていう、あえて言うならば当時のシーンのフィーリングがあらわされているもの、という位置づけだった。とにかくかなり好評だったね。あれがきっかけで道が開かれたわけだから、もしかして自分がやったことのなかであれがいちばんいいことだったのかもしれない。自分としても、ジャンル分けできないっていうのはいいことだと思った。聴いたひとそれぞれが好きなように俺の音楽を解釈するようになったんだ。

モーガン(・シンプソン)を通じてブラック・ミディの他のメンバーとも会って、ある意味弟と兄みたいな感じでアドヴァイスしたり、キャリア初期に彼と出会えて美しい関係が築けたことを本当に嬉しく思っているんだ。

2018年にはオスカー・ジェロームのEP「Where Are Your Branches?」をプロデュースしています。同年のご自身のEP「N.A.I.S.」にはジョー・アーモン・ジョーンズが、翌2019年の「S.U.F.O.S.」にはヌバイア・ガルシアが参加していました。2020年にはザラ・マクファーレンのアルバム『Songs Of An Unknown Tongue』をプロデュースしています。モーゼス・ボイドとも友人なのですよね? サウス・ロンドンのジャズ・シーンと関係が深いように映りますが、そのシーンにはどのようなシンパシーを抱いていますか?

MRH:すごくおもしろいのは、いまあがった音楽の多くは、リリースされた時期は言ったとおりなんだけど、たとえばヌバイアが参加した曲はじつは2017年に録ったものだったりと、つくられた時期は前後してて。というのもみんな近所に住んでいたからね。ブリクストンとかあの周辺。だからある意味自然とそういうことが起こったんだ。モーゼスとは Steve Reid Foundation がきっかけで会って、しかも当時俺が関わっていたスタジオの超近所に彼が住んでいたり。オスカーとジョーは SumoChief ってバンドをやっていて、俺が SoulJam ナイトでDJしてるときに来ていたり。本当にごく自然に、ジョーがたまたまそこにいて、この曲気に入ったならちょっとキーボード弾いてくれないか? とか。ヌバイアのときもその日にひょっこり来て、曲をかけたらすごく好きだって言ってくれて、ワンテイクだけサックスを吹いてくれて。いま言ったひとたちはみんなおなじ勝ち方を目指していたんだよ。つまり互いに助けあって、みんななにかしらポジティヴなことをやろうとしているだけなんだ。

先ほどDJシャドウの名前があがりましたが、あなたがもっとも影響を受けたアルバムは彼の『Endtroducing...』ですか? 同作のどのような点があなたを突き動かしたのでしょう?

MRH:ちょうどここに来るまでの移動中も聴いていたよ。べつにこの作品を最初から最後まで通しで聴いて影響を受けたってことじゃないんだ。当時はCDなんて贅沢なもんは持ってなかったから。友だちからもらったMDとかMP3とかを断片的に聴いてただけだった。まず『SCRATCH』って映画を観たんだよ、98年とかそのくらいだったかな。俺はもう夢中で観て、そこに彼も出ていた。ほかにもDJキューバートとかマッドリブとかミックス・マスター・マイクとかビースティ・ボーイズ、カット・ケミストなんかも出てて。それで彼が画面に映ってレコードをディグる話とかをしている後ろで曲がかかってて。その曲がかかった途端、畏敬の念を抱いて「これすげえ」となりながら、彼が制作過程とか精神面の話とかをするのを聞いていて。それで彼がつくった “Dark Days” って曲の話になって、「ん? つくった? このひとただのDJじゃないのか」と思って。それで後日友だちが “Midnight In A Perfect World” を聴かせてくれて、「そう、この曲だ、ヴィデオを観たときにかかってたやつ」ってなって。そしたら友だちが「じゃあ “Building Steam With A Grain Of Salt” は聴いたことあるか?」と言いつつべつの曲をかけてくれて、もう俺は頭がおかしくなりそうだった。「なんなんだ、これは!」って。それで彼がドラムも叩いてスクラッチもやってキーボードも弾くマルチ奏者だとわかって、「これだ、自分もこれをやる」、これをやらなければならないんだと思ったわけさ。

他方でニルヴァーナやコーン、ザ・オフスプリング、リンプ・ビズキットやスリップノット、ブリンク182といったグランジ、メタル、ポップ・パンクもよく聴いたそうですね。それらメジャーなロック・ミュージックの、どういったところに惹かれたのですか?

MRH:その辺は、基本的にスケートボードとセットみたいな感じだったね。昔よく「お前は何者だ?」って聞かれて最初はなんて答えればいいかわからなかったけど、そのうち「俺はグランジャーだ」となったんだよ。好きだったのは、情熱の部分というか、エモーショナルな曲が大好きで、特にザ・オフスプリングは速いから好きで、なにかムカつくことがあったら大音量でかけて部屋で発散したりさ。あとスケートボードってところで『トニー・ホークス プロスケーター2』(2001年に発売されたヴィデオ・ゲーム)の音楽もあったし(サウンドトラックはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやバッド・レリジョンなどを収録)。友だちのレミはパンク系がそうでもなかったけどスケートボードは好きだったから、彼からはヒップホップ面で影響を受けたよ。長いドレッドでストライプのTシャツ着てたり、当時彼はルーツ・マヌーヴァとかレゲエが好きだったんだけどさ。ゴリラズも彼に教えてもらったんだよ。というか正確に言うと、あのアルバムの “Clint Eastwood” 以外の曲を教えてもらったんだ、俺はひたすら “Clint Eastwood” を聴いてたから。それで俺の頭にスケートボードとそういった音楽の組み合わせもインプットされたというね。


Blame / Ten

もう我慢の限界だっていうことを言っているんだ。ブリクストンは本来カリブ人の地域で、そのアフリカ系カリブ人コミュニティが地域を支え、発展させてきたことは否定できない。それなのにデヴェロッパーが来て地域を占領して、こじゃれた店ができてもともといたひとたちは住めなくなって。

『Loggerhead』にはヒップホップやダブなどさまざまな要素がミックスされていますが、やはりロックの比重がかなり大きいように感じました。あなた自身の表現を展開するうえで、仮にロック・ミュージックの手法がもっとも適しているのだとしたら、それはなぜでしょう?

MRH:いちばんまとまっていると感じた曲を選んだらそうなったという感じかな。もっとリラックスしていたり静かな曲もあったんだけどね。ここ3、4、5年くらいのサウンドにたいするアプローチがそうなってたかもしれない。自分のなかでどんどん強くなってきたというか、ほとんど一周まわった感じもする。メタルっぽい、グランジっぽいサウンドへ戻りつつ、ドリルとかジャングルな感じもあって。でもたぶん日記を書くようなものだよ。つくったときの自分がどういうところにいたかっていうことを示している。でもすでにいまの自分はそこから先に進んでいるけどね。つねに発展しつづけていて、その自分自身に追いつこうとしているんだよ。

“Times” にはブラック・ミディのモーガン・シンプソンが参加しています。彼とは「S.U.F.O.S.」でもコラボしていましたが、彼とはどのように知りあったのですか?

MRH:〈MIC〉っていうインディペンデントのドープなレーベルをやってるニコールを通して知りあったんだ。あるとき彼女から連絡があって、「今度ユース・プロジェクトをやることになって何人かでジャム・セッションをやるから参加してほしい」って誘われて、それで行ってみたら、「近所に住むモーガンって子もあなたたちに会ったら喜ぶんじゃないかと思って誘った」と言うわけ。それで彼がドラムに飛び乗って叩いたら、おお……スゲーのが来たなと。たぶんまだ17歳とか、19歳とか、覚えてないけど、とにかく若かったんだよ。それで「彼はブラック・ミディっていうバンドをやってるからチェックしてみて」とニコールが教えてくれて。その時点で俺はまったく知識がなくて、でも名前からして全員黒人でキーボードでファンクとか弾いてるんだろうと思った。それから少し経って弟がブラック・ミディのことを話しはじめて、だから「俺そのバンドのドラマーと会ったよ」ってなって。それで俺のバンドって入れ替わりが激しくて、基本的には俺が音楽をつくっていろんなひとがセッション・プレイヤー的な感じで出たり入ったりするという感じなんだよ。だからモーガンにもギグでドラム叩かないかと声をかけて実際何度かギグをやって。彼はとんでもなく、笑っちゃうくらい最高だった。そのあとも「スタジオで一緒にビートつくろう」って誘って、彼がドラムで俺がギターで延々とジャムったりね。それで短期間で親しくなって、モーガンを通じてブラック・ミディの他のメンバーとも会って、ある意味弟と兄みたいな感じでアドヴァイスしたり、キャリア初期に彼と出会えて美しい関係が築けたことを本当に嬉しく思っているんだ。

ブラック・ミディ、あるいはほかのサウス・ロンドンのインディ・バンドたちに共感する部分はありますか?

MRH:もちろん。100%ある。ジョーやヌバイアやモーゼスとも同じだよ。ノアの方舟というか、もし俺が勝つとしたら全員勝つんだって思ってるから。それも今作でいろんなひとをフィーチャーしている理由なんだ。自分ひとりでつくることも可能だったけど、でも俺がどういうひとたちと一緒に音楽をつくっているのか世界に知ってほしかったんだよね。

「Wu-Lu」という名前は、エチオピアで話されているアムハラ語で「水」を意味する「ウー・ハー(wu-ha)」をもじったものだそうですね。なぜそのことばを選んだのでしょう?

MRH:だいぶ若いころだけど、ラスタファリにハマってたんだ。それでアムハラ語を勉強しようと考えて、まず自分の感覚をあらわすことばを覚えようと思った。それで水ってなんて言うんだろうとなって。水はひとに潤いを与えてくれて、流動的で、エモーショナルで、どんな形にもなって、割れ目から浸透していくという。自分がやることすべてにおいてこうなりたいと思ったんだ。そしてこの「wu-ha」ということばを見つけた。それで、「wu-ha」もいいけどなんかバスタ・ライムスの「Woo hah woo hah」言ってるやつ(“Woo Hah!! Got You All In Check”)みたいだなと思って、絶対イジってくるやつがいるだろうから嫌だなと。それで「Lu」に変えたんだ、そっちのほうが流れる感じがあるから。さらにあとから聞いた話によると、どうも「wulu」って中国の詩のことでもあるみたい。まあそれは由来ではなくて、正直自分では新たにことばをつくったと思ってたけどね。

アルバム・タイトルはアカウミガメ(Loggerhead turtle)が由来で、ひとりきりで海に浮かんでいるイメージを思い浮かべたそうですね。“Night Pill” も「俺は分離されている」という一節からはじまります。この孤独感は、社会や制度の問題に起因するものですか?

MRH:そのことばにはふたつの意味があるんだ。タイトルを考えていたときに、あるひとと意見の対立について話していて。そのひといわく、対立(「at loggerheads」というイディオム)はなくならないと。それでこのアルバムを考えたときに、けっこう自分が「俺の考えはこうだ。だれにも文句は言わせねえ」みたいに遠慮なく言っていると思って。でもそういう考え方って孤立しやすかったりもする。もしだれも賛同してくれなかったらじっさいひとりきりだよね。だからもともとは「at loggerheads」というイディオムが由来だけど、このことばをググってみたらカメのことがわかった。それで、これはすごくコンセプチュアルでいいかもしれないと。つまり一匹の大きなウミガメが紺碧の海を泳いでいるという。海や水が出てくる歌詞もあるしね。そういう部分にも引っかけてるんだ。

大きな注目を集めた “South” の歌詞はジェントリフィケイションを扱っていますが、MVはブラック・ライヴズ・マターのプロテストとリンクしています。この曲は、階級格差と人種差別が結びついていることをほのめかしているのでしょうか?

MRH:それはつねにあるというか、あの歌詞はBLMの時期に書いたものではないけど、明らかにクロスオーヴァーする。文化を通じて多くのものを与えてくれた地域や人びと、状況が、もう我慢の限界だっていうことを言っているんだ。ブリクストンは本来カリブ人の地域で、そのアフリカ系カリブ人コミュニティが地域を支え、発展させてきたことは否定できない。それなのにデヴェロッパーが来て地域を占領して、こじゃれた店ができてもともといたひとたちは住めなくなって。地域の変化はもう歴然としていた。それは本当にふざけるなだし、だから “South” はみんながもう我慢できないという時期だったんだ。イギリスには依然として不平等があるし、BLMにも通じるものがあるんだよ。

ウー・ルーの音楽にはロウファイさがあり、ひずみもあります。それはクリアでハイファイであること、いわば音のジェントリフィケイションにたいする反抗ですよね?

MRH:自分にとってはアナログなものってエモーショナルなんだよね。居心地がよくて、レコードを聴いている感覚を思い出させてくれるというか、音楽にハグされている気分になるというか。俺はスマホで育った世代じゃないし、部屋でレコード盤やCDをデカいコンポで聴いたり。ひずみでちょっとザラつくと感情が高まるんだ。


Broken Homes

Alvvays - ele-king

 トロントのインディ・ポップ・バンド、オールウェイズが新作『Blue Rev』を10月7日にリリースする。『Alvvay』(2014)、『Antisocialites』(2017)につづくサード・アルバムだ。バンド史上最長の作品に仕上がっているとのこと。日本限定でオビつきのカラー・ヴァイナルもあり。現在、シューゲイズな新曲 “Pharmacist” が公開中。アルバム全体がどうなっているのか楽しみです。

世界中のインディーリスナーから愛されるインディーポップ・バンド、Alvvaysが5年振りとなる待望の3rdアルバム『Blue Rev』を10月7日にリリース!

世界中のインディーリスナーから愛されるカナダはトロントを拠点に活動中のインディーポップ・バンド、Alvvaysが3枚目となるアルバム『Blue Rev』を10月7日にリリースする事が決定した。

同アルバムの中からアルバムの冒頭を飾る “Pharmacist” が先行公開された。

・Alvvays - Pharmacist [Official Audio]
https://youtu.be/eH5mqLjwg6U

 “Pharmacist” はAlvvaysがこれまでにリリースしてきた楽曲の中でも特にシューゲイズを感じる曲で、そのドライヴ感のあるギターサウンドの中にMollyの美しい歌声が溶け込んでいく。疾走感のあるサウンドでありながらも、ノスタルジックでエモーショナルな世界観を作り出したAlvvaysにしか作れないこの曲で、アルバムはスタートから一気にギアをあげる。

 パンデミックを乗り越え完成させた5年ぶりのアルバムとなる『Blue Rev』はAlvvays史上最長のアルバムになっており、Alvvaysらしい楽曲から新しいサウンドに挑戦した楽曲までを収録。

 その様々な楽曲の中でヴォーカル、Molly Rankinのキュートでありながらも琴線に響く美しい歌声と誰もが心震わせるキャッチーな “メロディー” が輝く。間違いなく今年のインディーシーンのマスターピースになる作品だ。

 今作『Blue Rev』は国内盤CDの他に日本限定の帯付きColor Vinylのリリースも決定している。

 またアルバム発売に先駆け、1st/2ndアルバムの名曲 “Not My Baby” / “Next of Kin” をカップリングし、オリジナルジャケットを採用した日本限定盤7インチレコードが7月20日にリリースされるので、合わせてチェックしてみてほしい。

・Alvvays『Not My Baby / Next of Kin』7inch 予約ページ
https://anywherestore.p-vine.jp/products/p7-6300


[リリース情報]
Alvvays『Blue Rev』
Release Date:10月7日(金)
Label:Polyvinyl Records / P-VINE, Inc.

Tracklist:
01. Pharmacist
02. Easy On Your Own?
03. After The Earthquake
04. Tom Verlaine
05. Pressed
06. Many Mirrors
07. Very Online Guy
08. Velveteen
09. Tile By Tile
10. Pomeranian Spinster
11. Belinda Says
12. Bored in Bristol
13. Lottery Noises
14. Fourth Figure

Streaming Pharmacist
https://pvine.lnk.to/Q4xwcU

Alvvays:
Instagram https://www.instagram.com/alvvaysband/
Twiiter https://twitter.com/alvvaysband

Sam Prekop and John McEntire - ele-king

 ポストロック巨頭同士のコラボだ。ザ・シー・アンド・ケイクサム・プレコップと、トータスの(そしてザ・シー・アンド・ケイクのメンバーでもある)ジョン・マッケンタイアによる共作『Sons Of』が7月22日にリリースされる。先行公開済みの “A Ghost At Noon” を聴くかぎり……なんと、4つ打ち!? ふたりの新たな展開を確認しておきたい。

Sam Prekop and John McEntire(サム・プレコップ・アンド・ジョン・マッケンタイア)
『Sons Of』(サンズ・オブ)

THRILL-JP 54 / HEADZ 254 (原盤番号:THRILL 578)
価格(CD):2,200円+税(定価:2,420円)
発売日:2022年7月22日(金) ※海外発売:2022年7月22日
フォーマット:CD / Digital
バーコード:4582561397851

1. A Ghost At Noon 7:52
 ア・ゴースト・アット・ヌーン
2. Crossing At The Shallow 10:58
 クロッシング・アット・ザ・シャロウ
3. A Yellow Robe 23:41
 ア・イエロー・ローブ
4. Ascending By Night 13:41
 アセンディング・バイ・ナイト
5. Gathering At The Gate 7:58
 ギャザリング・アット・ザ・ゲイト
Total Time:64:19
※Track 5:日本盤のみのボーナス・トラック

Music by Sam Prekop and John McEntire
Recorded in Chicago and Portland 2021/2022
Mastered by John McEntire

Photo by Heather Cantrell
Artwork/design by Sam Prekop
Layout by Daniel Castrejón

ザ・シー・アンド・ケイク(The Sea and Cake)のフロント・マン、サム・プレコップ(Sam Prekop)と、トータス(Tortoise)の頭脳(実質的リーダー)で、サムとはバンドメイトでもあるジョン・マッケンタイア(John McEntire)による、デュオとしての初のコラボレーション・アルバムが完成。
海外では100本限定のカセットと超限定のCDでのみリリースされるそのアルバム『Sons Of』を、日本では超限定にはせず、ボーナス・トラックを追加してリリース。
マスタリングはジョン・マッケンタイアが担当し、アートワーク/デザインはサム・プレコップが担当。

二人のデュオ作品としては、2019年にMapstationとのスプリットでリリースされた「Kreuzung」以来となりますが、この様な単独でのフィジカル作品としてのリリースは初。
サムの2015年のインスト・ソロ・アルバムの2作目(通算4作目)『The Republic』以来の猫ジャケ(ジャケの猫はジョン・マッケンタイアの愛猫)。

ライブ音源(2019年の秋のヨーロッパ・ツアー、2021年11月のシカゴでのライブ)や、サムはシカゴ、ジョンはポートランドでのリモート(遠隔)コラボレーションをベースに制作されているが、彼らの本質にある類稀なるポップ・センスを生かし、様々な実験を施したポスト・プロダクションによって、より洗練されたサウンドに仕上げ、親しみ(聴き)易くも、非常に刺激的な電子音響作品を創り上げました。

サム・プレコップの近年のソロ作のファンは勿論、トータス・ファンやジョン・マッケンタイアのプロデュース作品のファンも必聴の、煌びやかで、清涼感溢れる、彼らの音楽遍歴が反映された、素晴らしいインストゥルメンタル・アルバムとなっています、

オリジナルのリリース元は今年2022年で設立30周年となる米シカゴの老舗インディー・レーベルThrill Jockey Recordsで、アニヴァーサリー・イヤーに相応しい作品となっています。

ライナーノーツは、現在はラジオDJや(DAOKOやTENDOUJI他の)音楽プロデューサーとしても著名な、GREAT3/Chocolat & Akitoの片寄明人と、日本のアンビエント・ドローンのオリジネーターで、100台ものキーボードで干渉音やモアレ共鳴を扱う『100 Keyboards』のパフォーマンス他で欧米を中心に、近年特に海外で高い評価を得ているサウンドアーティスト、ASUNA(アスナ)が担当しています。
片寄はジョン・マッケンタイアとも親交の深く、今作のタイトル『Sons Of』は、彼がジョン・マッケンタイアと『HAPPY END PARADE ~tribute to はっぴいえんど~』に参加した際のユニット名(氷雨月のスケッチ/Sons Of [片寄明人 from Great3+John McEntire from TORTOISE] )から来ています。
ASUNAは、自身のレーベルaotoaoで長年のツアーで直接共演してきたアーティストからなる『カシオトーン・コンピレーション』のシリーズをリリースしており、サム・プレコップも『Casiotone Compilation 7』(2017年)に参加しています。サムとASUNAの出会いのきっかけは、以下URLのASUNAが2020年に執筆した『Comma』のHEADZのHP用のレビューの中で触れられています。今回の『Sons Of』のリリースに合わせて、ASUNA本人がアップデートした改訂版となっておりますので、この機会にこちらもチェックしてみて下さい。
https://faderbyheadz.com/release/headz247.html

◎ 解説:片寄明人(GREAT3)、ASUNA
◎ 日本盤のみ完全未発表のボーナス・トラック1曲を追加収録決定
◎ 世界同時発売(2022年7月22日)

サム・プレコップは、近年海外でも再評価が進む清水靖晃、尾島由郎、吉村弘、イノヤマランド他の80年代の日本のニューエイジやアンビエントの名作群にインスパイアされ、ジョン・マッケンタイアがミックスを担当した5作目(インスト作品としては3作目)のソロ・アルバム『Comma』を2020年にThrill Jockeyからリリースし、高い評価を得て(ピッチフォークも8点越え)、日本でもロング・セラーとなっています。
2021年にはサムがセルフ・リリースしたEP『In Away』を日本盤のみでCD化し、こちらのCDも国内外で好調なセールスを記録しています。

現在、ポートランド在住のジョン・マッケンタイアは近年、エンジニアやプロデューサーとして、以下のような作品に参加しています。
・Modest Mouse の2021年のアルバム『The Golden Casket』(録音、ミックスで参加)
・Ryley Walker の2021年のアルバム『Course In Fable』(プロデュース、録音、ミックス、シンセ、キーボードを担当)
・June Of 44 の2020年の再結成アルバム『Revisionist: Adaptations And Future Histories In The Time Of Love And Survival』(ミックスとリミックスを担当)
・Yo La Tengo の2018年のアルバム『There's A Riot Going On』(ミックスを担当)

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