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MARK

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MARK

Maki・K

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細田成嗣   Aug 07,2014 UP

 MARKは、2001年当時バンド活動をしていた加藤麻季が、一人で多重録音等による音楽活動を行うためにはじめたソロ・プロジェクトである。2本のカセットテープを制作しているほか、これまでに3枚のフル・アルバムをリリースしており、監督・脚本・主演・音楽などすべてを手がけた映画や、編集・執筆・デザインなどこちらもすべて彼女の手によるミニ・アルバム付きの冊子も発表するなど、多才な活動をみせている。その音楽はローファイな質感や不協和な音程、微妙に揺らぎ続けるリズム、巧拙に還元できないような鬼気迫る歌声が特徴的で、初期ESPレーベルからリリースされたサイケデリック・フォークの数々を彷彿とさせる。しかし彼女の音楽からは、昭和歌謡ふうの叙情的なメロディであったり、童謡のような懐かしさも聴き取ることができるのであって、たんにジャンク・ロックと呼んでしまえないような味わい深さを醸し出している。いわば調和のとれた音の抽象の世界と、混沌とした音の具象の世界が、遊離していながらも、MARKという個の中で共立しているのである。『騎士について』から三年余りを経てリリースされた本作品には、冒頭の楽曲でどついたるねんから3人のメンバーをフィーチャリングし、最後の楽曲では嶺川貴子が作曲と歌で参加、また、前作に引き続き中尾勘二が多くの楽曲で演奏している。

 本作品は、圧倒的な個としてのMARKの音楽が、その本質を失うことなく、他者とどのような共同作業を行いうるか試みたものと捉えることができよう。それは中尾勘二の起用のしかたに端的にあらわれている。前作においては、管楽器を携えて演奏に参加した中尾勘二の、一聴してそれとわかる個性が、強い自己主張を伴うことで、フリージャズの色が濃い音楽へと仕上がっていたからである。それは紛れもなく中尾の活動の文脈に沿うものでもあった。だからMARKの音楽と呼ぶよりも、彼女の表現が他者のそれと拮抗する際に生まれる緊迫感がその場を支配するものであった。それはそれとしての魅力はあるものの、音の世界を「MARKという個の中で共立」するものではないだろう。そして彼女の出発点が「ひとりでいること」の意味を問うところにあったことを鑑みるならば、こうした共演のあり方は本意ではなかったのではあるまいか。前作リリース後に発表された、ミニ・アルバム付きの冊子に収められた「ひとり」いうエッセイは、その心情を吐露するかのようでもある。本作品において、中尾が管楽器ではなく、ドラムスに徹しているということ。それは音楽の色彩をMARKのもので染め上げていながらも、欠かすことのできない根底にあって彼女を支える役割を果たしている。つまり、彼女はついに、他者とのつながりを保ちながら、しかしあくまで個人の表現を行う領域へと、踏み出したのである。

細田成嗣