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Ash Walker

DowntempoJazzSoul

Ash Walker

Aquamarine

Night Time Stories / ビート

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小川充   Sep 18,2019 UP

 近年ではクルアンビンの諸作をリリースすることで知られる〈ナイト・タイム・ストーリーズ〉。ほかにもUKダウンテンポ・ソウルのヴェテランのレイ&クリスチャンから、昨年はサウス・ロンドンの新世代ジャズの旗手と注目を集めたレイファー・ジェイムズなどをリリースしているが、その〈ナイト・タイム・ストーリーズ〉から『アクアマリーン』というアルバムをリリースしたのがアッシュ・ウォーカーというアーティストだ。
 ロンドンのDJ/プロデューサー/マルチ・ミュージシャンである彼は、ラスタファリのような風貌をしていて、アフリカもしくはカリビアン系の血筋を持つように思われる。2010年代半ばから活動をしていて、これまでに『オージメンティッド・セヴンス』(2015年)と『エコー・チェンバー』(2017年)という2枚のアルバムをリリースしている。彼が影響を受けたアーティストにはデューク・エリントン、クインシー・ジョーンズ、キング・タビー、ボー・ディドリー、4ヒーロー、Jディラ、ピート・ロック、カーティス・メイフィールド、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒなどの名が挙がるが、最初に彼のサウンドを聴いて真っ先に思い起こしたのがナイトメアーズ・オン・ワックスだった。アシッド・ジャズとダブ、アフリカ音楽やエキゾティックな民族音楽、バレアリックなブレイクビーツが一緒になった印象を受けたわけだが、UKには伝統的にダブやダウンテンポの影響が残っているので、アッシュ・ウォーカーもその系譜を受け継ぐアーティストと言える。

 『アクアマリーン』のアルバム・ジャケットのアートワークは、ヤズ・アーメッドの『ラ・サボテューズ』や最近はサウス・ロンドンのジャズ勢が集結したシード・アンサンブルの『ドリフトグラス』のジャケットを手掛けたソフィー・ベースによるものだ。アッシュ・ウォーカーの深海を蠢くようなダビーなサウンドを的確に表現したエスニックなイラストだが、『アクアマリーン』にもその繋がりからかヤズ・アーメッドがフリューゲルホーンで参加。ほかにキザイア・ジョーンズやジュニア・ウォーカーらと共演するベーシストのマーク・シリル、この夏に〈アシッド・ジャズ〉からアルバム・デビューを果たし、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの新作にもフィーチャーされているソウル・シンガーのラヴィルが参加している。

 そのヤズ・アーメッドの参加に象徴されるように、いままでのアルバムに比べてジャズ度が増している印象だ。たとえば“ブレイヴ・ニュー・ワールド”などはカマール・ウィリアムズを彷彿とさせるような曲だったりする。“ザ・ドラゴンズ・カシミア・ジャンパー”は複雑な変拍子を持つニュー・ジャズと言えるような曲で、ヤズ・アーメッドが演奏する“カム・ウィズ・アス”はヘヴィーなベースとドラムのコンビネーションによるジャズ・ファンク。一方でラヴィルが歌う“タイム”は6拍子の幻想的なジャズ・ロック、同じくラヴィルが歌う“アンダー・ザ・サン”や“フィニッシング・タッチ”はメロウなAORソウル。“エイント・ゴット・ユー”はアシッド・ジャズとバレアリックなハウスが合体したようなサウンドといった具合に、リズム・ヴァリエーションや曲調もいろいろと変化に富む。ただし、そうした様々な曲にダビーでサイケデリックな味付けを施していることで、アルバム全体として統一感が保たれている。タイトル曲の“アクアマリーン”や“アイ・ニード・マネー”は、ギターをはじめとした演奏がメロウネスとダビーな心地よさを運んでくる。そうした柔らか側面と、“ファット・キング・スモーク”に代表されるUKクラブ・サウンドならではのダークでドープな側面が、1枚のアルバムの中でうまく調和している印象だ。


小川充

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