Home > Reviews > Sound Patrol > 屍体×埋葬=?- Zomby X Burial - Sweetz
ゾンビー=屍体、ベリアル=埋葬というわけで、この10インチは墓場のダンスホール、この10年間のUKアンダーグラウンド・シーンにおいて、そのダークさ、そのアンダーグラウンドさでもって、先へ先へ行こうという態度によって、リスナーを魅了してきた2人のキーパーソンによる大注目の曲だ。ベース・ミュージックがどこに行くのかという点、そしてポスト国民投票/ブリグジットのアンダーグラウンド・ミュージックを聴くという点において、まったく興味深い。聴かなければならない1曲である。
シカゴ・ゲットー・ハウス的な声ネタの反復とベース・ミュージックのもっとも精鋭的な響きとが溶接する。テクノと呼ぶにはダンスを欠いて、ベース・ミュージックと呼ぶにはビートはミニマリスティック。そしてそれは深く深く沈んでいく。BPM的にはクラブでかけられるが、動くのは腰ではなく頭だろう。ひとつ言えるのは、このきつい社会からこぼれ落ちた者たちの居場所を拡張するのは、たとえばこういう音楽だということ(ここまでやってもいいんだという意味で、はみ出すことを恐れないという意味で)。とにかく、まあ格好いい。UKのアンダーグラウンド・ダンス・ミュージック、動いてますねー。
なお、この曲は9月初旬に〈ハイパーダブ〉からリリースされるゾンビーの4枚目のアルバム『Ultra』からの先行リリース曲。そのアルバムには、ダークスターやテクノ系のRezzett(トリロジー・テープスからの作品で知られる)も参加している。否応なしに期待は高まる。
野田努