ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Autechre 来日したオウテカ──カラオケと日本、ハイパーポップとリイシュー作品、AI等々について話す
  2. IO ──ファースト・アルバム『Soul Long』10周年新装版が登場
  3. HELP(2) ──戦地の子どもたちを支援するチャリティ・アルバムにそうそうたる音楽家たちが集結
  4. heykazma ──2010年生まれ、アルファ世代の新星DJがデビューEP『15』をリリース
  5. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  6. MEITEI ──ニュー・アルバム『瑪瑙』より、先行シングル“新花魁”がリリース
  7. Shintaro Sakamoto ——坂本慎太郎LIVE2026 “Yoo-hoo” ツアー決定!
  8. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  9. ele-king presents HIP HOP 2025-26
  10. interview with Autechre 音楽とともにオーディエンスも進化する  | オウテカ、独占インタヴュー
  11. KEIHIN - Chaos and Order
  12. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか
  13. 坂本慎太郎 - ヤッホー
  14. Thundercat ──サンダーキャットがニュー・アルバムをリリース、来日公演も決定
  15. CoH & Wladimir Schall - COVERS | コー、ウラジミール・シャール
  16. ロバート・ジョンスン――その音楽と生涯
  17. shotahirama ──東京のグリッチ・プロデューサー、ラスト・アルバムをリリース
  18. interview with Shinichiro Watanabe カマシ・ワシントン、ボノボ、フローティング・ポインツに声をかけた理由
  19. DIIV - Boiled Alive (Live) | ダイヴ
  20. Columns なぜレディオヘッドはこんなにも音楽偏執狂を惹きつけるのか Radiohead, Hail to the Thief Live Recordings 2003-2009

Home >  Reviews >  Album Reviews > Destroyer- Five Spanish Songs

Destroyer

Indie Rock

Destroyer

Five Spanish Songs

Merge

Tower HMV Amazon iTunes

久保憲司   Dec 04,2013 UP

 フェニックスのレヴューで、「日本人は英語でロックを歌うべきだった」と書いたけど、デストロイヤーの最新EPはスペイン語で歌われている。どないなってるねんである。

 デストロイヤーことダン・ベイハーがスペイン語で歌っていると聞いたときは、ウェス・アンダーソンの映画『ライフ・アクアティック』で話題になったあのデヴィッド・ボウイのいなたいスペイン語ボサノヴァ・カヴァーな感じでくるのかなと思ったら、けっこう正統派でびっくりした。『カプート』でデストロイヤーの音が完全に完成したから、それをぶち壊したという意味でのスペイン語だったと思うのだが、ただスペイン語で歌っているだけやん、と笑ってしまった。

 でも、音楽を変えるとかじゃなく、違う国の言葉で歌うことで、新しい音楽を生もうとしているのは、なかなか面白い試みだなと思った。デストロイヤーは音楽スタイルを変えることで前進してきたのかなと思っていたのですが、違っていたのですね。彼が自らの音楽を「ヨーロピアン・ブルース」と言っていた意味がなんとなくわかりました。彼にとって表現とは旅なんですよ。彼はずっとどこにも所属しない異邦人なんです。唯一彼を癒してくれるものは音楽だけだった。彼にとって言葉はただの記号で、それほど重要なものじゃなかったのでしょう。メロディに癖を与えてくれるものくらいにしか考えていなかったのでしょう。

 このEPで、僕はデストロイヤーというアーティストが、どういうアーティストかというのがよくわかりました。彼が好きであろう、スコット・ウォーカー、ダンカン・ブラウン、ダンカン・ブラウンを彼が好きなのかどうなのか、僕は知らないですが、でもデストロイヤーを聴いていて、いつも僕が思い出すのはメトロなんです。異邦人の音楽ですよね。

 この頃、日本人は英語で歌えと思っていたんですけど、このデストロイヤーのEPを聴いていて、日本人はもっと異邦人にならないといけないんじゃないという思いました。

 デストロイヤーの気持ちよさってこれですよね。帰るところのない人間の悲しさ。そんな人には言葉なんて無意味なんですよ。ジプシーたちはまさにそんな感じで旅をしながら、そのエリアの言葉をマネして、小銭を稼いでいたんだと思います。僕らの音楽の原点にはそういうものがあるんですよ、きっと。
ちょっといろいろ考えさせられたデストロイヤーの新作でした。

久保憲司

RELATED

Wild Flag- Wild Flag Merge/ホステス

Reviews Amazon iTunes