ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. ジャパニーズ・ヒップホップ第二世代──あるDJの証言
  2. Arab Strap - Half-Told Tales | アラブ・ストラップ
  3. Moodymann ──ムーディーマンの来日公演が決定、今年は東京と京都をツアー
  4. METHOD MOTEL - @名古屋・栄CENTRAL
  5. Protomartyr - Hotel Usona | プロトマーター
  6. Eden Aurelius - Entre Nous / emer ft. Ugnė Uma - You and Me | エデン・オーレリウス、エメル、ウグネ・ウマ
  7. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  8. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  9. interview with Adrian Sherwood and Nightmares On Wax UKダブ・“トーク”・セッション | ――エイドリアン・シャーウッド×ナイトメアズ・オン・ワックス特別対談
  10. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  11. Helen - Linda's Head | ヘレン
  12. Boy Harsher - GET MEAN | ボーイ・ハーシャー
  13. The Alchemist ──現代USヒップホップのキーパースン、ジ・アルケミストが来日
  14. ゲーセン波乱万丈の100年史
  15. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  16. Marcellus Pittman ──デトロイト・ハウス珠玉の逸材、マーセラス・ピットマンの来日ツアーが開催
  17. Lambchop - Punching the Clown | ラムチョップ
  18. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  19. 野田 努
  20. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー

Home >  Reviews >  Album Reviews > No UFO's- Soft Coast

No UFO's

No UFO's

Soft Coast

Spectrum Spools

Amazon iTunes

三田 格   Jan 16,2012 UP

 〈スペクトラム・スプールズ〉(エメラルズのジョン・エリオットが〈メゴ〉傘下でA&Rを務めるレーベル)の11枚目は、バンクーヴァーからコンラッド・ヤンダフによるデビュー・アルバムで、〈ナイス・アップ・インターナショナル〉から2010年にカセットでリリースされていたもののアナログ化。これが奇しくも同じバンクーヴァーから飛び出した音響派ロカビリーのダーティー・ビーチーズとエメラルズを橋渡しするような内容となり、あまりにチープな混沌がヘンな未来を感じさせてくれる。スキルがないのにイメージだけが豊富で、曲によってはスペースメン3のデモ・テープのようになってしまったり。
 スーサイドがノイ!をカヴァーしているようなオープニングからいきなりサウンドはヨレヨレ。どの曲も稚拙で乱暴なエディットなのに、あっという間に引き込まれている自分がさっぱりわからない。ノー・UFOズというユニット名は単純にデトロイト・テクノを想起させるものだけれど、なるほど、デリック・メイの〈トランスマット〉が89年にリリースしたK・アレクシー・シェルビー「オール・フォー・リ-サ」からBサイドの"ヴァーティゴ"が続いてカヴァーされている。これをアシッド的な感触はそのままにグルーヴ感を削いでドカスカと叩きつけたと思ったら、すぐにもずっしりとしたドローンへと雪崩れ込み、とんでもなく行き当たりばったりな構成にはさらなる拍車がかかっていく。シームレスという流行り言葉が踏みにじられていく感触は痛快というのか、まるで中原昌也みたいだというべきか。そして、急に音が途切れてBサイドへ。
 後半は『ノイ2』を狙った構成なのか、全体にコラージュ的な要素が強く、リズムにのった曲はしつこく何度もクラッシュを繰り返す。ちょっとこれは煙の世界に行ってみないと、本当の効果はわからないかもなーと思いながら、透き通るようなアンビエント・ドローンでひんやりとエンディング(まー、単純に実用性は高いと思われます。レインジャーズの失ってしまったものがここにはあるというか)。
 録音された順番は逆になるけれど、昨年末にリリースされた『マインド・コントロールズ・ザ・フラッドEP』(パブリック・インフォーメイション)はもう少しスキルがイメージを具体化するようになっていて、見せてくれる景色も明確になってきた(その反面で失われた面もあると感じてしまうところがトリップ・サウンドは難しい)。クラウトロック・リヴァイヴァルも突き詰めていけば、やはり辿り着くのはここなのだろう......か。この柔らかさ。この感触。この......。ああ、スモーカーズ・デライト......

三田 格