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N.W.A.の伝記映画、『ストレート・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)』が先月半ばに公開され、大ヒットを記録しているようだ。ヒップホップ史に残る同名タイトルの名盤も26年ぶりにアルバム・チャート上位に食い込んでいるとか。ぜひとも日本公開が待たれるこの作品、ポリス・ブルタリティーへの抵抗の声が高まる本国の若者にはどのように映るのだろうか。
ブラック・ナイツのラグド・モンクと射殺された元メンバーのドック・ドゥームもまたコンプトン出身のラッパーであるが、ブラック・ナイツのラップは西海岸のサグさと東海岸の哲学性を合わせ持ったドープなリリックが特徴でもある。ジョン・フルシアンテによる2作めのプロデュース作品である本作で聴けるNWAやブギー・ダウンのようなオールド・スクール・ヒップホップが彼の感性で変容したトラックとの相性は抜群だ。
BPMが変容してゆくトラックやジョンのギター・ソロが大々的にフィーチャーされるトラックなど、ロック畑のヒップホップ・アルバムのプロデュースを超えた実験的な内容となったのは、近年におけるジョンの電子音楽製作からの影響も大きいのかもしれない。
また、ヒップホップ音源の製作においても対面することなくインターネット上でのトラックとラップのやり取りが通常である近年において、このコラボレーションのように生活をともにしながら製作された作品は素晴らしい。僕の知るLAのミュージシャン・シップこそここにあるのだ。
じつは前作、『メディエヴァル・チェンバー』のリリースの時点で本作と次作アルバムまで完成しているようで、われわれはこのコラボレーションのさらなる変容を聴けることを約束されている。
倉本諒