ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Jimmy Cliff 追悼:ジミー・クリフ
  2. ele-king vol.36 特集:日本のシンガーソングライター、その新しい気配
  3. interview with LIG (Osamu Sato + Tomohiko Gondo) 至福のトリップ体験 | 佐藤理+ゴンドウトモヒコ、インタヴュー
  4. Columns 2025年のFINALBY( )
  5. Sorry - COSPLAY
  6. VMO a.k.a Violent Magic Orchestra ──ブラック・メタル、ガバ、ノイズが融合する8年ぶりのアルバム、リリース・ライヴも決定
  7. Geese - Getting Killed | ギース
  8. K-LONE - sorry i thought you were someone else | K-ローン
  9. SCARS ──来年のデビュー20周年を祝しワークジャケットが発売
  10. Oneohtrix Point Never - Tranquilizer | ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
  11. Kamasi Washington, Bonobo and Floating Points ──アニメ『LAZARUS ラザロ』のサウンドトラックがリリース
  12. Susumu Yokota ──横田進のリスニング・イベントが京都「しばし」にて開催
  13. Columns Oneohtrix Point Never 『Tranquilizer』 3回レヴュー 第二回目
  14. Columns 11月のジャズ Jazz in November 2025
  15. claire rousay - a little death | クレア・ラウジー
  16. ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『Tranquilizer』試聴会レポート - @原宿・BEATINK Listening Space
  17. Oklou - choke enough | オーケールー
  18. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  19. Columns なぜレディオヘッドはこんなにも音楽偏執狂を惹きつけるのか Radiohead, Hail to the Thief Live Recordings 2003-2009
  20. Masaaki Kobayashi ──小林雅明による書籍『ヒップホップ名盤100』が発売中

Home >  Reviews >  Album Reviews > No UFO's- Soft Coast

No UFO's

No UFO's

Soft Coast

Spectrum Spools

Amazon iTunes

三田 格   Jan 16,2012 UP

 〈スペクトラム・スプールズ〉(エメラルズのジョン・エリオットが〈メゴ〉傘下でA&Rを務めるレーベル)の11枚目は、バンクーヴァーからコンラッド・ヤンダフによるデビュー・アルバムで、〈ナイス・アップ・インターナショナル〉から2010年にカセットでリリースされていたもののアナログ化。これが奇しくも同じバンクーヴァーから飛び出した音響派ロカビリーのダーティー・ビーチーズとエメラルズを橋渡しするような内容となり、あまりにチープな混沌がヘンな未来を感じさせてくれる。スキルがないのにイメージだけが豊富で、曲によってはスペースメン3のデモ・テープのようになってしまったり。
 スーサイドがノイ!をカヴァーしているようなオープニングからいきなりサウンドはヨレヨレ。どの曲も稚拙で乱暴なエディットなのに、あっという間に引き込まれている自分がさっぱりわからない。ノー・UFOズというユニット名は単純にデトロイト・テクノを想起させるものだけれど、なるほど、デリック・メイの〈トランスマット〉が89年にリリースしたK・アレクシー・シェルビー「オール・フォー・リ-サ」からBサイドの"ヴァーティゴ"が続いてカヴァーされている。これをアシッド的な感触はそのままにグルーヴ感を削いでドカスカと叩きつけたと思ったら、すぐにもずっしりとしたドローンへと雪崩れ込み、とんでもなく行き当たりばったりな構成にはさらなる拍車がかかっていく。シームレスという流行り言葉が踏みにじられていく感触は痛快というのか、まるで中原昌也みたいだというべきか。そして、急に音が途切れてBサイドへ。
 後半は『ノイ2』を狙った構成なのか、全体にコラージュ的な要素が強く、リズムにのった曲はしつこく何度もクラッシュを繰り返す。ちょっとこれは煙の世界に行ってみないと、本当の効果はわからないかもなーと思いながら、透き通るようなアンビエント・ドローンでひんやりとエンディング(まー、単純に実用性は高いと思われます。レインジャーズの失ってしまったものがここにはあるというか)。
 録音された順番は逆になるけれど、昨年末にリリースされた『マインド・コントロールズ・ザ・フラッドEP』(パブリック・インフォーメイション)はもう少しスキルがイメージを具体化するようになっていて、見せてくれる景色も明確になってきた(その反面で失われた面もあると感じてしまうところがトリップ・サウンドは難しい)。クラウトロック・リヴァイヴァルも突き詰めていけば、やはり辿り着くのはここなのだろう......か。この柔らかさ。この感触。この......。ああ、スモーカーズ・デライト......

三田 格